カラーマネジメントの普及
グラフィックス業界では、カラーマネジメントが注目を集めている。
それはDTPでの製作が定着して、コンピューターによるカラー画像処理システムが一般的になったためである。それに伴い、モニター上のイメージの色調と出力物の色調の違い、カラープリンターの出力イメージの色調と印刷物の色調の違いが問題となる。
印刷工程には、ベタ濃度、ドットゲイン、トラッピング、刷版の焼度など品質がばらつく変動要因が数多くある。いつも品質が安定した印刷物を作成するためには、印刷工程の標準化を行う必要がある。印刷工程の標準化及び安定化がカラーマネジメントシステムの前提条件になり、これを行わないとカラーマネジメントを導入しても成功は望めない。
印刷物を安定して生産するためには、主観的な評価から客観的に評価することが必要となる。
この度GretagMacbeth社から発売されたSpectroEyeは抜群の操作性で印刷工程の標準化の手助けをしてくれる。
SpectroEye開発コンセプト
GretagMacbeth社では1966年に初代の反射濃度計「D1」が開発され、その後改良を重ね現在の「D19C」まで数多くの濃度計を開発してきた。
1988年にはハンディタイプの分光光度計「SPM」が開発され、1999年8月に今回のSpectroEyeが長年の経験と現在のテクノロジーを駆使してここに誕生した。
印刷業界では長年にわたり印刷物の管理に反射濃度計が用いられてきた。その理由としては濃度による概念がこの業界には古くから定着しており、色度による管理が定着していなかった。CIEがL*a*b*色空間を規定したのが1976年であり、このころの分光光度計は非常に高価でサイズも大きく取り扱いが複雑であったのが起因していたのではないだろうか。
濃度計でプロセスカラーのインキ膜厚を管理するためにはそれぞれの補色のフィルターを用いて黒さの度合いを数値化する。プロセスカラーであろうとも、紙面の上に転写されるインキの膜厚を印刷の特性とするならば、それぞれの色の吸収ピーク波長を計測するのがベストであろう。
また、色(特色、インキや用紙などの原材料)を精度高く分析するためには濃度管理では限度がある。分光波長もしくはCIELABなどの表色系を利用した管理が理想である。
SpectroEyeは高度な分光光度計のメカニズムを持っており、内部解像3.3nmで分析し(128箇所)10nm毎のデータを出力するため、超狭帯域による高精度な測定を行うことができる。
1996年にISO 12647が制定され、カラー印刷物を製作する際の工程管理事項と具体的な数値が規定されており、ベタ色にはCIELAB値が基準とされている。この規定からもわかるように、印刷業界全体が分光光度計による管理の方向に動いている。
SpectroEyeは最高の測定精度を誇り、リーズナブルな価格で使いやすく、具体的に補正指示をしてくれる分光光度計と濃度計の機能を兼ね備えることによって、グラフィックアーツ業界に測色技術の新しい標準を提案する。
特 徴
大型画面による日本語表示
SpectroEyeでは、グラフィック表示が可能な大型LED画面を採用しており、わかりやすいメニュー方式で機能が日本語で表示される。グラフィカルなアイコンとバルーンヘルプを操作ガイドとして利用することで、ユーザーはすぐにSpectroEyeを生産現場で使えるようになる。
マルチプロセス機能
ユーザーのニーズが拡張していくのに合わせて、SpectroEyeの機能を拡張できる。必要な機能を注文して購入し、SpectroEyeにアクセスコードを入力してそれをアクティブにするだけで必要な機能を使用できる。
すべてのユーザーには装置に対する独自の要求がある。これは、印刷現場、インキ調合室、または品質管理のいずれの場においても当てはまり、ユーザーが訓練生であるか、熟練者であるか、品質管理者であるかを問わない。SpectroEyeは、個々のユーザーに関係があり、役に立つ情報だけを表示するように構成できる。これによって、スキルの習得が簡単になり、信頼性も上がる。
SpectroEyeでは、権限のないユーザーに重要なデータを変更されてしまわないように、自分だけのパスワードを選んで、独自の設定を保護することができる。
内蔵ホワイトタイル
常に最適な測定精度を保証するために、白色基準板が内蔵されている。本体のキャリブレイションは、オペレーターの介入を必要とせずに自動的に実行される。
イーサネットインターフェース
SpectroEyeでは、データを交換するために、通常のシリアルインターフェースよりも優れた高度なイーサネットインターフェースが採用されている。この高速でネットワークと互換性を持つ接続によって、データの高速転送だけでなく、インターネットを介した通信も可能になる。
コントロールホイール
今までの複雑なボタン操作がなくなり、コントロールホイールを使ってメニュー上を移動し、手のひらで測定ボタンを押すことで機能を選択する。左右どちらでも片手で操作できる。
伸縮可能な測定ヘッド
SpectroEyeでは、正確な位置決めと高精度な測定が保証されるが、手首に負担がかかることはない。読み取る色の上に測定アパーチャーを位置付けて測定ボタンを押すだけで、測定ヘッドが毎回伸縮して高精度な測定を行う。
ベストマッチ機能
ひとつの色に対してひとつの情報の濃度値に対して、測色値(たとえばL*a*b*)はひとつの色に対して複数の情報を与えてくれる。熟練者はともかく訓練生では測色値は扱いにくいものに感じられるだろう。ベストマッチ機能を使えば、具体的にインキ膜厚をどのくらい調整したら最小の色差が得られるかを指示してくれる。
デジタルカラーガイド機能
SpectroEyeには、最も一般的なカラーガイドであるPANTONE、HKS、TOYO、DICのデジタルバージョンが専用に開発されている。これらによって、特色のチェックが簡単になり、信頼性も増す。また、個人用のライブラリを作成して、よく使う基準値を保管することもできる。
使い方の提案
なぜ色を測るのか?
色を測定することにより、現実にインキの色を見る前に、規定の許容誤差範囲内に入っているか偏差を知ることができ、適切な処置を取れるからである。
SpectroEyeは、訓練されていない肉眼に比べると、約10倍の感度を持っている。構造的に動かないので、定期的な検査や較正に優れた再現性を示すことができる。
濃度値を利用することにより品質管理が可能である。
・校正刷りと本機印刷のコンディションの比較
・校正刷りと本機印刷時の調整確認
測色値を利用することにより品質保証が可能である。
・原材料の色差による確認
・校正刷りと本機印刷間の色差による確認
・ロット内における色差による確認
これまでになかった簡単な分光光度計SpectroEyeは、高度な技術が必ずしも使いにくいわけではないことを証明した。ボタンを押すだけで高精度な測定が行われ、複雑な計算や分析が自動的に行われる。
重要なのは、ユーザーの作業を理解することである。SpectroEyeは、インキ調合室、印刷現場、および品質管理部門における通常の作業手順を考慮して設計されている。理解しやすく簡単に構成できるメニューと機能をパッケージ化することで、SpectroEyeは、ユーザーの特定のニーズを満たすように設計されたツールとなっている。さらに、グラフィカルなアイコンとバルーンヘルプを操作ガイドとして利用することで、ユーザーはすぐにSpectroEyeを生産現場で使えるようになる。
あらゆる作業において作業を始めから終りまでドキュメント化することは、品質基準を維持する上で欠かせない要素である。SpectroEyeでは、許容度と測定条件を付加された最初の基準値から最後のサンプルまで、作業ごとのすべてのデータを記録して保管することができる。作業のデータをPC上で保存し、GretagMacbeth社のColor Quality ソフトウェアを使って分析することもできる。
基本モデルの基本機能
測定条件
測定アパチャー:4.5mm
物理フィルター:No-Filter、POL-Filter、D65-Filter
キャリブレイション:自動的に内蔵された白色タイルで白色キャリブレイションを実行
測定モード:反射
濃度標準:DIN 16536、DIN 16536 NB、ANSI Status A、ANSI Status T、ISO Status I (SPI)
光源:D50、D65、A、C、D30...D300、F1...F12、ユーザー定義
観測視野:2度、10度
白色キャリブレイション:絶対値、相対値
自動:カラー検出、濃度フィルター認識、平均化
濃度測定機能
濃度機能:濃度
分光測色機能
測色:CIE L*a*b*、CIE L*C*h (a*b*)、ΔE* CIELAB
分光:反射スペクトル
データベース機能
基準データ
サービス機能
インターネット / イントラネット:インターネット対応
ハードウェアチェック:自動機能テスト、定期的にキャリブレイションの自動チェック
データ通信
シリアルインターフェース:RS232C、SPMコンパチ
イーサネット:10 BaseT、10Mbps、FTP、HTTP、TCP/IP
プリンティングプロトコル:HP LaserJet、HP DeskJet、Seiko DPU、Canon Bubble Jet、ASCII
言 語
日本語、German、English、French、Spanish、Italian、Portuguese、Dutch、Swedish、Finnish、Danish、Chinese
価 格
基本モデル:ユーザープライス¥700,000
SpectroEyeについての詳細な情報は、GretagMacbeth社SpectroEye専用ホームページ:
http://www.spectroeye.com
または、株式会社きもとのホームページ:
http://www.kimoto.co.jp
にアクセスしていただきたい。
(株)きもとのショールームに起こしいただければSpectroEyeをごらんいただくことが可能である。
(株)きもと プリンティング事業部
東京都新宿区新宿2-19-1
TEL03-3350-0701 E-mail: ccs@kimoto.co.jp
1999/09/20 00:00:00