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真価を問われる勝ち組の条件

不況といわれる現在でも,確実に業績を拡大している企業が存在する。これらの企業は,ほかの企業と一体どこが違うのだろうか。
 市場環境が変わり,顧客意識が変化した時代に「勝ち組」となるためには,変化に対応した新たな営業スタイルと営業戦略の方法論が求められている。今回は勝ち組に入るための方法論をご紹介する。(プリンターズサークル1月号特別企画記事より)

株式会社ティー・ディー・エル代表取締役 山田英司

 成長する企業3つの条件とは

 良いと思ったことはすぐに実行し,わからなければ聞いてみる。つまずいてもさらに続けてやってみる。このあたりが,誰もがわかる勝ち組の法則である。
 すぐチャレンジし,間違いとわかれば,またすぐ方向転換することができるかどうかである。勝ち組のように,どんなことがあるにせよ一度良いと思ったら,その自分の判断を大切にするべきなのだが,うまくいかないとすぐ「現実と話は違う……」とか「できるはずなんだがなぁ……」といった具合であきらめてしまう。これが負け組である。

 さて,話を本題に戻そう。追い風の良き時代が終わり,無風状態あるいは向かい風の時代に入った。しかし,そうはいっても確実に業績を拡大している企業はある。これらの企業の特徴は,大きく挙げると3つある。
 ひとつは絞り込んだターゲットを対象に,「顧客と深いコミュニケーション」を行っている企業。もうひとつは,従来とは全く違った形態の「売りの仕組み」をつくり上げている企業。そして3番目は,タイアップ戦略をうまく生かし,「クライアントを他社と共有」している企業。

 これらは,ほとんどの成長企業にみられる特徴なのだが,おかしなことに,考えられないくらい印刷業界ではこの3つが欠けている。しかし,先日あるクライアントに話を聞いて,一番目のポイントを実行して成功している企業があるらしいことがわかった。詳しいことはわからないが,ターゲットをパチンコ業界だけに絞った戦略を実行しているそうである。
 戦略を特化するとノウハウは蓄積されやすい。その反面,情報が固定化して広がりがなくなってくる。メディアツールをパターン化し,フォーマット化するような状態にすれば,一時的な利益は出る。しかし,スタッフの考える力は薄まり,知らず知らずのうちに提案や企画する力が極端に下がってしまう。
 それを避けるためには,クライアントとリスクを分担する戦略を取り入れることが必要である。人はリスクがなければ頭を使わない。危ないと思うから考えるのだ。自分のメリットだけしか頭になければ,いつかバカになってしまう。

 かつて印刷業界はリスクに臨み,その技術力を向上させてきたはずだ。出来上がった商品に色むらがあればやり直し,誤植があれば刷り直しも余儀なくされた。本来なら,これらのリスクもクライアントに一部を負担させるべきである。その代わりとして,クライアントが生む結果のリスクを一部負担していれば,クライアントとのバランスの良い成長が可能であったはずである。ここが,一番目のポイントが欠けている部分である。ただし,できるかどうかは別問題である。

 そして,2番目の売りの仕組みも見受けられない。クライアントは多くの場合,何らかのテーマや法則に従って動いている。その傾向やパターンをつかめば,ニーズのポイントもみえてくるはずなのだ。
 さらに3番目のタイアップも今ひとつのようだ。先日,大手の印刷会社の営業マンが当社にやってきて,「手を組みたい」と言う。よくよく聞いてみると,うちの客を紹介してほしいとのことである。コミッションははずんでくれるそうだが,そんなものは要らない。「一緒に商品開発でもしましょう」ならわかるのだが。自分のメリットだけ押し通して,ちょっと欲が深い感じがしてしまう。

(詳しい内容はプリンターズサークル1月号の記事をご覧ください)

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2000/01/13 00:00:00


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