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営業マンの実稼働率は28%(要登録)

印刷業界では、生産現場の生産性は新しい技術の導入によって年々向上してきたが、今後は、ITを活用した営業、工務等のホワイトカラーの生産性向上が大きな課題である。
営業分野でみれば、営業マンの1人当たり売上高は年々低下している。印刷産業全体の出荷額が減少しているから当然という面もある。しかし、営業マン1人当り売上高の減少幅は、全従業員1人当たり売上高の減少幅の倍近くになっていることから、営業の活動自体の問題もあると言うことができる。
営業活動の基本的問題は、営業マンが間接的な業務に時間を取られて営業本来の活動である顧客とのフェースツーフェースでの接触時間がなかなか取れないということである。

この9月にJAGAT会員企業を対象としてこの課題に焦点を当てたアンケート調査を行なった。その結果、まず、1/3の企業は営業マンの行動時間内訳を把握していないことがわかった。ただし、そのような企業の多くで、営業マンの行動時間の内訳について細かくはわからないが、社内作業、その他業務が多く、販売活動に十分な時間が割けないと見ている。
営業マンの行動内容毎の時間に関するデータを元に、営業マンの実働時間を1日8時間として各行動に割り振られる1日の平均時間を計算した結果は 図の通りであった。図で見るとおり、「客先での滞留時間」、「移動時間」、「社内作業(原稿整理、校正作業)」はほぼ同じ2時間10分前後の時間が使われ、残りの1.5時間が連絡、伝票作成等に割り振られているという結果である。「伝票・日報作成時間」は予想したよりも少なく、逆に「社内作業」が意外に多い。



上記の営業の行動を、印刷現場の時間内訳と対比してみると、「客先での滞留時間」が「本刷り」に相当することになる。「社内作業」は受注後に必要になる関連作業だから「準備・後処理作業」である。「その他の業務」のうち、伝票作成や各種の連絡はこれも「準備・後処理作業」である。移動時間や会議、日報作成は仕事の内ではあるが、直接それぞれの仕事に関わる業務をしているわけではないから、「間接作業時間」と考えることができる。

このようにして見ると、営業部の実稼働率は28.1%ということになり、如何に能率が悪いかがはっきりするだろう。「その他の業務」の中の「伝票作成、連絡」業務と「会議,日報作成」の時間を半々だとすると、「間接時間」に含めるべき時間は45分(=1:30÷2)となる。したがって、「間接時間」の合計時間は2:52(45分+2:07)となり、「不稼動時間率」は、34%となる。いずれにしても、営業マンの本来の活動である顧客とのフェースツーフェースでの接触時間が少なすぎることは明らかである。

対応策としては、基本的には直接的な作業、業務が出来ない移動時間の削減がまず第1に優先されるベきものであり、次いで、伝票作成や各種連絡の時間削減への対策が必要であろう。これらの時間をそれぞれ半分に削減できれば、営業マンの実働時間の半分程度は、顧客とのフェースツーフェースでの接触に当てることができるようになると計算される。

2004/09/29 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会