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佐川印刷/高精度な印刷色校正を実現するカラーマネージメントシステム「SWICA」

佐川印刷株式会社(代表取締役社長:木下宗昭)は、独自のカラーマッチング技術とエプソン製のインクジェットプリンターを組み合わせたカラープルーフィングシステム「SWICA」を開発、関連会社であるエスピーメディアテック株式会社(代表取締役社長:宇山明彦)を通じて9月下旬より販売を開始する。

デジタルプリプレスの急速な進展と共に、カラープルーファーを使って校正刷りを作成するDDCP(Direct Digital Color Proofing)の必要性が求められている。特にCTP(Computer To Plate)の実用化が進みつつある現在、DDCPはコアテクノロジーのひとつとしてその重要性をますます高めている。また、DDCPのカラーマッチング精度は顧客満足度を高める重要なファクターであり、将来的にはクライアント側にプルーファーを置いてオンラインで校正刷りを提出するリモートプルーフィングの実用化へもつながるものである。

佐川印刷では、1994年に初めて校正用のインクジェットプリンターを導入以来DDCPの実用化を追求し続けており、特に1997年にグラビア出版印刷事業を開始するにあたっては、ダイレクト彫刻によるフルデジタルラインの一部として校正のDDCP化を実現した。この間佐川印刷では、国内外の多くのカラーマネージメントシステムを評価してきたが、現在市場に出ているカラーマネージメントシステムの多くは佐川印刷が目標とするカラーマッチング精度(ISO12640カラーチャートのエレメントS7とS8における印刷物とプルーフ出力物との色差が△E3.0以下)のレベルには達し得なかった。その為佐川印刷では目標カラーマッチング精度を実現することを目的とした独自のカラーマネージメントシステムの開発を進めてきたが、本年7月その目標を達成し運用を開始するに至った。

SWICAは、佐川印刷社内での使用を目的として開発・運用されてきた独自のカラーマネージメントシステムをベースに、低価格ながら品質の高いエプソンのインクジェットプリンターを接続できる様に新たに開発したものである。

販売価格はソフトウェアのみで80万円を予定しており、IGAS 99では株式会社トゥーのブースで公開される。

■開発の背景
佐川印刷では、1994年に初めて校正用のインクジェットプリンターを導入以来、プリプレスのデジタル化の一環としてDDCPの実用化を追求してきた。特に、1997年にグラビア出版事業を開始するにあたり、ダイレクト彫刻によるフルデジタルラインを構築、営業・製造の両面から校正のDDCP化を実現した。現在同事業の拠点である日野工場を中心に11台のIRISインクジェットプリンターが稼働しており、クライアントからも校正刷りとして十分な認知を頂いている。

この間佐川印刷では、DDCPの実用化にはプルーファー自体の精度だけでなく、カラーマネージメントの精度も品質向上の重要なファクターであるとの認識に立ち、国内外の多くのカラーマネージメントシステムを評価してきた。しかしながら、目標とするカラーマッチング精度(ISO12640カラーチャートのエレメントS7とS8における印刷物とプルーフ出力物との色差がΔE3.0以下)に達したシステムはなかった。また、カラーマネージメント機能の多くも現場レベルが必要と考えるものとは相違しており、結果的に十分な使い込みが難しいものであった。

その為佐川印刷では、プリプレス現場からの要望を最大限盛り込みつつ、目標カラーマッチング精度の達成とDDCPの利用範囲の拡大を目指して研究を進めてきたが、本年7月その目標精度を達成し運用を開始するに至った。

現在佐川印刷社内では、自社カラーマネージメントシステム+IRISの組み合わせで校正を出力しており、平均色差もΔE2.0台を実現している。

■高精度で安価なカラープルーフィングシステム「SWICA」
CTPワークフローの要として、また来るべきネットワークプリプレス時代のコアテクノロジーとして、カラーマネージメントの重要性はますます増してきているが、実際のプリプレス現場での運用を見ると理想との大きなギャップが存在している。高価で使いにくく、しかも満足いくカラーマッチング精度が得られない、などの声も多い。

佐川印刷では、クライアントや協力会社または支店営業所などの現場で、DDCPレベルの高いカラーマッチング精度の色校正が得られること、またデジタル化の大きなメリットであるオンライン色校正=リモートプルーフィングを将来的に可能にすることを目指して、今回カラーマネージメントシステム「SWICA」の販売を開始した。

この製品は佐川印刷社内での使用を目的として開発・運用されてきた自社カラーマネージメントシステムをベースに、エプソンの安価で高品質なインクジェットプリンター「MAXART PM-9000C」と「Super Colorio PM-3000C」を接続して、プロフェッショナルレベルの品質とハイコストパフォーマンスを実現したものである。

■国際標準のICCに準拠
カラーマネージメントの国際標準規格であるICC(International Color Consortium)に準拠しているので、各社のICCデバイスプロファイル作成ツールで作られたプロファイルを使用することができる。

■Apple ColorSyncに完全対応
Mac OSの標準カラーマネージメントエンジンであるAppleColorSync Ver.2.5以降に完全対応しているので、Mac OS上での確かな安定性が保証される。

■ピンポイントカラーコレクション機能
色空間上の目的色をCMYKベースで自由に変更することができるので、プロファイルレベルでは正確なマッチングが行えなかった色や、レイアウトの関係で視覚的な色差が発生する色などに対しても適切なカラーコレクションを行うことができる。コレクション指定とその影響範囲が指示される度に「SWICA」は色空間の再配置計算を実行して、常にプロファイルレベルの非線形特性を維持した自然な色空間を保つ。

■ダイナミックペーパーシミュレーション機能
印刷本紙の紙色だけでなく質感もシミュレーションする為に、「SWICA」では紙色指定だけでなくノイズによるがさつき感も指定することができる。ノイズ指定は強度と分布量を個別に行えるので、より正確な質感シミュレーションが実現できる。更にインクの面積率に合わせて紙色の影響率をダイナミックに調整する「SWICA」独自のダイナミックペーパーカラーシミュレーション機能により、かつてないリアルなシミュレーション結果を提供することができる。

■オペレーションログ機能
「SWICA」上のカラーマッチング−出力作業は常に画面上のログモニタに内容が表示されるので、いつでも必要に応じて作業履歴を参照することができる。また、ログ内容は自動的にログファイルとして保存されるので、例えば再校を出力する際に初校時の出力設定が判らなくなっても、ログファイルを参照することにより初校時の設定内容を確認することができる。

■コレクションログ機能
ピンポイントカラーコレクション機能による色修正作業はコレクションログとしてLUT内に保存されるので、過去の修正履歴はすべて遡って参照することができる。LUTを作り直す際にも、このコレクションログを参照して特徴的なカラーコレクションを抽出することにより、より迅速なLUT作成を行うことができる。

■ホットフォルダ機能
ホットフォルダを設定して作業を自動化することができる。例えばRIPからホットフォルダ内へプルーフ用のTIFFファイルが生成されるように設定すれば、RIP処理→カラーマッチング→プルーフ出力までがノンオペレーションですべて自動的に行われる。

■CTPワークフローにジャストフィット
「SWICA」は各社のRIPシステムからのアウトプットファイルを受け取れるので、多くの場合特別なオプションなしで容易にCTPやイメージセッターを中心としたワークフロー内に組み込むことができる。

対応可能な主なRIPシステム:Brisque(サイテックス)、Delta RIP(ハイデルベルグ)、Taipan(アグファ・ゲバルト)、RENATUS(大日本スクリーン製造)、Harlequin Script Worksをベースにした各社RIP、etc.

■DDCPの未来形−リモートプルーフィングにも対応可能
僅か300KB程度のLUT中にカラーマッチングとペーパーシミュレーションに必要なすべての情報を含んでいるので、遠く離れたクライアントのオフィスに置かれた「SWICA」を電話回線や衛星通信等で一元的に管理することができる。そのため、将来実用化が期待されるリモートプルーフィングにも有効に活用できる。

■SWICAとは
 SWICA (SAGAWA WONDER INTEGRATED COLOR ARRANGEMENTの略称)

■製品仕様
製品名:
「SWICA」
動作環境:
 コンピュータ;iMac/333 推奨、又はUSBポートのあるPower Macintosh
 OS;Mac OS 8.51以上 Color Sync 2.5以上必須
 メモリ;128MB以上
 HDD;1GB以上の空き領域
 モニタ;15インチ以上、解像度800×600
対応フォーマット:TIFF、TIFF/LZW、Scitex Handshake/CT
対応プリンタ:エプソンPM-9000C及び PM-3000C  *PMシリーズの他機種については「SWICA」販売代理店にご相談下さい。
パッケージ内容:ソフトウェアーCD-ROM、USB対応ドングル、マニュアル、ユーザー登録カード

佐川印刷株式会社
〒617-8588京都府向日市森本町戌亥5番地の3
電話075-933-8081(代) FAX 075-934-0039

1999/09/20 00:00:00


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