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お客様が安心して任せられる営業に

◆坂 尚子

DTPに初めて触れたのは,大学の授業でのAdobe Illustratorでした。学校が美術大学だったため,雑貨のデザインや陶芸・木工のコースを選択して毎日楽しく学生生活を送っていたのですが,当時から就職難でしたので「就職のためにもパソコンぐらい使えないと!」と,パソコンの授業を選択したのがDTPとの出会いでした。

現在,私は株式会社北斗プリント社で営業をしています。営業といってもお得意先を回ったり,外で仕事を取ってきたりするのではなく,会社に直接来られたお客様を担当しています。
印刷会社というのは一般的に,機械が忙しく回っていて,人が目まぐるしく働いている,そんな慌ただしいイメージをもつ方が多いのではないかと思います。同時に何となく入りづらいような印象もあると思います。そんなイメージを払拭(ふっしょく)し,だれでも気軽に印刷物に親しんでもらおうと設けられたのが,私の働いている店舗,ASKS(あすくす)です。
私はそこで毎日,名刺から自費出版まで,さまざまな印刷物の制作に携わっています。
最適なアドバイスをしながらお客様と一緒に印刷物を作っていく。それが私の仕事です。ですから,お客様が仕上がった印刷物を手にして,「こちらにお願いして良かった」と喜んでくれた時はこの仕事をしていて本当に良かったと感じます。

店頭に来られるお客様は学生さんからご老人までさまざまです。印刷会社に印刷を依頼するのは初めてという方も少なくありません。仕事をするにつれて,そんなお客様にもなるべく分かりやすく説明できるよう,知識を身に着けたいと感じ始めていました。ただの受け付けのお姉さんでいるのも嫌でした。
そんな時,上司に勧められてDTPエキスパートの試験を受けることにしました。
社内でも資格取得を推奨していたので,その存在を知ってはいましたが,問題量がすごく多く,難しいと噂に聞いていたので,初めは受けるかどうか迷っていました。しかし,幅広い知識を身に着けるのは自分のためにもなるし,お客様に安心感を与えるためにも必要な資格ではないかという上司の言葉に,自信はありませんでしたが,受けてみようと思いました。

DTPエキスパートでもある上司直伝の勉強法で,とにかくやってみようとチャレンジしました。1度目はあえなく失敗。明らかに勉強不足でした。「勉強したことを忘れないうちに」と,次の試験で2度目のチャレンジをし,何とか合格することができました。合格した時はすごくうれしかったです。私でもやればできるんだという充実感を味わいました。この充実感が癖になって最近はDTP検定にもチャレンジしています。もちろん,試験に受かっても能力が伴わないといけないのは分かっています。DTPエキスパートに合格してからは,そのプレッシャーを感じます。「資格をもっててもその程度か…」などと言われないように,その名に恥じぬようにさらに知識を着けたい。また,そうすることでDTPエキスパートの社会の中での必要性を高めていきたいと思う毎日です。
DTPエキスパートの試験で勉強したことは,そのまま実生活でも役に立っています。普段の仕事の中でも,「それ,試験に出てきた!」と思うこともしばしばです。印刷物に対しても以前より興味が出てきました。本屋さんできれいな装丁の本を見ると,「この紙にこんな色で印刷してるんだ!」などと,思わず観察してしまいます。職業病のようです。
これからも「あなたに任せれば大丈夫」とお客様に言っていただけるような,そんな営業になれるよう努力していきたいと思います。お近くにお越しの際はぜひASKSにお立ち寄りください。目のギョロギョロした店長とともにお待ちしております。

 

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2003年12月号


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2003/12/01 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会