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DTPエキスパート受験勉強お助け日記

JAGAT認証エキスパート 坂本 綾


理論だけではなく体感で覚える
 エキスパート試験合格への第一関門は,勉強時間の確保と,確保した貴重な時間の有効活用にあります。
 前回は,特に通勤中や勤務の合間などの細切れになった時間を利用した勉強方法について考えてみました。
 今回はそれに続いて,帰宅後や休日など,比較的まとまった時間の活用方法について考えてみましょう。

 前回お話しした「細切れの時間」の弱点は,たくさんの参考書を一度に開いたり,実際に手を動かして書いたり計算したりできないというところにあります。
 ですから,まとまった時間ができた時には,ひとつのテーマについて納得いくまで多くの資料を参照して,理解を深めることをお勧めします。

 問題や解説の中のわからない単語について参考書で調べたり,雑誌のバックナンバーの関連記事を読んだり,CIE XYZ色度図とL*a*b*のように,別々の例題に登場する内容を自分なりにまとめてみたり。学生に戻った気分で,結構楽しくできるものです。
 私の場合,例題に出てくるグラフや模式図を,線の形や位置,目盛りの位置や単位などが再現できるまで,何度も自分で描いたりもしました。
 こうすることで,例題の解答を機械的に暗記するだけでなく,グラフの示すさまざまな意味を理解しようと考えたのです。

 ほかにも,面付けルールを覚えるために,実際にメモ用紙を折り畳み,ノンブルを書いてから広げる練習をしたこともあります。
 参考書の図をにらんでいるだけではなかなか覚えられないものですが,実際に手を動かしてみると,覚えなければならないのは,時計回りに90度ずつ回転させながら折ることと,「右綴じと地袋」「左綴じと天袋」の関係を保つルール(本掛けの場合)だけということがよくわかります。
 何度か練習すれば,頭の中だけで面付けができるようになりますし,試験会場で度忘れしても,手で覚えたことは意外に思い出せるものです。

瞬間的な判断力と本質的な理解が重要
 このように,むやみに覚えようとしても難しい事柄が,基本的な理論を理解したり,実際に手を動かして体感することで簡単に身につくことはよくあることです。
 つまり,問題が解けないのは記憶力だけの問題ではないということ。このような勉強の際には,まずは「暗記したか,していないか」にこだわらず,設問の背景となる基本的な技術や工程の全体像を理解することを主眼に置くのがポイントです。

 日々の仕事では,日常的なパターン化した作業でいちいち考え込みながら処理していたのでは,時間がいくらあっても足りませんから,反射的にこなせるぐらいの慣れと訓練が大事です。
 ところが突発的な事態や,少し応用が必要な仕事を的確にこなすためには,日々の作業の背景にある全体像や,仕事の流れを支える技術的側面に対する深い理解が必要になってくるのです。
 ベテランと呼ばれる人の「実力」は,この部分に根ざしたものだということは皆さんにも賛同していただけるでしょう。

 エキスパート試験が受験者に求めるものもまた,この瞬間的な判断力と本質的な理解という2つの力ではないでしょうか。
 瞬発力は例題を繰り返し解くことで身につき,基礎体力にあたる理解力は,じっくりと腰を据えた学習から生まれるもの。多様な学習方法の組み合わせで,両方をうまくカバーしてください。

(「DTPエキスパート受験勉強お助け日記」は月刊プリンターズサークルに連載しています。)

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1999/11/25 00:00:00


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