<注> →の用語は本書「DTPエキスパート用語1200」に対応しています。
●ASP(Application Service Provider)
ASPとは、アプリケーション・サービス・プロバイダの意味で、業務アプリケーシ
ョンソフトやシステム、オフィス・アプリケーションなどを、複数の企業や個人にイ
ンターネット経由で提供、期間貸しをして、対価として利用料を徴収するサービス業
者をいう。
単独ではシステム導入コストが多額になる場合があるが、ASPを利用すると導入コ
ストが少なくてすむというメリットがある。→アプリケーション
●CALS(Continuous Acquisition and Lifecycle Support)キャルス
コンピュータとネットワーク、データベース・システムを組み合わせ物資の生産、
調達などの工程を一元管理するシステムをいう。一般に「キャルス」と呼ばれている。
米国務省が兵器を中心にした機材を調達、管理するために確立した規格である。語源
は「Computer Aided Logistic Support」からきている。
CALSの考え方は、企業の製造工程を中心に、部材の調達や製品の管理、ドキュメン
トやマニュアルの管理、企業間の取引までを電子化することで、生産効率を向上させ
ることが目的である。
CALSの骨格となるのは各種標準規格で、文書表記(文書の論理構造)の規格がSGML
(Standard Generalized Markup Language)である。→SGML
●DOM(Document Object Model)ドム
インターネット上には多くのWebページが存在している。これらは主にHTML(Hyper
Text Markup Language)で記述されているが、現在NetscapeやInternet Explorerの
ブラウザを通してインターネット上の情報を閲覧している。
したがってHTMLやXML(eXtensible Markup Language)文書を処理するjavaやjava
scriptなどの言語で記述されたプログラムも、多様なプラットフォームで動く必要が
ある。そのためにはプラットフォームに依存しないHTMLやXML文書を処理するための
インターフェイスが必要になる。そのためにW3Cで標準化されたのが「DOM」である。
Webページを構成するタイトル、本文テキスト、画像、表などの要素を、マウスや
キーボードの操作に合わせて変化させるなどの動的表現を可能にする技術である。→
HTML、XML、Java
●EC(Electronic Commerce)イーシー
「EC」とは、インターネットによる電子商取引のことで、SCMが拡張、高度化した
ものである。不特定企業や個人を対象にした新しい調達、販売プロセスを可能にし、
コストダウンや市場ニーズへの迅速な対応、市場開拓など、ビジネスの幅広い範囲に
影響をもたらす。eビジネスはこの範疇に入る。
e-ビジネスで使われる言葉に「B to B(Business to Business)」と「B to C(Business
to Consumer)」がある。B to Bは、企業間でインターネットを利用した電子商取引を
いい、B to Cは企業と消費者が、インターネットを利用して直接電子商取引を行うこ
とをいう。
「SCM」はサプライチェーン・マネージメントの意味で、原材料や部品の調達、製造、
物流、販売までをチェーン(鎖)状につなぎ供給する、インターネットを活用した管
理システムである。IT時代のカンバン方式といえる。
この方式は従来の専用システムとは異なり、発注企業が不特定多数の企業を対象に、
インターネット上に要求部品仕様を公開し、登録企業は誰でも入札に応じられるのが
特徴で、応じた企業の中から最低見積価格を採用する方式である。つまり逆オークシ
ョン方式である。
●EDI(Electronic Data Interchange)
ECやSCMに関連したシステムに「EDI」がある。ネットワークを使って企業間の商
取引を行うために、受発注などのデータをやり取りすることで電子伝票システムとい
える。
EDIは社内の見積、販売、原価、工程、進行、購買、在庫、財務管理などを、コン
ピュータ化して一元管理するシステムである。SCMへの対応や、インターネット上の
受発注システムを構築するためにもEDI化は重要である。
EDIに似たシステムに「ERP(Enterprise Resource Planning)」がある。ERPは企業
の基幹業務である販売管理、生産管理、在庫管理などの情報を一元的に統合管理する
システムをいい、「統合基幹業務システム」のことをいう。
●In RIPセパレーション(In RIP separation)/In RIPトラッピング(In RIP trapping)
一般的にカラー分解は、RIP以前のフロントエンド側でアプリケーションまたはプ リンタドライバがCMYKの分解データを作成する。ところがPostScript3対応のRIPを 使うと、RIP内部で製版に必要なセパレーションやトラッピングができる。これを「In RIP セパレーション」、「In RIP トラッピング」という。→RIP、トラッピング
●OpenType/OpenTypeフォント オープンタイプ/オープンタイプ・フォント
OpenTypeとはMac OSXでサポートされる新しいフォント・フォーマットで、これに
対応するフォントを「OpenTypeフォント」という。
OpenTypeは、米Adobeと米Microsoftが共同開発した次世代フォント・フォーマッ
トで、Mac OSXの新機能の一つである。Windows 2000で標準フォーマットになるとも
いわれ、また新しいDTPソフトの「In Design」(アドビシステムズ)でもサポートしている。
OpenTypeの特徴は、DTPの主流であるTrueTypeとType1のアウトラインフォント・
フォーマットの統合といえる。つまりTrueTypeとType1が受け入れられることで、見
かけ上1種類のアウトラインフォントを意味する。
Windows 2000とMac OSXがOpenTypeを採用することによるメリットは、真のクロ
スプラットフォームの実現であろう。
このMac OSXのフォント環境の特徴は、(1)マルチリンガル対応、(2)マルチフォーマット・フォントへの対応、(3)タイポグラフィ処理機能などがあるが、なかでも日本語フォント環境が大きく変わることである。
OpenTypeのフォント仕様の特徴は、17000字の文字セットをサポートすることであ
る。文字セットの内訳は、JISX0208とJISX0213(第3水準/第4水準)+独自追加字
種でUnicodeをベースにしている。
またMacOS]の標準搭載フォントは、従来のMac OSで搭載されていたOSAKA、平成明朝体、平成ゴシック体の他に、大日本スクリーン製造の6書体(明朝W3/W6、角ゴシックW3
/W6/W8、丸ゴシックW4)である。→TrueType、Type1
●SQL(Structured Query Language)
データベースを操作してデータの検索や変更、削除などの処理を行うためのデータ
ベース照会言語の一つで、ISO(国際標準化機構)が制定したRDB(Relational Data Base
=リレーショナル・データベース)のデータ定義や操作用の言語である。
RDBは2次元の表としてデータを管理するが、このデータ定義用言語をDDL(Data
Definition Language)といい、この表に対してデータの照会や挿入、更新、削除など
を行うためのデータ操作用言語をDML(Data Manipulation Language)という。
クエリ(query)は、データベース・エンジンに対する処理要求のことで、問合せの
意味である。データベースから目的の情報を得るためには、対象となるデータベース
名、データ抽出の条件、結果の並べ方などを指示する。→リレーショナル・データベ
ース
●XSL(eXtensible Stylesheet Language)
XML文書は、XMLパーサを使えばプログラムで処理可能であるが、そのままではHTML などのブラウザを通して人間が読もうとすると問題がある。フォントや文字間隔など の表示スタイル情報がないからである。つまりこのような文書の表示スタイルを指定 するための言語が「XSL」である。→XML
●今昔文字鏡 こんじゃくもじきょう/超漢字 ちょうかんじ
「今昔文字鏡」は、TTF(TrueType)版のフォント8万字を収容したフォント・パッ
ケージのことで、文字鏡研究会が基幹となって(株)エーアイ・ネットが開発した、フォ
ントおよび拡張文字コード体系である。
漢字をはじめ、甲骨文字や象形文字などを含めた世界各国の文字を収容し、コード
付けされている。文字検索方式は部首、扁、旁などに分解された部品から検索ができ
るようになっている。
書体は明朝体のみが販売されているが、ゴシック体も開発するとのことである。明
朝体のデザインは、伝統的な明朝体を見慣れたユーザーには違和感があるが、外字で
苦労しているユーザーにとっては歓迎されている。
また「超漢字」は、「BTRON」OSに対応したフォントセットで13万字をサポートし
ている拡張文字コード体系である。これもTTF版で、Windowsにもインストールでき
使えるようになっているが、いまでは「今昔文字鏡」の文字セットは「超漢字」に含
まれている。
●表面加工(surface coating)
表面加工とは、表紙やジャケットの印刷面を保護するために加工することをいう。 表面加工の方法には目的により(1)光沢コート、(2)プレスコート、(3)ラミネートなどに分けられる。
(1)光沢コート: ニス引きとも言い、枚葉印刷機にニスコーターを取り付け、4色印刷と同時にニスを塗布する方法と、ニス引き機やグラビア印刷機を使った加工もある。用途によりニスを変えて、耐熱、耐摩擦、耐水などを与えることができる。
(2)プレスコート:印刷物の表面に鏡面光沢をつける加工をいい、光沢コートの処理後に熱プレスを行う方法である。印刷面にアクリル樹脂などを塗布し乾燥させた後に、過熱したステンレス鏡面板に圧着して仕上げる。水性ニスや溶剤系ニスのほか、UVニスを塗布し、熱圧着させる方法がある。
(3)ラミネート:ラミネート加工のことでP.P.貼りとも呼ばれる。P.P.(ポリプロピレン)フィルムや、P.E.T.(ポリエステル)接着剤を塗布し、印刷物の表面に圧着加工する方法をいう。インキが十分に乾燥しないうちに加工すると、黄変するので注意が必要である。→ラミネート
●フレキソ印刷(flexography)
凸版印刷の一種で、フレキシブルな感光性樹脂またはゴム凸版を版材として、溶剤
乾燥型インキを用いて印刷する方式をいう。紙の他にポリエチレン、アルミ箔などの
非吸収材料にも印刷ができ、軟包装材料、段ボールなどの加工に用いられる。
今まで刷版は凸版製版方式であるが、最近ではレーザ彫刻機で直接イメージングし
て版を作る、フレキソのCTP(Computer to Plate)が注目を浴びている。→CTP
●プリフライト・チェック(pre-flight check)
デジタルデータの「事前チェック」の意味。印刷物作成のためのデジタル入稿は増加しているが、不完全なデジタル原稿が入稿されてくることが多い。印刷企業はクライアントに対して完全原稿を求めているが、実際にはデジタルデータを受け取るといろいろなトラブルが発生している。
デジタルデータは目に見えないため、作業に入る前に何らかのチェックが必要にな
る。印刷営業は原稿受取りに際して、アプリケーションやフォントの種類、データ作成
内容などの確認をしても、生産現場で実作業に入ると文字や画像の処理が不適切な場
合があり、生産性を阻害することになる。
これらのトラブルを事前に回避するために事前チェックは欠かせない。従来は人間
によるチェックが行われていたが、今ではコンピュータ上でソフト的にチェックがで
きるようになった。
2000/12/19 00:00:00