特殊印刷の可能性を引き出すクリエイティブワーク

掲載日:2017年7月14日

「※印刷表現のコーディネートを考える」

今日の印刷ビジネスでは、急速なハイテク化やデジタル化への対応が迫られている一方で、人はより人との触れ合いや五感を求める傾向にもある。これは、1980年に刊行された『第三の波』でのアルビン・トフラーの未来予想のようだ。デジタル化の中でも人間の感性や感覚に訴える印刷表現技術は、益々ニーズが高まりそうだ。 期待されるニッチな分野に特殊印刷がある。一概に特殊印刷といっても素材、印刷、加工の要素から成り立っている。

■主な分類として、以下が挙げられる。

<素材 ・フィルム> ・アルミ蒸着紙・ホログラムペーパー・和紙、他 <印刷 ・4色印刷> ・特色印刷(金銀、蛍光色等)・高精細印刷 ・2次印刷 ・UVニスコーティング・スクリーン印刷・3D印刷・メタリック印刷・蓄光印刷、香料印刷・疑似エンボス印刷 、他 <加工 ・インデックス加工> ・箔押し・型抜き、穴あけ・ミシン目入れ、他

これらの組み合わせによっても、表現効果は広がっていく。 例えば、香料印刷(マイクロセント)は、インキ組成中に直接香料を加え、浸透乾燥タイプとして凸版などで印刷するタイプと、マイクロカプセルに香料を封じこめたものをインキ化し、印刷物自体は芳香性がないが、印刷面を擦ると擦過作用でカプセルが破壊され、芳香効果が生ずるタイプのインキがある。前者のタイプは保香性の問題などがあり今では殆ど使われておらず、後者が使われている。 これは、通常のオフセット印刷に比べれば生産性は劣るし、手間暇もかかる。結果、従来の積算見積もりでも印刷料金は高くなる。重要なのは、特別な印刷製品には価値に対する絶対プライス、マーケティングプライスが必要なことだ。ユーザーへのコミュニケーション効果に対する見返りである。

ただし、やみくもに特殊印刷を使えば良いということでもない。効果的に使う必要がある。コミュニケーション効果は、感動や驚きなどの感性に訴えることだ。技術者とクリエイターが上手く連携してクライアントの意図とユーザーの欲求を満たすのである。
そこで、必要とされるのがマーケティング感覚を持ち、技術者とクリエイターを結び付ける人材だ。結婚?で言えば、仲人のような位置づけである。両方をよく理解して結びつけるのだ。これが、コーディネートだと言える。この結び付け方が上手くいけばいくほどシナジー効果は高い。結びつける人材、コーディネータが鍵を握る。

 プリンティングコーディネータ養成講座第20期(JAGAT主催)は、様々な印刷技法、素材、作品、人との出会いの場。今年もブラシュアップして10月4日から開催する。

第20期プリンティングコーディネータ養成講座
顧客の伝えたい価値を幅広い印刷表現技術で形にする

詳細はhttps://www.jagat.or.jp/archives/37462をご覧ください。

(CS部古谷)