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「印刷物製品仕様」の項目、用語整理の必要性と叩き台

社会のインフラは、「デジタルからデジタルネットワーク」へと変化している。当然、印刷業における生産、業務のインフラもデジタルネットワーク化し、日常の仕事はその上で行なわれるようになっていく。デジタルネットワークをインフラとしたとき、生産、業務に必要な各種の情報、データは、異なるコンピュータシステム間を縦横に流通させる仕組みが必要になる。CIMやEDI/ECはそのような仕組みの一部だが、その基盤としてデータフォーマットやそのやり取りの標準化が必要となる。

印刷物生産の基本となる情報は、「製品仕様」である。製品仕様とは、「どのような印刷物を作るのか」に関する情報である。そして、この製品仕様をもとに、製造仕様、つまり「どのように作るか」が設定され、それによって日程計画が作られ、作業指示が行なわれる。当然のことながら、見積もこれらの情報に基づいて行なわれるものである。
したがって、製造仕様は各社の設備内容等によって異なるが、製品仕様は顧客の要望を具体化した基本的情報だから必要十分な情報が与えられなければならないし、上記のようなデジタルネットワーク環境のなかでは標準化は不可欠になる。

印刷CIMのための標準フォーマットであるJDFに関する情報交換、プロモーション、国内要望のCIP4への提言などの活動を行う「JDFフォーラム・ジャパン」では、「製品仕様」に関する項目内容と用語を整理していくことにした。
は、JAGATが2005年度第1回JDFフォーラム・ジャパンに提出した「製品仕様」用語の資料である。本資料は、頁物印刷物、商業宣伝印刷物、帳票印刷物、数十種類の製品仕様を調べた結果をまとめたものである。そして、その結果を中規模印刷会社B社の受注伝票、作業指示書と対比してみた。表中の青色の網掛け部分は、JAGATの資料にはピックアップされていなかったが、B社の項目として使われていたものであり、赤色の網掛けをした項目は、JAGAT案ではピックアップされていたがB社の受注伝票、作業指示書にはなかった項目である。両社の間の違いはわずかであることがわかる。

表中の用語は一般的な表現と思われるが、今後のために日本における印刷用語の基盤となる「印刷事典」(日本印刷学会 1987年発行)と、日本印刷産業連合会が2002年に発行した「印刷用語集」に掲載されている同意語と思われる語を該当英語とともに掲載しておいた。英語はJDFとの関連も考えたからである。
表中の黄色で網掛けした項目は、JAGAT案、B社の伝票にはなかったが、印刷辞典、印刷用語集に掲載されていた項目である。上製本の製品仕様や部品あるいは製造仕様に関するものがほとんどである。製本については、神奈川県製本工業組合が「折り」の呼び方統一を提言しているが、その資料によれば表に掲載した仕様以外にもかなりの折り仕様があり、この部分が今後の用語統一で詰めていかなければならない主要な部分と思われる。

印刷業界としての統一用語は、JDFフォーラム・ジャパンが決めてしまうようなものではないが、それを必要とする実態は既に進んでいるのでひとつのガイドラインとして製品仕様として必要な内容と用語を整理しておいて、業界としてそのようなことを行なう場合には基礎資料として使ってもらうというのがここでの提言の位置付けである。さまざまな分野の方のご意見をいただきより良いガイドライン、資料を作って行きたいと考えているので、読者各位からのご意見を「mis@jagat.or.jp」までお寄せいただきたい。

2005/06/22 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会