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地図出版のデジタル化と印刷利用への展開 研究会速報

株式会社昭文社 デジタルコンテンツビジネス本部 本部長 内田 次郎 氏

SiMAP(Shobunsha Integrated MAPping System)

昭文社の電子事業は,1994年4月より独自開発した地図情報システム「SiMAP(サイマップ:Shobunsha Integrated Mapping System)」の構築を進め,1999年12月に完了した。
SiMAPとは地図自動作図機能と地図情報管理機能を兼ね備えたデジタルデータベースシステムであり,この完成によって地図制作における印刷前制作コストを圧縮・合理化し,制作期間も大幅に短縮された。
これまでの地図よりも一層の緻密さと正確さを追求するため,1:2,500,1:10,000,1:25,000,1:50,000,1:200,000の5つの縮尺において各種地図作成に対応できるよう蓄積された地図情報の管理を進めている。

SiMAPに蓄積されたデータは,広く愛用されているスーパーマップルなどの道路地図帳をはじめ,各企業・自治体向けGIS用データ,一般コンシューマー向けカーナビ,携帯端末機器等に採用され,それぞれの目的に応じて加工・提供されている。
SiMAPの特長は,以下のとおりである。
 1.座標値(緯度経度)を持っている
 2.線・面の要素をベクトルデータで保持している。(道路・等高線,行政界)
 3.オブジェクトに属性を持たせている(約1000分類)
 4.地図データの切り出し機能
 5.図式の管理

地図データの情報源は,国土交通省国土地理院や地方自治体の地形図や都市計画図,測量図などである。

デジタルコンテンツ

デジタルコンテンツでは,MAPPLEデジタル地図データやデフォルメマップルがある。MAPPLEデジタル地図データは,紙地図と同レベルの豊富な情報源とカラー表現,現地調査によってできており,各種GISアプリケーションで利用できるベクトル地図データベースである。道路地図帳「スーパーマップル」のような見易さをGIS分野でも実現でき,豊富なカラーとシンボル表現が特徴である。縮尺ごとの5パターンを用意している。
デフォルメマップルは,略地図作成サービスであり,2×2cm〜10×10cmのカット図を自動作成する。各種ガイド情報誌や折込広告用物件案内図として,出版社,編集プロダクション,デザイン会社,印刷会社,広告代理店様などを対象にしたサービスである。印刷物だけではなく,インターネットのホームページ上でも店舗案内図などとして使用できる。

昭文社は,出版社から情報提供会社へとSiMAPを中心とした情報のデータベース化からPC,PDA,カーナビ,携帯電話,デジタルTVなどの各デバイス,そしてさまざまなシーンへアウトプットすることによるデジタルパブリッシングの世界を目指している。

2005/09/19 00:00:00


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