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製版工程自動化へのアプローチ

ここまできた印刷物製造工程の自動化〜PDFベースの新たなビジネスフローの構築〜(講演より)

工程自動化への課題と解決の方向
CIP4 /JDF による工程自動化のゴールでは、以下のようなやり取りをMISを中心にして行なわれることになる。

○Submit(指示):
MISによる、一極集中管理、自動工程指示

○Plan(計画):
営業・工務の業務で、見積もり時、発注時、着工時のプロセスプラン、原価計算、人員、工程計算、工程計算

○Do(作業):ディバイス・オペレータ
各セクション、各ディバイスでの作業伝票(ジョブチケット)に基づく自動処理

○Check(報告)
ディバイス・オペレータ
ジョブの進捗管理、履歴報告・トラックバック


しかし現実のMISを基幹としたジョブ制御には未だ対応ディバイス、接続事例がまだまだ少ないなどさまざまな課題があり、これらを順次解決していかなけれべならない。 そして、印刷物製造工程を自動化のレベルから見ると次のように2つの分類できるだろう。

○A分類
自動化への対応が比較的容易一部実現しているものとしては、入力/出力が明確なもの、またディバイス側にその入力処理メソッドが整っていることが条件であるが、例えば、面付けアプリケーションなどは、ページデータ、材料、テンプレートなどによって、処理の結果が保証できる。

○B分類
自動化への対応が困難と考えられるものとして、入力/出力が不明確なもの、或いは特定には多岐の条件分岐、人間系の判断が必要なもの、特定条件の入力に対し、出力が必ずしも同一ではないものなどが上げられる。

そして、各フェーズにおける対応状況の現状を次のように整理できよう。
【関連記事 工程別自動化項目試案

Plan: MISによる受発注、在庫管理、原価計算 基幹システムとしてのMISは
各社ソリューションが出揃ってきた
Submit: パラメータ固定→ディバイス パラメータ定義不可→人間 不確定要素を定義できるパラメータが
十分に揃っていないケース
Do: JDF対応済→ディバイス JDF対応不可→手入力 不確定要素を定義できるパラメータが
十分に揃っていないケース
Check: トラックバック対応可→ディバイス 履歴管理情報が定義不可→人間 人手による作業が入る場合には
人間系の手入力報告に頼る
自動化 A分類 B分類 ←対応のレベル


これを実際の検版工程で当てはめた自動化のスキームの通常手順を想定すると次のようになるだろう。自動化のレベルを上げるために下記、B分類について、プリプレスに集中しており、作業の平準化や自動化のミドルウェアなどによって、自動化のレベルを上げる方向である。 そうした中で、Certified PDFとそれを取り囲む作業環境が自動化すれば、実現する領域は拡大する可能性がある。

Plan:
 
データ準備 DTP出力 RIP処理 TIFF蓄積 マッチング 出力・検版作業
Submit:
 
人間形の判断/処理 RIP/WF構築 検版装置・検版内容設定
Do:
 
ファイル開く 出力設定 出力 DropIn DropIn 出力
Check:
 
履歴記述(設定、バージョン他 処理履歴の収集
(RIPから)
処理履歴の収集
(検版から)
検版結果記述
課題: 1) 人間系の判断/処理、履歴の記述がバラバラ
2)異種の履歴データを異なるタイミングで統合、管理できない


PDFが解決できること
PDFについても適切な利用がなされているかということもあり、2つの面で認識されているのではないだろか。
(現状)
○ポジティブな面:
ディバイスインディペンデントでありオープンフォーマットなので、作り方によっては出力が安定する。

○ネガティブな面:
作り方によっては出力不安定で、修正/編集が困難になり、ヒストリ管理が不可能である。

Certified PDF 技術を利用した今後への期待
ディバイスインディペンデントなオープンフォーマットなので作り方によっては出力安定することに加えて、出力自動最適化、プレフライト→自動修正、徹底したレポート、ログ管理が期待できる。
しかし、PDFだけでは解決できないことがあるので、事前にこの点を解決するルールや方策を考える必要がある、。
・PDF変換以前の処理
・PDFと異素材の組み合わせによる複合処理
(例:面付け、可変データ処理、レイヤー分けなど)
・PDF化の事前事後の条件判断
また、プリフライト結果、編集・修正履歴など各種ヒストリ情報のMISへのアップデートなどはJDFを利用してMISへのアップデートを行なうことになる。

Gate Keeper の JDF Suitability(参考)
欧米で浸透しているCertified PDF 技術をベースに、Mac OSX の最新の技術を駆使したワークフローサーバー「GateKeeper」では、48個のモジュールを自由に画面上(キャンバスウインドウ)で並べて行くことによって、プリプレス処理の自動化を用意に実行できるものになっている。




また、Gate Keeper は3レベルのJDF対応にも対応している。
1st:ジョブトラッキング
→各ジョブの進捗履歴をJDFで追記記述
2nd:ジョブコンフィギュレーション
→各処理モジュールの設定をJDFで記述
3rd:JDFチケットインポート
→外部システム(面付けなど)から排出されるJDFと連携し自動処理を実現
(2005.12.12テックセミナー「ここまで来た印刷物製造工程の自動化」・サカタインクス 八島隆氏の講演より、文責:JAGAT)

2005/12/21 00:00:00


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