東京都庁舎・都議会議事堂内にある都政ギャラリーで、7月17日から30日まで、東京を描く市民の会による「残したい風景展」が開催されている(午前9時〜午後5時、土日祝休館)。
都政ギャラリーでの「残したい風景展」は毎年行われており、今年で6回目を数える。作品の多くは水彩あるいは油彩だが、パステルやアクリル、切り絵、写真と多様だ。描かれている風景には東京駅や、迎賓館、靖国神社など名所として知られる場所もあるが、千駄木の解剖坂、雑司ヶ谷の旧宣教師館、青山の同潤会アパートなど、普段何気なく通り過ぎるている街並みも描かれている。ちなみに、千駄木・解剖坂の名前の由来は不明だが、隣接する日本医科大学に関係があると言われ、汐見坂とも呼ばれている。
同じ場所を描いていても、描き手により、趣がまったく異なるところも、写生のおもしろさだろう。いつまでも残しておきたいと思う一方で、いずれは無くなってしまう風景だから、自分のものとして残しておきたい、そんな懐かしさと寂しさが同居する心象が描かれている。 東京を描く市民の会は、来年の10周年記念イベントに向けて、会員によるハガキサイズの作品を、タイムカプセルとして江戸東京博物館(東京・両国)に保存することを計画している。また、同時に同会のホームページを立ち上げ、インターネット上で活動や作品の紹介を行う予定である。
東京を描く市民の会は、2002年の4月で設立10周年を迎える会であり、美術愛好家、画家、写真家、建築家などの集まりで、芸大・美大教授やOBも所属しているものの、初心者・専門家の区別なく入会できることから、現在、会員数は約900名にのぼる。
同会世話人で、東京建築士会会員の都築隆氏によると、同会は1989年に発足した「東京駅赤レンガを保存する会」が、毎年5月3日の建国記念日に行う写生会から派生したもので、東京の街並み、景観を守ることを目的として始まったという。また、今年で活動17年目に入る「神田の街を描き続ける会」のメンバーも発足に参画している。移り行く東京の街並みをスケッチすることで、心に残す風景として写し取っている。
詳細記事および作品の誌上展示は、月刊プリンターズサークル10月号にて掲載予定。
2001/07/24 00:00:00