近年最も伸張したOSはLinuxであるが、多くの人がかかわった分、多くの紆余曲折があった。もっとも騒がれたピークは1999年秋にレッドハットが株式公開をした頃で、続いてカルデラ、その年末にはVAリナックスが公開したものの、2000年からITとつけば何でも投資家が集まるようなことはなくなり、株式公開の4番手はまだ現れていない。それどころか他のIT関連同様に、身売り、事業縮小、統廃合の時期に入って、ビジネスとしての底力を見せつける段階には至っていない。
だいたいLinuxを開発した本人でさえLinux企業では働いていないのだから、マイクロソフトやサンやアップルやアドビなどのような強力なプロモーターが中心にいる企業がひしめいている世界では、純粋Linux勢はビジネス勢力として非常に心もとない。
にもかかわらずLinuxは一定のニッチを獲得してきた。特にWEB関連サーバーでは大きな存在で、WEBに早くから取り組んだアメリカの新聞社でもWEBサーバとしてよく使われている。さらにfreeソフトの充実をみた近年は、新聞システムが、編集、制作、コンテンツ管理、販売管理、広告管理など、これまで個別に動いていたシステムの統合化をするにあたって、WEB技術による作りこみがLinuxベースでも行われる。
これは新聞システムが元々UNIXがそれなりにあり、ダウンサイジングといわれていた時代の人々がまだ居るからLinuxにも取り組みやすかったと思える。早くから広告の配置をダミーで決めるシステムLayout-8000を作っているSCSは、今ではページネーションまでも含んだ総合システムを提供していて、WindowsNTも対応できるが、Linuxで投資効果のよいシステム提供をしようとしている。
新聞を中心としたGannettグループのシステム会社も、DAM(アセッツ管理)をLinux上にOracleで構築し、すでに20数新聞が採用している。新聞システムではこの20年くらいUnixの独立SI業者がかなりいるので、そういった実力のある分野ではLinuxがよいであろうが、やはりニッチ市場の域からはでない。
これらの企業はかつて扱っていたIBMやHPのUnix(かつてのSun、DECも同じだろうが)が高くつくからLinuxを採用しただけである。その人たちはIBMもLinuxを採用したことで自分たちの方向が裏付けられたと感じている。
一方IBMはLinuxに取り組んでいるが、それはLinuxの技術を取り込もうということ以外に、Linuxを使っている他社の客もそのうち取り込もうという気があるかもしれない。誰かがLinuxで始めたビジネスがスケールアップする時の受け皿に自分らがなろうと考えても不思議はない。
2001/07/12 00:00:00