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印刷の土台作り

●勝者へのキーワード●

〜PAGE2001セミナー2/9「印刷の土台作り」〜

PAGE2001では、2月9日に印刷の土台作りトラックを設け,21世紀のインフラ・キーワードとしてXML/SGML,マネジメントシステム(ISO,JIS),ネットワークの3つを取り上げ,各社の実例,あるいは構想を通して印刷会社としての土台をどう構築していくかを考えるセミナーを企画しました。


■まずスタート台に立つことが重要
この1年の大きな話題は、XML、であり、ISOでありネットワーク(インターネット)である。これらのキーワードはいずれも印刷固有のものではなく、社会一般に共通した話題でもある。つまりXMLへの対応、ISOマネジメントシステムの体制、内外のネットワーク整備などは、ビジネス一般のインフラになるつつあるということだ。それだけにビッグチャンスのキーワードでもあり、敗者のキーワードにもなる。企業としてこれらの土台のあるなしで色分けをされてしまうから怖い。といってもあせることはない。多くの企業がスタートしたばかりである。重要なのはこれらの取組みに対してスタートを切っているかどうかである。

まず日本でのXMLについてみると、SGML化された文書データベースが多いアメリカ事情とは違い、一部を除けばもとのSGMLあるいはXML化された文書やデータベース自体が少ないのが実情だ。しかしインターネットの爆発的な普及よってWebを活用した業務の合理化・自動化やBtoB,BtoCなどのECを念頭に置いた企業が一挙に増えたことで、コンピュータ同士のデータ交換フォーマットとしてXML化が急浮上することとなった。ところがそれは大変に手間がかかることで、まさに「ローマは1日にして成らず」である。しかし手を付けないわけにはいかないので、まず外堀のマニュアルやカタログなどからスタートしようというのが日本の企業の一端ではないか。

SGMLの歴史があるアメリカと違って、白紙からの動きは一見鈍そうに見えるが、この膨大な情報のXML化をどこが担うのかを考えれば、いま土台づくりがどの企業にとってもいかに重要かがわかるであろう。当然クライアント側のXMLへの関心は高くいろいろな取組みがでているが、それはイコール内制化ではない。クライアントにとっては、これからの展望を踏まえて、データ構造をどう標準化するか、そして具体的な運用が勝負である。

グローバルデザインの白旗保則氏は、印刷会社はDTPで苦労してポストスクリプトをものにしてきたのだから、これからはXMLに置き換えると考えればよい、XMLであっても最後は表現が必要である、大量のデータ処理と、表現ノウハウこそ印刷の真骨頂であるはずだ、という。

PAGE2001では、カンファレンス・セミナー、またジョイントイベントでも多くのSGML/XMLのテーマを取り上げる。また展示会とともにITソリューションコーナーにはXMLドキュメント制作,BtoBシステム構築,各種のXML関連ツールなどの製品やソリューションが多く提案されるであろう。印刷会社としての取組み方のヒントを具体的に掴んでいただきたい。

■経営戦略をネット上に描く時代
原稿入稿や校正にネットワークを利用することが次第に定着しはじめている。とはいっても色、コスト、ワンマイルなど諸所問題はあるが、あとはタイムスケジュールだけだ。生産現場中心から、クライアント、デザイン制作、プリプレス、印刷、バックオフィスなど、トータルにシームレスなネットワークの時代がきた。情報系と制作系が統合され、制作状況がどこでもリアルタイムに把握でき、必要に応じていつでもデータが転送できる仕組みが必要である。これからは、ネットワークをどのような仕組みにするかは経営戦略の視点からの構築が必要である。ネットワーク環境にいろいろな制約があると、ビジネス自体を阻害すことになりかねない。ブロードバンドネットワーク時代は必至である。そのことをベースにビジネスやワークフローを考え直す必要があろう。インターネット、専用線、無線、衛星などをどういまく組み合わせ、安く便利に自社システムと連携させていくか、page2001では印刷会社の事例をお話する。今後の戦略を描くヒントにしていただきたい。

■品質/環境/情報はこれからのビジネスの常識
ネットワークでの情報の遣り取り、あるいは、XMLを利用したWebの自動化などを展開する上で大事なことは「信頼性」である。安心できる環境をつくることがデジタル社会、情報社会では重要である。そのひとつが「セキュリティ技術」である。セキュリティ技術は日進月歩で進化しており、印刷においても新しい技術分野のひとつになろう。セキュリティで大切なことは個別のセキュリティ技術とは別に管理システムの構築である。ディアイティの山田英史氏は、情報漏洩の要因の85%はファイヤーウォールを突き破るハッカーではなく、内部体制の杜撰さにある、という。Webを利用したOne to Oneシステムがますます増え、企業にとって個人情報は重要な戦略物資となる。しかし一方、個人情報はプライバシーの根幹をなすもので、個人情報基本法が法制化されようとしている。個人情報を扱う会社にとって「信頼」は何物にも替えがたいものである。情報処理会社、調査サービス、マーケティング会社、学習塾などの多くがJIS15001(個人情報保護に関するコンプライアンス・プログラム要求事項)にもとづいた「プライバシーマーク制度」に注目している。印刷会社でも昨年5社から13社に倍増している。といっても1月現在取得企業190社中7%弱である。情報産業としてはあまりに低いといわざるを得ない。

ISO9000、14000、JIS15001は印刷固有の技術や情報処理が早いとか遅いとかを認定しているのではなく、品質管理システムによって経営され、物が作られているか、あるいは環境を保護・維持する管理システムを回しているか、個人情報を保護管理する体制ができているか、ということを第三者が客観的に評価・認定する仕組みである。当然、認定という看板がなくても信頼できる管理システムがあればそれでよい。トップ企業の中にはISOなどには目もくれず、自社管理システムをしっかりもっていところもある。要は信頼を得られる企業姿勢であるどうかである。そういう意味では、品質・環境・情報のマネジメントシステムは、土台中の土台ともいうべき存在である。



●印刷の土台作りのセミナー申込みはお済みですか!
PAGE2001では、2月9日を印刷の土台作りとして、印刷として、あるいは印刷会社として21世紀の土台をつくるキーワードにXML、マネジメントシステム(ISO、JIS)、ネットワークの3つを取り上げ企画いたしました。
「XML/SGML利用事例」(2月9日、9:00-11:00)では,蓄積したXML/SGML情報からWebでの情報発信や印刷物の制作,インターネットを通じた例規集全文検索サービス,文書やCAD図面データのXMLによる有効活用事例などの利用事例を取り上げる。
講師は平林 宏章氏(第一法規出版(株) 営業局営業推進第一部)、桜井恵三氏(株)アイ・ビー・エス 代表取締役)、瀬戸 宏氏((株)図研 クライアントサポートサービス事業部)の3人を予定。

「印刷会社のマネージメントシステム」( 2月9日、 12:00-14:00)ISO9000s,ISO14000,JIS15001(プライバシーマーク制度)を導入・運用し,印刷業として何故これらのマネジメントシステムが必要なのか? これらを通してどんな企業組織を目指すのか。印刷会社の取り組みを伺う。 講師は、樋口宗治氏(日立インターメディックス(株)研究開発部 専任部長)、高宮弘房氏(日立インターメディックス(株)印刷メディア制作本部本部長)

「印刷会社のネットワーク戦略」(2月9日、15:00-17:00)クライアント,協力企業とのネットワーク構築は,技術論に加え自社の戦略論がなければ成功しない。積極的かつ戦略的に取り組む印刷会社の実例,構想を伺う。講師は、勝沼温美氏(共立印刷(株) IT本部本部長)、小寺豊一氏((株)KDDテクノロジー・東京営業部次長)



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2001/02/02 00:00:00


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