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機が熟しつつある、デジタル新時代

さまざまな技術変化や経営環境の変化の中で印刷業が生き長らえて来られたのは、固有の技術や固有の得意先にとらわれない、大変「つぶし」の効くことをしていたからである。印刷業の仲間でも過去に消えていった会社は多くあるが、技術変化やマーケット変化に対応できた会社の方がずっと多かったから今の業態があるといえる。しかしこの法則も通用し辛くなってきた。1980年代初頭からのOA化・ペーパーレス指向、1980年代後半の通信自由化、1990年代中ごろからのパソコンとインターネット、2000年頃からの携帯電話のデジタル化など、紙に代わる情報媒体の胎動は機を熟し、ようやく現実社会の日常の場に堂々と姿を現すようになったからだ。

つまり印刷業のつぶしの効く柔軟さが発揮できたのは、紙ベースのビジネスは変らないという前提があってのことで、今は紙ベースのビジネスがこれらかどうなるのか、真面目に考えなければならない段階にきたので、電子媒体に向けてのあらたな「つぶしのよさ」を主体的に自律的に獲得する努力を必要としている。結論からすると印刷業のような業態に向いた仕事は将来もある。よく言われるのがコンテンツの加工であり、また最近注目をあびているRFIDタグ(ICタグ)の実装など、新規に何かを開発するというよりは、フルフィルメント的なデイリーの仕事が印刷業の得意なところとなるであろう。

しかしこの紙ベースのビジネスから、電子的な情報のフルフィルメントビジネスへの壁は相当大きなギャップがあり、自社がその方向で今後の経営ビジョンをたてることも、それらのビジネスのイメージもなかなかおぼつかない会社が多い。特に現時点が縮小均衡の時期にあると、これらのことを考えるのを先送りにしがちである。しかしブロードバンド化にみるように2000年を超えてから電子メディアの世界のビジネスは加速し始めた。だから金額的な投資はともかくとしても、デジタルデバイドにならないように意識だけは将来の業界の仲間入りをしておきたい。

PAGE2004のコンファレンスは、コンテンツ加工のビジネスやメディアの使われ方について、現在のキーとなるプレーヤーがスピーカーとして集い、2〜3年先を考えながら議論する場である。もしあなたが上記のような電子メディアのビジネスがピンとこないというギャップがあるならば、それを乗り越えて自分の問題として考える機会としてPAGE2004への参加を強くお勧めする。PAGEコンファレンスから刺激を受けるには、それ相応の要素を備えていることも必要である。それは経営感覚の若さであり、また今までどのような人々と付き合ってきたかである。だから、若い経営スタッフや、電子メディアに親しんだ方をPAGEに送っていただきたい。以下が、あなたの会社の未来を支えるスタッフの方のおすすめセッションだ。

経営戦略を考える方

【A1】変容する市場とビジネスモデルの再定義
顧客対応力強化、調達効率アップ、受発注の機能化、提案型の制作ビジネス……
これらに取り組みながら、ビジネスが何をきっかけに、どのような形で成長していったのか!
【A3】製品データと印刷データをシンクロさせる構築事例:
製品情報の統合活用とクロスメディア メーカー販促部門−システム開発会社による「販促活用のための製品情報管理」実現のコラボレーション。 〜製品と印刷のデータのシンクロにより、製品情報をいつでも出力情報として活用することが可能となった〜
【D1】これからの印刷業MISへの新提案
-カギを握る統合システム化以降の進化-
【D2】ネットワークによる顧客との連携強化
−構想から具体化へ−
【D6】印刷ECの本番に備えて
印刷のECモデルが近年数多く出現したが,「新しい技術の導入=成功」ではなかった。一方で,ネットワーク上の取引きは着実に伸び,大躍進している会社もある。B2Bに実際に必要なことは何かを問う。

技術戦略を考える方

【A2】CIP4/JDFがもたらす印刷の近未来
【A4】XML活用の構築事例:
法令出版のXML化 出版社-印刷会社-メーカーによる「XMLパブリッシング」実現のコラボレーション 〜XMLを使うメリット、出版ビジネスの方向性を、事例をもとに考察する〜
【B6】通信教育用教材のバリアブルプリント
可能性が見えてきたプリントオンデマンド−2003年オンデマンド アワード大賞の事例から学ぶ
【D3】さし迫ったCIP4/JDFへの対応

印刷物つくりの改善を使命とする方

【B1】印刷色再現の新たなチャレンジ
【B2】DTPソフトを組み込んだソリューション
【B3】Office2003によるコンテンツのXML化
【B4】デジタルカメラと画像生成の進化
− 印刷会社,カメラマンから見た画像生成のポイントとは −
【B5】拡張する文字コード標準化と実装
− OSへの実装方法と日本語対応の問題点を考える −

メディアの企画から携わりたい方

【C1】見えてきた電子書籍ビジネス
芥川賞受賞作品が創出する電子書籍市場 電子書籍サイトが新しいビジネスを提案!
出版社のPR誌をコンテンツにする
【C2】変わる流通と電子カタログビジネス
流通業を支援する商品データベースへの要望と小売支援のための電子カタログプレゼン手法や印刷業の関わり方
【C3】eラーニングに展開する教材制作
競争激化する教育市場のニーズに対応した教材制作事例
【C4】ドキュメントからナレッジシステムへ
業務〜会社〜顧客の関係力を強化し、営業、教育コストを大幅に削減するWebによる「情報・知識共有」の仕組み作り。そしてドキュメントの新しい活用法−
【C6】Webユーザビリティの方向性
CS(顧客満足度)からCSR(企業の社会的責任)を体現するメディアへ− 企業にとってWebサイトの意味を考え直す
そして、先端技術ZONE

社内のIT技術・システムのインフラを支える方

【C5】コンテンツ管理の重要性
-クリエイティブ作業以外を自動化するコンテン管理システムで効率よいWeb更新-
≪開発期間の短縮+コストダウン+運用作業の簡略化≫を実現する
【D4】Webサービスによる業務連携
Webサービスがもたらす次世代メディアの可能性と問題点としてメディア・ビジネスWebサービスを応用した事例からみる,情報共有技術の利用のポイント
【D5】業務からみた社内ネットインフラの向上
ブロードバンドを活用したデジタルワークフロー構築において,セキュアネットワークやデータ管理のポイントを始め印刷会社がぶつかる現実とは

PAGE2004で大胆に新しい世界に触れてみよう。紙の専門書では初版が2000部印刷から1500部に減らすかとかいっている間に、圧倒的にWEBの方が人目に触れやすくなってしまった。しかし既存の紙の出版社が思い切って電子書籍には行けない。実は今の印刷業も似たようなものである。まずは想像力の鍛錬から始めなければならない。

■特別連載

・その7 変容する市場が、あなたを置き去りにする(2004.1.29)
・その6 見かけとは違い、180度変わったDTP関連開発(2004.1.27)
・その5 ネット時代には、若い経営センスが必要(2004.1.20)
・その4 IT時代に合った印刷ビジネスモデルを発想する(2004.1.13)
・その3 情報産業は、技術モデルからビジネスモデルへ(2004.1.6)
・その2 価値のある仕事をしよう(2003.12.30)
・その1 時代は、飛躍的な効率・効用を要請している(2003.12.23)

また、コンファレンス全体のガイダンスとして無料(先着80名)で聴講できる、【A5】グラフィックアーツの中期的課題も、ぜひご利用ください。

2004/02/03 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会