IGAS2003(主催:印刷機材団体協議会)は本年より世界4大国際展示会として4年に1回の開催になった。9月22〜28日の7日間,東京ビッグサイトを会場に,入場者数12万539人,そのうち海外から1万2544人を数えた。出展社数は450社,出展小間数4500小間の規模となった。また,同時に世界印刷技術者会議(主催:社団法人日本印刷産業連合会)も開催された。
今回のIGASでは生産のマネジメントに関わる商品やサービスがたくさん出展され,印刷の生産性向上を機械設備だけに頼る時代が終わりつつあることを感じさせてくれた。出展の中心は,成熟した生産技術を支える,さまざまな管理システムやツールによるさらなる効率化への提案であるが,例えばオフ輪の店名差し替えデモでは,わずか2分半でのジョブチェンジを見せてくれたように,ほかの版式に比べてオフセット印刷分野はCTP化とも相まって,極限まで生産効率を高度化させてきた。しかしここまではいまだクローズドループにおける高度化である。
そして次には工場全体,自社の分散工場,さらにはコラボレーション先との密な連携に必要なオープンループにおける高度化の追求である。これがMIS〜工程管理〜生産機器をデジタルネットワークのループ(輪)につないでいこうというCIP4/JDFの提案である。また品質管理は工程全体を貫くカラーマネジメントと構築という,印刷という成熟産業における生産工程の生き残りの一つの姿を体現させてくれた。
品質管理はカラーマネジメントが中心であるが,デジタルカメラ〜DTP〜印刷まで一気通貫で支える,いくつものサービスやツールがあった。
そして、プリプレスはますますオープン化の方向であるし、特に新製品や参考品の多くは、PODのようにワークフローを想定しそこにマッチした機器やソフトの選定をしなければならない。機械でビジネスをする時代から脱皮して、ワークフローつまりはビジネスモデルで収益を造る時代であり、機材展に見る最新の機器やシステムも、よくよく考えて取り組まなければならない。この流れはdrupa2004でも同じであろう。
プリプレスベンダー4社のプロジェクト活動
Mac OS X+OpenType+PDFの時代へDTPアプリとしてInDesignの普及を狙うベンダー4社(アップルコンピュータ、アドビ システムズ、大日本スクリーン製造、モリサワ)が合同で「TNGプロジェクト」のアピールを兼ねたセミナーが行われた。同プロジェクトでは「このMac OS Xによる新世代DTP推進プロジェクトでは新しい世代のデジタルパブリッシングのワークフローの普及とスムーズな移行を推進するため経営者の為の導入セミナー、Touch&Tryを実現するパブリックショールーム運営、またユーザーの為のテクニカルセミナーなど多彩で有意義な情報発信をおこなう」と宣言している。DTPのオープン化をベンダー連合がサポートしようという流れである。
フォント
モリサワ OpenTypeフォントは新世代デジタルパブリッシングを代表するフォントフォーマットとしてパブリッシング市場の活性化を目指しており、Mac OS X専用NewCIDフォントはOS Xバンドル版のMacintoshにモリサワフォントがインストール可能となり、より表現力の高いDTPが実現可能となる。
GlyphGate(Webサーバー用プラグイン)はWebブラウザ(閲覧側)に書体が無くても、指定した書体で正しく表示することのできるWebサーバー用プラグインソフトウェアで、自由な書体利用によりWebデザインの表現力を豊かにし、Web上での日本語によるコミュニケーションをよりスムーズにすることが可能となる。また海外などの非日本語環境でも日本語が表示できる。
GlobalType(高圧縮アウトラインFontおよび軽量ラスタライザー:参考出品)は携帯電話・電子辞書・カーナビ・電子書籍やPDA等への利用に最適な、直接電子メディアで表示するためのフォント技術で、データ量の小さなアウトラインフォントと軽量ラスタライザの利用によりドット・フォントに替わり、任意の文字サイズや修飾文字の表現を可能にする。
マルチカラー
プロセス4色に特色やRGBカラーを加えたマルチカラー(ハイファイカラー,ヘキサクローム,スーパーファインカラーなど)の新たな注目点は,上手にプロファイルを作ると,デジタルカメラのもつ広色域を再現できるようになることだ。印刷機の胴数によってはワンパスで印刷できないこともあるが,入力ソースがもつ色をできるだけ損なわないような印刷が可能になってきている。
ハイデルベルグではスーパーファインカラーHF(CMYKRGBの7色),同HX(パントン的なプロセス6色),同GCR(CMYK+グレーの5色)のマルチカラーサンプルを配布していた。ICCプロファイルは8色まで対応しているので,昔の製版スキャナでCMYKから無理やり特色版を作っていたものとは違い高精度な色分解ができる。
マルチカラーそのものではないが、T&K TOKAが扱うことになった英国Wolstenholme社のMetalFXは特殊な銀インキを下刷りして,プロセス4色を印刷することで高輝度なメタリックカラーを再現していた。
FMスクリーン
ハイライトや肌部分のザラツキ感が少なく第二世代のFMと言えるグローバルグラフィックス社(旧ハーレークイン)のウオームチェーン(迷路の形)スクリーニングが各社にライセンスされて出そろってきた。クレオのスタキャット、ハイデルのサテンスクリーン、大日本スクリーンのランドット2などがそれで、印刷のデモの多くで使用されていた。
アグフア・ゲバルトの:Sublima(スブリマ)は,AMとFMスクリーニングの長所を併せもつXMスクリーニングという特許取得の新スクリーニング技術である。
カラーマネジメントとカラープルーフ
富士写真フイルムは、自動RGB → RGB 変換を利用した'デジタルポジ'をImage Intelligence (TM)の自動画像最適化技術やデジタルカメラのプロファイル作成技術の応用して行くとしている。また、RGB 基準からCMYK への変換技術は最終の様々な印刷基準に対応するCMSソフトであるC-Fit44(新製品)は印刷基準が違う印刷機での出力の色合わせ、JMPA など業界基準に対応するためのCMYK →CMYK 変換技術が特徴である。
大日本スクリーンではInDesignのプラグインソフトと,RGB-CMYK変換ソフトのカラージーニアスによって,写真の中で表現したい対象に合わせた10種類くらいのレシピを選択することで自動的に色演出してくれる機能を見せていた。
コダックポリクロームグラフィックスのマッチプリントバーチャルプルーフィングシステムは,モニタによるソフトプルーフで,インターネットサーバによりバーチャルプルーフィングを行う。CMYK→RGB変換を行った低解像データをWebで見るのだが,いくらでも拡大ができる(参考出展)。また,DDCPのアプルーバルは特色の出力時間が55%ほど改善された。
サカタインクスのbest screenproofの新機能はbest colormanagerで,用紙プロファイル作成,印刷機やプリンタごとのリニアリゼーション,白色度の違いの補正,リファレンスプロファイルなどを,わずか44色のパッチを測定するだけで実現している。リモートプルーフ機能としては,カラーガモット機能により送受信の双方がプリンタ出力されたわずか16色のパッチを分光光度計で測定することで,色の保障を行うカラーコミュニケーションができる。
クレオのインクジェットプリンタVerisは1500×1500dpiコンティニアスタイプ3ピコリットルのマルチドットを制御している。A4換算で14枚/時,FMスクリーン(スタカート)も再現する。
富士ゼロックスのDocuColor1256GAは世界最高のプリント解像度を誇るリアル2400dpiを実現したデジタルカラー複合機で,カラー毎分12.5枚(A4横),モノクロ毎分50枚(A4横)である。
多くの出展者のブースで使われていたのが,CRTモニタに匹敵する表示の能力をもったナナオの液晶モニタのColorEdgeで,0〜255階調をデコボコがない理想的なガンマ2.2のカーブになるような最適値を10ビットのテーブルの中から選択できる。
ワークフロー
CIP4が策定したJDFは,MISや工程管理などのマネジメントシステムと生産機器の情報伝達を双方向で行うための業界標準フォーマットであり,大手メーカーがこぞってデモを見せていたのが,オリーブのプリントサピエンス(見積もり・受注・在庫管理システム)とのJDFによる情報のやり取りであった。生産指示を送り込むと,生産機器からは稼働状況データが戻ってくるというものである。
会場では日本で初めて見られたMIS(IT利用の管理情報システム)や工程管理システムと生産システムをCIP4/JDFで連携させる展示が各社から行われた。drupa2004の前哨戦でもあり,印刷工場から離れていてもMISの画面でリアルタイムに近い進ちょく把握が可能というデモは,来場者に大きなインパクトを与えていた。JDFでは実績情報として,だれが,どの仕事について,何をしていたかなどを把握できる。
ページ作成のDTP作業についてはまだ未対応であるが,ハイデルベルグのPrinergy やPrintreadySystemなどのRIPシステムや印刷工程においては,実績データの自動収集,作業日報の自動作成,受注一品単位での原価把握を行うことができる。アグフア・ゲバルトのApogeeX,大日本スクリーンのTrueFlowなども生産指示を送り込むと,生産機器からは稼働状況データが戻ってくる。実用効果という点では,印刷機だけでなく折り機など後加工までもJDFで接続しないとメリットが出ないだろう。
しかし,印刷機といえどもネットワークに接続された一つの端末機であることが実感でき,CIP4グループが提案するJDFオープンフォーマットの利用で,異メーカーの機器を接続できることが実際に確認できたことも有意義であった。
後加工関連では永井機械製作所がJDF対応断裁機を,ホリゾンはJDFを見据えたというi2iネットワークを出展した。JDF対応製品の登場は来年のdrupaへの前哨戦でもあるが,ユーザの関心もこれからというところだろう。各ブースでは説明に汗をかいていた。
また,次世代印刷ネットワークコンソーシアムによるAMPAC(印刷工程のためのデータベース構造モデル)への取り組みも見られた。室蘭工業大学が中心に国内メーカー18社が参加して実証が行われている。規格のJIS化も終わっていて,イトウテックが対応断裁機を展示していた。
CTP
CTPプレート開発の最終目標は無処理型CTPだが,いくつかの製品や参考品が発表されていた。しかし,現状は耐刷性や再現域の狭さの課題がまだ残っているようだ。三井化学のA-LA-ONE(ア・ラ・ワン)は相変換型で,全く後処理が必要ないものであるが,非画線部は親水性ポリマーなので網点が出ない。
コニカミノルタのSimplateProは,PETベースの機上現像タイプであり,コダックポリクロームグラフィックスの同じタイプのCTPであるタイヤモンドプレートLT-Zはアルミベースである。
三菱製紙のネガ型サーマルCTPプレート(新SDP-αVV)は,紫外域にも感度があるので通常のネガ型PS版としても使用できる。
富士フイルムも技術発表として無処理CTP プレート(アルミベース)を展示した。
また、PN-Vというバイオレットレーザー用高感度フォトポリマープレート(新製品)が出されたが、黄色系のセーフライトが使用できる。
CTPセッタでは,富士フイルムバイオレットレーザー搭載B1 サイズ超高速プレートセッターLuxel PLATESETTER V-9600(新製品)はCo-Re SCREENINGとの組み合わせで菊全43版/時(1200dpi/175lpi ) の生産性を実現していきた。
大日本スクリーンの512chの露光ヘッドをもつサーマルCTPのPlateRite8800,バイオレットCTPのPlateRite3051Viなど,たくさんの機種が出展された。
アグフア・ゲバルトの:Polaris XD-J(ポラリスXD-J)は,新聞用ではあるが110版/時の高速出力が可能である。
クレオのTrendsetter 800 QuantumCLは版を手差しであるが,サイズ違いでも連続的に差してくれる。
POD
PODはビジネスモデルが前提であるが,意欲的なメーカーからの出展も多く,いくつも参考出品が出てきた。
昭和情報機器のSR3000高速フルカラープリンタ・システム(レインボー・システム)はLED乾式1成分電子写真方式で印刷速度は30m/分(両面フルカラー,A4換算400ppm),解像度:1200dpi,ロールtoロールのカラーPOD機である(参考出品)。
ミヤコシのPOD TM1200は輪転型で,東芝が開発した液体トナー,1200dpiの電子写真エンジンを搭載し,BB両面同時印刷で速度は15m/分。またMJP600は印刷幅500mmでライン方式で,600dpiのインクジェットプリンタ。デリバリ部はインラインでの後加工ラインを設定でき,ページバリアブルなオンデマンド機になる(両機種とも参考出品)。
富士ゼロックスからはフラッシュ定着方式で高速化とスポットカラーに対応したDocuPrint1100CFの2台配列機が展示された。
ハイデルベルグからは国内リリースが始まったカラー機NexPress2100とモノクロ機Digimaster9110がデモを行っていた。
インクジェットプリンタではUVインクが使われ始めており,アルテックブースのザ・ドットファクトリー,ミマキエンジニアリングのUJVシリーズなどが出ていた。
きもとは5種類のインクジェットメディアと4種類のプリンタを使用して,1つのディスプレイ画像を各メディアで9分割して展示した。日本初展示の平面インクジェットプリンタArizonaT220は,ソルベントインクで157.5cm×304.8cmの大サイズ印刷が可能。
インディゴはHPの傘下になって初めて出展した。
バリアブル印刷のためのデータ作成ツール
シンプルプロダクツのFormMagicで,XML,CSV,RDBダイレクト組版インタフェイスやExcelやWordからXMLを書き出すソフトを標準搭載するとともにOffice2003のXMLにも対応しており,これらの入力データから自動組版,表組み,面付け,分散出力などを行うことができる。
モリサワのMVP(モリサワ・バリアブル・プリント)は、これまでの欧米製の製品が弱かったタテ組みや日本語特有の処理に対応した高品質の組版を実現するもので、MVPはOEM販売されるという。
クロスメディアのワントゥワンツールであるXM Pieは、CEPSの老舗であるサイテックス社からスピンアウトした技術者グループによる開発品で、サカタインクスから出展されていた。
インクジェットではコムテックスが扱うInca Eagle H、アルテックが扱うザ・ドットファクトリー、ミマキエンジニアリングのUJVシリーズなどに見られるように、工業用途ではUVインクの利用が実用化しつつある。
印刷機
中型機では篠原鉄工所は6台を展示したが,参考出品の菊四裁サテライト型の52UNOはおむすび型の独特な形状をもち,来年のdrupaで完成機を出展予定。大型の印刷機や製本機の回転スピード競争はDRUPA95で終わったと言ってよいが、その後の開発は前準備時間短縮やデジタル化であり、さらにJDF対応のように管理システムとの連携が今後の開発方向である。
ハマダ印刷機械
水なしのサーマルCTPプレートを使用するコンパクトな印刷機でEco-Grapherが出展された。IPEX98などで出展していたV-color48からの発展形で、基本的には菊四裁ヨコ通し、共通圧胴方式の2色部が2つと単胴部を1つ持った5色機であり、キーレス方式でフィーダーとデリバリが同じ側にあるというユニークな機構を持っている。バッハ・ピンへの対応など、外観もリニューアルされて本体価格1980万円、Eco-Grapherとネーミングも新たにして発売されたものである。
リョービはB2判8色機反転機758PがハイブリッドUVインキでデモを行っていた。また,DI機である3404DIにはUV乾燥機が付加されたことで完全乾燥した印刷物ができるようになり,ますますオンデマンド性が高まったと言える。
大型機では枚葉機は多色化,両面化の方向であり,ハイデルベルグからは菊全,菊半2台のSpeedmaster10色反転機が出展されたが,SM102-10P-Sは気生堂印刷所への納入が決まっていた。
小森コーポレーションではDI機の展示はなかった。オフ輪はセクショナルドライブのシステム35SにフルAPC,KHS(色や折調整)などを装備して,チラシの店名差し替えの実演を行い,3ジョブの切り替え時間が約2分半,800回転,損紙は1000枚程度で15分で刷了するデモなどを行っていた。
三菱重工は印刷機械製造40周年ということもあり,最初のモデルである三菱マリノニ四六半裁単色機スーパービジュで実際に印刷を行っていた。両面専用機のタンデムパーフェクタは,前4胴が上部に印刷シリンダー下部にローラ群を配した印刷ユニットをもつ8色機というユニークな構成をしている。
アキヤマインターナショナルのJ-PRINT40 菊全両面8色機は両面専用機で定評があり250台の実績があるという。また片面機のベステック40菊全6色機水性ニスコーター機では、G段ボールにFMスクリーンでプロセス印刷を行っていた。
オフ輪はシャフトレス機のB縦半裁のリソピアBT2-800SSSが実演されていた。
両面専用機で定評のあるアキヤマインターナショナルのJPRINT40菊全両面8色機は,250台の実績があるという。片面機のベステック40菊全6色機水性ニスコーター機ではG段ボールにFMスクリーンでプロセス印刷を行っていた。
CTP化によって最も品質が向上したのが実はフレキソCTPであり,欧米では大ロットの特殊グラビア分野がフレキソに置き換わってきている。
アルテックのブースではコーパックのフレキソ8色印刷機,ステルスによる水性フレキソインキの印刷が実演されていた。ハイデルベルグではスイスのガルス製の8色UV機で包装フィルムに印刷した後でシール加工まで行う一環ラインを見せていた。
また、印刷品質検査装置はウェブテックのインライン印刷不良検査装置「PIS3000」、ダックエンジニアリングのシンフォニーシリーズ、村上製作所のブランクス検査装置などがある。
環境対応
環境対応の資材の中でも,ハイブリッドUVインキがいくつもの印刷機でデモされていた。現在のハイブリッドインキはUV成分が主体の第二世代と言えるもので,初期のものが油性成分が主体であったものと違う配合になっている。ハイブリッドインキは従来のUVインキと違い脱墨性があるので,エコマークの取得ができるという点からも印刷発注者への訴求力があり,注目されている。
T&K TOKAのUVハイブリッドインキUV HY-BDが小森とハイデルベルグで使われていた。
DICのハイブリッド型UVインキ「ダイキュアハイブライト」は会場ではリョービのB半裁・4+4+UVコーター機の上でデモされていた。
日研化学研究所からは,各種洗浄剤をPRTR対応と有機溶剤中毒予防規則に抵触しないエマルジョン型に,洗浄剤は乳化型として結果,ブラン,インキローラ上の紙粉,スプレー粉など水溶性の汚れもよく落ちるようにもなったという。
その他
大日本スクリーンでは人間を360度の方向から45秒で撮ることができるビッグスキャナのデモが行われた。XML関連では,サカタインクスのMediaBeaconは分散している各種印刷用デジタルデータ(デザイン・イラスト・画像など)を,XMLベースで一元管理できるデジタルアセッツマネジメントシステムである。クレオではリモートサポートメンテナンスをブロードバンド利用によって強化しており,バンクーバー本社も含めてオペレータの手を煩わさせずに24時間サービスをすることで,ダウンタイムの削減で稼働率を上げる体制を整えた。
まとめ
印刷を含むクロスメディア技術の進展は印刷産業の枠を超えて利用範囲を拡大しており,いずれ業界スタンダードは通用しなくなるだろう。メディア制作は電子発注され,カラー画像はデジタルカメラで撮影,印刷やWebページは一緒に制作して,狙いの市場に向けて配送・配信され,それらの技術インフラに印刷専用はなくなるのである。
印刷産業はさらに幅広いメディアプロバイダ産業になっていかなければならないだろう。印刷物もメディアであるし,デジタル系のWebやDVDなどもメディアである。そして,物流を伴う印刷の生産はDTP〜CTP〜印刷加工から在庫流通までの,一気通貫のオンデマンド対応力が求められるし,デジタルメディアにおいてはコンテンツ入力・管理からサイト管理,EC対応まで必要になる。このためにITの高度活用,グローバル展開,標準化,そしてコンプライアンス(セキュリティや環境)対応が必要になる。目指すは印刷物(メディア)流通の部分最適から全体最適への道であり,PAGE2004〜drupa2004ではこのような視点を踏まえながら,ビジネスになるグラフィック技術を探ってほしい。
まずは、JAGATの「トピック技術セミナー」(12/10 会場:東京・代々木 国立オリンピック記念青少年総合センター)(JAGAT会員と月刊プリンターズサークル購読者は無料、一般1人8,000円)などから情報収集されて、デジタルの流れを印刷に活かすという指向をしていただきたい。
2003/11/15 00:00:00