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日本語入力方式の歴史−印刷100年の変革

今では、日本語入力方式は「かな漢字変換方式」が一般的になっているが、歴史的にみて入力方式は自動モノタイプ・システムから電算写植システム、ワープロまでいろいろな方式が開発され、先人たちの苦労を窺い知ることができる。温故知新の意味で、それらを知ることは無駄にはならないことと思い、紹介する。

1)キーボード方式
・フルキー多段シフト式(全文字配列)
・連想コード式
・三角編号法
・かな漢字変換式

2)タブレット方式
・ペンタッチ式(全文字配列)
・ペンタッチ・かな漢字変換式
・タッチパネル式
・ OCR方式

3)手書き入力方式

4)音声入力方式

などである。このうち印刷業界で使われた代表的な入力方式は、1)のキーボード方式 と2)のタブレット方式であるが、メーカーとシステムにより入力方式と収容文字数が異 なっている。次にシステムに関連した入力方式を上げると、

1.自動モノタイプ用
1)キーボード方式で1つのキーに4文字収容し、4字の選択(シフト)はフートペタ ル(両足を使い分ける)を使ってシフトする。入力は両手が使えるので能率的であ る。収容文字数は約2000〜3000字。
2)キーボード方式で1つのキーに12文字収容し、12字の選択は左側にある12個のシ フトキーによりシフトする。収容文字数は約4000字。
3)ペンタッチ方式の全文字をタブレット上の文字盤に配列したもので、各文字の上を ペン状のもので押し文字を選択する。収容文字数は約2300〜2500字。

2.電算写植用
電算写植用は高度な組版機能をもつため、文字キーの他にファンクションキーを用意し ている。
1)1つのキーに8文字収容し、8個のシフトキーによりシフトする。収容文字数は約 7600字(オプションで約10700字)。
2)1つのキーに12文字収容し、12個のシフトキーによりシフトする。収容文字数は約 5000字。
3)1つのキーに30文字収容し、30個のシフトキーによりシフトする。収容文字数は約 5000字(オプションで数千字追加可能)

以上の方式は、いずれも全文字配列方式であるから入力速度に限界がある。この他にユ ニークな入力方式の「連想コード方式」と「三角編号法」がある。

「連想コード方式」は「ラインプット式」と呼ばれる、漢字をカナ2タッチの連想コー ドで入力する。例えば「母」の字を「ハハ」、「公」の字を「ハム」などと入力する。後年 松下電器のワープロに、特殊キーボードとともに連想コード入力が採用された。カナキー ボードで文字キーは少なく両手が使えるため、入力能率は他の方式に比して数倍が可能で ある。ただしオペレータの習熟を要する。

「三角編号法」は、情報処理システムのWANGの漢字入力方式で、主に情報処理の漢字入 力に用いられていた。文字を扁や旁などのエレメントに分解し、部品化したキーを盤面に 配列してある。各部品を組み合わせて入力することで、所定の文字が入力できる仕組みで ある。次回は「欧文活字組版の機械化」について解説する(つづく)。

他記事参照:DTP玉手箱

2001/06/11 00:00:00


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