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ヘキサクローム印刷の事例と評価(研究会速報)

株式会社研文社 デジタルプリプレス ディレクター 三浦 芳裕 氏
株式会社プロ・バンク 東京オフィス システムプランナー 庄司 正幸 氏

 パントン・ヘキサクロームとは,1995年に米国パントン社が特許取得した6色プロセス印刷システムのことである。パントン社が各国のインキメーカーに対しライセンスをおろしている。AdobeRGB相当の色域をもち、パントンの特色を約90%掛合わせで再現可能である。
 ヘキサウエアとは,6色分解するためのAdobe IllustratorとPhotoshopのプラグインソフトである。2002年10月にバージョン2.5が完全日本語化対応し、現在はVer.2.5.1になっている。
 また,パントン・ヘキサクローム・コンソーシアムは,ヘキサクロームの普及と技術確立を目的に2004年2月に設立した。米国パントン社認定の世界で唯一の団体であり,国内29社が加盟して活発に活動している。

 プロセス4Cとヘキサクロームの色領域再現を比較すると,ヘキサクロームは圧倒的に色域が広く,AdobeRGBの領域もほぼカバーできている。例えば,RGBによる入稿データがAdobeRGB相当の色域を持つ場合,ヘキサクロームを使用することにより従来の印刷では再現できなかったグリーンの一部の色などが再現でき,付加価値をもたらすことができる。
 また,RGBワークフローにおいて,プロファイルはたいへん重要であり,プロファイルによって調子が極端に変化してしまう。パントン社オリジナルのプロファイルではなく,パントン・ヘキサクローム・コンソーシアムで作成したプロファイルを使用することにより,分版したときのグラデーションが滑らかに再現できる。
 研文社では,ヘキサ印刷シミュレーションツールや,CMYKとヘキサの比較を見せるツール,プリントシミュレーションツールなどを,クライアントとのコミュニケーションツールとして有効利用している。

 現在の印刷会社は,研文社をはじめとして,印刷物の受注だけではなくWebサイトを視野に入れたり,デジタルカメラによるデータを数多く扱うようになった。このような環境のなか,データやプルーフを中心とした制作会社や印刷会社のコラボレーションが重要になる。
 また,ヘキサクローム印刷に取り組むようになって,プロセス4C印刷がより簡単に感じられ,RGBレタッチのスキルの向上も見られるようになった。

2005/04/25 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会