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電子書籍コンソーシアム,実証実験開始

電子書籍コンソーシアムは,11月1日より,ブックオンデマンドシステム総合実証実験を開始した。コンソーシアムは,1998年10月に発足されこれまで電子書籍に関するさまざまな検討や研究が行われてきた。そして,平成10年度第一次補正事業の支援をえて,ブックオンデマンドシステム総合実証実験が実施される。今回の実験では151社が参加し,衛星通信、販売端末、携帯読書端末を用いて、約5000点のコンテンツの配信、販売の実証実験が行われる。

(1)豊富なコンテンツ

電子書籍コンソーシアムでは,各出版社から委託を受け,小説,評論,コミックなどの書籍約5000点を実験期間中に電子化し,コンテンツとして提供する。2000年1月までに5000点の電子化を実現する予定である。

文庫は,朝日文庫,角川文庫,講談社文庫,集英社文庫,小学館文庫,創元推理・SF文庫,文春文庫から夏目漱石などの名作をはじめ江戸川乱歩の推理小説などが提供される。叢書・選書では朝日選書(朝日新聞社),NHKブックス(NHK出版),地球人ライブラリー(小学館),できるシリーズ(インプレス),ブルーガイド(実業之日本社)などからパソコン書や旅行など趣味・実用関連の書籍が提供される。コミックでは,あしたのジョー(講談社),ゴルゴ13(小学館・リイド社),Dr.スランプ(集英社)など,通読を前提とする長編ものが中心に提供されている。

(2)新しい読書スタイルに向けたビューアとシステム

利用されるシステムにおいて,通信回線はNTT東日本・NTT-Xが担当し,衛星配信技術を活用した電子書籍の配信システムを開発する。ビューアはシャープが担当し,書籍の電子化技術の提供や電子化センターの運用,液晶で高解像度の電子書籍リーダ及びPCビューアを開発する。日立製作所は,電子書籍の蓄積管理システムの開発を始め,衛星配信された電子書籍を蓄積・販売するメディアスタンドを開発する。

(3)電子書籍流通

衛星通信で書店やコンビニエンスストアにメディアスタンドを設置し,読者はそこでコンテンツを購入する。これにより,未来の書店のありかたを探る。現在,青山ブックセンター新宿ルミネU店や,ジュンク堂書池袋店,丸善日本橋店,ローソン大井店や大学生協なども参加している。

1500名の読者が協力

実験の参加モニターとして,9月17日から10月4日までの期間,実験へ協力する読者が募集された。読者として,週1冊を目安に電子書籍を自費で購入し,実験期間中に実施される3回のアンケートに回答することが,募集資格として要求された。応募者は電子書籍リーダーでは500名,PCビューワでは1000名の定員に達したという。実験は1999年11月1日から始まり,コンテンツ販売期間は2000年1月31日まで,電子書籍リーダー利用期間は2月19日まで,PCビューア利用機関は3月31日まで行われる。

参考:浮上するeBook

1999/11/16 00:00:00


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