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年間2億円の売上達成の秘訣

地方の60人規模の商業印刷会社に、年間2億円以上をコンスタントに売上るトップセールスマンがいる。仮にA氏とするが、A氏がアイデアマンであることがトップセールスマンであることの一つの要因である。しかし、それだけではなく、その能力をフルに発揮するベースとして過去の受注実績データを有効に使っていることが成功の秘訣である。
A氏は、過去の受注について、何月にどの得意先からどんな受注を受けたかの実勢データを整理して持っている。この記録をどのように使うかというと、たとえばいまが10 月だとすれば、過去3ヵ年ほど遡って10月、11月、12月、そして1月に受注をした仕事を、同データをもとに得意先ごとに本年度も受注があるかどうか確認、その上で発注依頼をしていく。つまり、3ヶ月先の先行受注獲得行動に使うのである。

3ヶ月先の受注実績を調べて動く第一の理由は、リピートとしての受注をより確かなものにすることと、少し先までの売上見込みを押さえてより確かな目標達成の見通しを立て、もし不足分があると思われる時は、早くからそれをカバーする方策を考え行動するためである。例えば、A氏の各月の売上の内容は、3ヶ月前に行動して獲得した分が2割、2ヶ月前に行動した分が3割、1ヶ月前に行動した分が2割、そして該当月に行動した分が3割といった構成になっており、受注金額は当然目標をオーバーしたものになっている。これに対して、先行受注行動をしない営業マンの売上構成は、1ヶ月ほど前から行動した分が3割程度で、あとは該当月に行動した分だけになって、結局目標は達成できないというものである。

3ヶ月先行受注獲得行動を行うもう一つの理由は、3ヶ月程度の時間余裕があれば、同じ種類の仕事であっても得意先に対してさまざまな提案をすることができるからである。もし、1ヶ月程度前での打診であれば、時間的な面から前回どおりで作ることが精一杯になるだろう。しかし、3ヶ月の時間があれば、たとえばより目に付くカタログにするために版型を変えてみるといったことを提案して検討してもうことができる。顧客に対してはより効果が高い印刷物の提案ということになるし、自社にとっては売上面で有利に導くことも可能になる。
企画提案というと、新規開拓向けの専売特許のように考えがちだが、リピート物に対して的確な提案をすることは頼りにされる営業の重要な要件であろう。

かくして、A氏は顧客からはいろいろ考えて提案してくれる頼りになる営業という評価を得るとともに、リピートの仕事は確実に受注するし、目標不足分には先手先手で手を打っていけるので、常に売上目標をオーバーしている。
さて、A氏の場合には、自分自身の独自の受注実績データをベースに上記のような行動をとっている。それは、なかなか常人が出来ることではない。しかし、販売管理にコンピュータを使って過去の受注、売上実績をコンピュータデータとして残しておけば、図のようなデータを各営業マン毎に出すことは簡単である。過去の実績データを有効に活用した3ヶ月先行受注管理を実行してみてはどうだろうか。

2002/10/08 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会