今印刷会社がいろいろな面でIT化を進める必要がでてきている。制作環境では、DTPやCTPでデジタル化が進められているので、入稿から刷版出力までネットワーク上で情報を流していく必要がある。
また印刷物の制作仕様や制作の流れを管理する必要があり、そのためには受注情報の入力から作業指示、進捗状況、さらに作業集計などの情報をデジタル化することで、作業の進捗管理やコスト削減を含めた業務改善のために利用する。これはネットワーク上で情報共有を実現し、情報の入力や集計情報の利用を行える環境が必要である。
現在制作面ではデジタルワークフローということで顧客やデザイン会社などとのデータ共有、リモート校正、電子送稿などにネットワークが利用され、その上この流れを管理するための管理情報が共有される。このため社内だけではなく、顧客、協力会社、自社事業所間、さらには資材発注先まで含めたIT化を検討する必要がでてくる。
業界動向にCIP4/JDFの普及推進があるが、これは制作データだけでなく、制作システムへ作業内容をデータと一緒に送り、また制作システムから作業結果を受け取れるといった、制作システムと管理システムとの間で情報共有する考えで、すべてがネットワークで情報交換される方向に進もうとしている。
これ以外に、営業活動を支援するIT活用がある。
では、このような環境を誰が企画し構築、運用していくのかがIT化の課題となってくる。
そのため、先日一部の印刷企業にこのような環境の計画・構築を行う人をSEという視点で、次のようなアンケートを取った。質問は、次の3つである。回答企業の従業員規模は100名以上の中堅企業がほとんどである。
1.社内SE養成について
回答結果
2.社内SEの業務範囲について
回答結果
3.社内SEの印刷知識の収得について
回答結果
このアンケートの回答をみてみると、実際には印刷会社がSEをどのように捕らえているかの違いがでてきているようだ。そのため、養成の仕方や業務範囲の違いなどが出てきているようであった。
SEの養成については、基本的には「a.外部からSE技術のある人を採用している(したい)」と「b.社内の他部門の技術者にSE技術の勉強をさせている(させたい)」の両方に回答しているか、または「b.社内の他部門の技術者にSE技術の勉強をさせている(させたい)」と「c.外部の専用企業にアウトソーシングしている(したい)」の両方に回答しているところが多かった。
業務範囲については、「b.社内で一部システムの開発まで行っている(行いたい)」が圧倒的に多いが、その中にはシステム保守・運用ということが含まれており、SE技術のある人と社内の印刷業務知識のある人の両方の人が関わっているようで、養成についても両方に回答している企業が多かった。
業務範囲の「a.社外ベンダーに発注するシステム仕様を作成し発注を行う(行いたい)」の回答者は、「b.社内で一部システムの開発まで行っている(行いたい)」の両方に回答している企業が多く、実際にはSEの業務定義が社により捉え方が違っているためか、このような回答になっているように思われる。
両方に回答している企業で予想されることは、仕様や要求をまとめてベンダーに発注作業をする人と、保守やプログラミングをする人が別に存在し業務が異なっているようで、その両方ともSEという捉え方をしている。
回答の中のコメントなどからSEをどのような業務範囲と捉えているかを整理すると、大きく次のように分けられる。
(1)システム化の企画・検討をする人
(2)開発プログラマー
(3)情報システムやネットワークの保守・運用をする人
(4)制作システムのサーバ管理者
(5)顧客へのソリューション提案を行う人
このように捉え方がわかれている理由からか、それぞれ養成・採用の仕方が実際には異なっているようである。
(5)という回答では、印刷会社が顧客にコンテンツ活用のシステム提案をしていく人と捉えているため、この場合には営業的な要素や印刷の知識、顧客のビジネスの知識が要求されるのでそのような教育をしている。
(1)とか(2)という捉え方をしている企業では、回答のコメントの中にもあるが、専任者がだんだんと必要になってきていることから、すぐに業務ができる技術者の採用やアウトソーシングを検討するところがある。その中では、「プリプレス部門の技術者をSE養成していたがだんだんと間に合わなくなってきている」というコメントもあった。
(2)または(3)という捉え方をしている企業では、導入したシステムとはすぐに変更が出てくるという考え方から、変更をできる人材を養成して保守・運用を行っているという回答が多かった。
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2004/03/24 00:00:00