印刷物制作がデジタル化するとこうなるだろうと、前世紀末からいろいろ言われてきたことが、まさにその通り具体的な形で出現しつつある。デジタルで紙面制作をするDTPやデジタルから刷版を作るCTPという入口と出口は先にできた。CTPはさらに無処理型に向かい作業環境すべてデジタルが前提になったが、実業務をネットワークに適合させるには所々足りない点や落とし穴があったの過去であり、2006年は必要なツール類はほぼ出揃った記念すべき年となる。だからここでDTPを再認識すべきである。
OpenType、InDesignプラグイン、XML、自動組版、カラーマネジメント、サーバでのデータ管理、ワークフロー管理、POD、PDFなどのキーワードが出現してから今日まで何年かかっただろうか。これらのキーワードに慣れすぎたと感じるなら、それらの意味をもう一度問い直してみる必要がある。やはりこれらは重要であり、これからの制作システムの土台になるものだからである。
フォントのOpenType化は各フォントメーカーから進められてきたが、フォントワークスに続きモリサワもライセンス販売の形になって、必要なフォントがワークフローの全域で使いやすくなった。フォント各社は外字のツールも用意し、フォントがDTPのトラブルの原因とされることは、理屈上はなくなりつつある。あとは利用側が環境整備をしていけばよいといえる。
組版の自動化は近年の最も大きな進歩が見られるところで、DTPのエンジン部分だけでは効率化できないところに対して、多くのツールやプラグインや登場した。DTP上ではやり難かった表組みをEXCELからインポートするのが増えているように、日常の実用レベルのものが充実してきた。自動組版は大別して、独立したシステムのもの、プラグイン的なもの、XMLベースで作りこめるもの、などがある。それぞれ新たなものが加わっていてPAGE2006のみどころであるが、小さな小間を注意深く見て行かなければならない。
特に自動組版以外にカラー処理やPDFでもサーバ処理のものが増え、AdobeCS2もオンラインでの利用環境に適するものと変り、DTP全体がスタンドアロンの時代を終えて、「オンデマンドDTP」とでも言うべき時代にさしかかっている。つまりかつてのアナログ印刷物制作が、まず原稿を揃えてから制作にかかるというモデルであったのが、カメラマンもライターもレイアウトも同時進行するようなDTPの姿が現れようとしている。それにあわせてセキュリティ機能をもたせることやそのツール、またJDFによる受注から一貫したオンラインの工程管理なども一挙に増えている分野である。
校正もインクジェットが主流になりヘキサクロームまで対応するものが出ている。カラーマネジメントも今までより1ランク上をめざすものが出てきた。デジタルの上にアナログ以上の仕事をする時代に入っているともいえる。まだ出口のPDFに不足があるとすると検版であろう。この分野にはそれを補うような開発が引き続き行われている。
関連コンファレンス・セミナーのリンク 自動組版 データ管理 PDF 色再現 カラーマネジメント フォント・文字コード XML JDF
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2006/01/25 00:00:00