DBパブリッシングとは,印刷物の制作を目的としてテキストデータをDBに格納し,テキスト校正を終了した後に,組版レイアウト情報をバッチ処理にて付加するといった処理の流れを呼んでいる。レイアウト情報の付加は,DTPソフトの場合,サードパーティ製のプラグインソフトを利用したり,各ソフトの専用タグを使用する方法などがある。
DBパブリッシングのメリットは,テキストデータの入力・整理・校正作業の簡略化と,レイアウト情報の流用によるレイアウトの自動化(コンピュータ上の一括処理)である。
しかし,このメリットは制作・印刷会社の中のメリットであり,コスト・納期の面でクライアントに還元されている。すなわち,クライアントの要求によるものではなく,制作・印刷会社側の差別化の結果とも言えるだろう。
DBパブリシングで手掛けられる事が多い印刷物として,商品カタログ,通販カタログ,チラシ(小売流通・中古車・住宅・旅行・求人),マニュアル,辞書・用語辞典,情報誌(中古車・住宅・旅行・求人・就職),時刻表,電話帳,名簿などがある。いずれもデータ件数は多いが,組版レイアウトがパターン化しやすいものという特徴がある。
DBパブリシングの問題点として,自動レイアウトした後にレイアウトソフト上でテキスト修正をした場合,DB上のテキスト修正をシステム的におこなう方法がない,といった問題が指摘されることが多い。しかし,印刷物によっては,レイアウトソフト上で修正しないというルールにて運用することもおこなわれている。また,専用ソフトの中には独自機能にて解決している場合もある。
「自動レイアウト」「印刷物の制作」を目的としたDBパブリッシングという意味では,完成した技術と言えるだろう。
クライアントサイドからの要求
Webの利用が急速に広がったことにより,クライントサイドからの新たな要求が大きくなっている。すなわち,印刷物制作と同時にWebに情報を発信したいということである。情報誌やカタログ・チラシ,マニュアル,用語辞典など既にWebでの情報発信は当然のごとくおこなわれている。しかし,現時点では印刷物とWeb情報が別々に作られることも少なくないようである。また,印刷物の制作は,週刊であるもの,月刊であるもの,また年に数回,年一回のものなど様々である。それに対して,Webでは常に最新情報が求められている。必要なときに必要な情報だけを取り出すオンデマンドな情報提供が求められる。
また,常に最新情報を発信するためには,クライアントサイドと制作会社間でのWebを利用したリアルタイムの情報共有が必要になる。頻繁な情報の更新とチェックをおこなうには,何らかの共同編集システム,または何らかのアセット管理システムでの情報共有なしには構築できない。
クロスメディアへの発信を実現する技術
一方,Web環境の進展に伴いXML技術が注目されている。XMLは前述のWeb・印刷物の並行した制作,ワンソースマルチユースに向いた技術と言えよう。また,Webを活用した電子商取引にもXMLの利用が欠かせない。
同様に,Webの進展に伴いPDFも注目を集め普及を加速している。Web上でのPDFによる情報発信の利点は,印刷レイアウトを保持した情報発信が可能であること,また電子認証や改竄防止機能もあることだろう。
DBパブリッシングは,制作・印刷会社の中での効率化を意味しており,その目的は実現されている。現時点では,多くのクライアントは,無駄な印刷コストを削減し密度の高い情報発信を実現することを望んでいる。すなわち,クロスメディアへのパブリッシングを可能にする,新たなDBパブリッシングが要求されている。
それを実現するには,XML技術を活用することと,印刷物と共にPDFなど様々な発信形態をサポートできることが必要である。また,共同編集システムを構築し常に最新情報を更新すること,オンデマンドでドキュメント生成をおこなう技術が必要である。
Techセミナー「クロスメディア志向へ進化するDBパブリッシング」では,クロスメディア志向のDBパブリッシング,印刷物と電子ドキュメントのダイナミック生成を実現した先進的なシステム構築と事例について取り上げます。
2002/12/12 00:00:00