クライアントからの短納期要望は強まるばかりで、工程管理においてもとにかく納期優先で作業が進むことが多い。とはいえ受注単価が下落している昨今、利益を出すためには予定通りに作るだけでなく、いかに効率良く作るかが大きなテーマとなる。
イントラネットの普及などにより、工程や部門をまたがって進ちょく情報を共有する仕組みを比較的容易に構築できるようになった。これにより工務部門の負荷はかなり軽減されるものの、製作プロセスそのものの効率化には結びつきにくい。
効率を改善していくためには、まず現状の効率を評価する仕組みが必要となるが、実際問題として非常に難しい。特にプリプレス部門では、入稿形態が多様化し、かつデジタルデータでの入稿が急増していることやデザイン要素の高い仕事があるなど、さまざまな要素が絡み合って一筋縄ではいかない。
こうした問題があることを踏まえた上で、一歩でも二歩でも前に進むために、従来ベテランんの工務担当者は、どのようなことを考慮しながら日程計画、工程管理をしていたのか基本に立ち返りながら整理したい。
ポイントは各社ごとの標準仕様手順書や標準工数の設定であり、特に業務管理システム更新時には、こうしたことを念頭においた仕様設計が求められるのではないか。
ベテランの工務担当者が豊富な経験と知識をもとに半ば無意識のうちに行っている作業を要素ごとに分解してみると、ある仕事を受注したときに、どのように工程を組み立てて現場に指示しようかと考えるときには、仕様設計と手順計画、工数計画と日程計画の4つが基準となっているようだ。
(1)基準日程の決定
手順計画、工数計画によって各工程での所要時間(負荷量)が算定されたが、実際に作業に移ったとき、これらの作業時間内に作業完了するとは限らない。工程または作業の中には、いくつかの先行作業が終わってからでなければ開始できない作業もある。すなわち、作業の干渉や順序によって生ずる待時間、停滞時間などの余裕時間を加味する必要がある。この余裕の時間と所要時間とを合わせた時間を基準日程という。各工程の「個別基準日程」を工程順に組み合わせたものが「総合基準日程」である。
(2)各工程の負荷調整
各工程の負荷調整をする方法のひとつに山積み法がある。手順としては、まず各工程ごとの基準日程(個別基準日程)をもとに入稿日に近い日から各工程の作業日を割り付けていく。このとき、各工程での基準能力を超える場合には、次に近い日に割り付けを行う。そして、クライアントの希望納期に間に合わない仕事の場合、納期を基準として逆に山積みしていき調整する。社内で対応できない場合は外注活用も考慮する。
(3)作業予定表の作成
以上で一つの仕事について各工程での作業日が決定されるが、これを基に各種手配の手順、日時を含め生産予定表としてまとめる。
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2003/05/30 00:00:00