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トータルITサービスを提供

個客対応のためのデータベース・マーケティングが注目される中で,フルフィルメント・サービスが求められるようになっている。そこで,品質・セキュリティ・情報保護の観点から,独自の戦略で高付加価値の情報システムを総合プロデュースする,ディーエム情報システムのマーケティング戦略を,常務取締役岡田安弘氏,営業部長の飯田誠氏,営業部の小林満氏に伺った。

安心と高品質を提供する5つの公的資格
ディーエム情報システムは,1954年にメーリングサービス専門会社として創業された。金融関係の仕事をするようになった時,メーリングからコンピュータの運営・管理を手掛け,次いでシステム開発へと展開していった。通常の流れとは逆の川下から川上へとビジネスが広がっていった。以来コンピュータソフト開発にも進出し,情報化社会の進展とともに高い付加価値をもつ総合情報システムを提供している。
同社では,システム開発からシステム運営管理,メーリングサービス,個客管理,マーケティングまで一貫して行える,フルフィルメント・サービスを個客に提供できることを最大の強みとしている。
さらに,個客の情報を預かる立場として,公的資格の取得を積極的に推進してきた。ISO9001認証,プライバシーマーク,システムインテグレータ認定(SI認定),特定システムオペレーション企業等認定(SO認定),情報セキュリティマネジメントシステム適合評価制度の認定という,5つの公的資格を取得したことで,安心と高品質の提供を可能とする組織やルールが整備された。

トータルソリューションサービスの提供
同社のサービス体系は,フルフィルメント・サービスの「縦軸」に,提携(アライアンス)の「横軸」をクロッシングする独自の戦略で,高付加価値のトータルソリューションサービスを提供している。
つまり,システム開発・保守を行う「システムソリューションサービス」,システム運営・管理を行う「アウトソーシングサービス」,封入・封緘・発送を行う「メーリングサービス」,個客管理・テレマーケティングを行う「ビジネスサービス」という4つのサービスによる総合情報システムサービスが「縦軸」になる。
「システムソリューションサービス」では,システムの企画・設計・導入から運営まで,最適なソリューションを提供する。また,オリジナルのシステム商品パッケージや,eビジネス対応のITソリューションも提供している。
「アウトソーシングサービス」では,大型汎用機や高速レーザプリンタなどの最新機器を駆使して,コンピュータの処理・運用に関する業務を一括して請け負う。
「メーリングサービス」では,各種メールの企画・デザイン・印刷からラッピング・封入・発送まで,トータルサービスを提供する。セキュリティ完璧のメーリングセンターでは,15系列あるオンライン自動封緘機,2種類の圧着はがき製作機などで,1日当たり50万件以上の封入・封緘が可能である。また,通販や商品カタログなどの定形外の場合,紙やフィルムで発送物を直接包むラッピングマシンでの発送方法を提供している。郵送中の破損を防ぎ,内容物が確認できる視覚的効果を狙う。こちらは4系列あり,1日当たり35万件以上の発送が可能である。
「ビジネスサービス」では,会員制ビジネスの運営や個客管理などに関するさまざまな事務処理や事務局事務を代行する。
これら4つのサービスによる総合情報システムサービスを「縦軸」に,ソフトハウス,データセンター,印刷会社,運送会社,広告代理店,人材派遣会社などとのアライアンスを「横軸」に,個客にトータルITサービス「カスタマーサービス」を提供することで,大きな「力」を発揮している。

「個客が見える」マーケティングを提案
同社が最近特に力を入れているのが「CRMサービス」である。既存個客の維持・拡大,新規個客獲得,個客が満足する商品・サービスの提供のためには,「個客が見える」データベース・マーケティングの展開が不可欠となる。
データベース・マーケティングを展開するためには,膨大なデータベースの中から,データとデータを関連付ける仮説構築と検証を反復するPDCAサイクルを回す必要がある。それにより,個客ロイヤリティを向上させられる。現状分析に基づく目的・目標の設定と,目標の達成度の検証が,投資効果を見定めるために特に重要なフェーズとなる。
同社が提供する「データベース分析トータルサービス(DATS)」では,(1)ビジネス把握・データ理解・データ準備(データクレンジング),(2)仮説構築,(3)データマイニング(分析),(4)ターゲット決定,(5)アクションプラン策定,(6)アクションプラン実行,(7)検証見直しの流れとなる。
DATSでは,データマイニングに必要な環境や分析スタッフが用意されているので,低コストでデータマイニングをスタートさせられる。また,トライアル的なサービスも用意している。
また「CRMの原点は『住所』から」というテーマで新旧の住所変換サービスにも取り組んでいる。合併特例法により「平成の大合併」と呼ばれる,市町村合併が相次いでいる。同社は,2003年3月にさいたま市が新郵便番号に移行する際,住所データを新住所に変換するサービスに着手した。今後さらに多くの市区町村合併が予定されていることから,本格的にサービスを開始した。
国土地理協会が管理する「住所コード」を活用し,変換対象地域の抜き出しから新住所変換までサポートしている。新住所への変換のほかに,郵便料金の割引に必要なカスタマーバーコードや,郵便番号の付番も行える。変換料金はデータ件数1万件につき一式5万〜10万円である。
変換サービスがきっかけとなり,発送代行サービスなどほかのアウトソーシングにつながるケースもある。問い合わせも多く,「住所データは生き物なので,リピート率も上がっている」ので,ビジネスを拡大するチャンスと捉えている。

高品質なサービスの提供と提案型営業の推進
2003年7月に開催された「データウェアハウス&CRM EXPO」では,住所関連パッケージ,CRMデータ分析,電子帳票関連パッケージ「Pom」などを出展し,独自のサービスや製品をアピールしたが,さらなる営業力の強化が課題となる。メーリングアドバイザー資格取得者も18人となり,提案型営業が可能な人材育成に力を注いでいる。
また,印刷会社とは今後も今まで以上に協力関係を深めていきたい。同社内に企画デザイン部門があり,デザイナーを擁し,企画デザイン版下作成などを内製化しているが,印刷はパートナーの印刷会社に依頼している。
印刷会社からの持ち込み企画もある。DMのプレゼンテーションをしたいが,メーリングから物流の部門がないので,パートナーシップを組もうという申し込みなども多い。
印刷会社と協力することで,より強固なトータルサービスを提供することが可能になり,取引先の満足度も高まるだろう。

JAGAT info 2004年1月号より

2004/01/17 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会