page2020セミナー「効果の高いパーソナライズDMの実際」開催の報告

掲載日:2020年4月14日

Webを始めとするデジタルメディアが進展する中、注目されているのが紙(アナログ)メディアのダイレクトメールである。
メールやチラシといった不特定多数向けのメディアではなく、自分の宛名で届きパーソナライズされたダイレクトメールは特別感もあり、購買へつながる可能性が高い。
最近では、ダイレクトメールからネットに誘導するような工夫をこらし、デジタルと融合させたものもよく見かける。ただ単に上質な紙や凝ったデザインだから良いというわけではない。

 

JAGATは、2020年2月5日(水)~7日(金)の3日間、池袋サンシャインシティーにて、page2020「デジタル×紙×マーケティング for Business」を開催した。
印刷業界だからこそできる顧客満足が得られるダイレクトメールは、どのようにしたらできるのかを考えるべく、「パーソナライズDM」をテーマに、データ取得分析からプロモーション、メディア企画への具体的な手法を学ぶセミナーを行った。
はじめに、有限会社グレイズ代表取締役の小澤歩氏がマーケティングの基礎をわかりやすく解説。続いて、フュージョン株式会社エグゼクティブマーケティングディレクターの吉川景博氏より、ダイレクトメールのトレンド、心に響くパーソナライズDMについて事例を交えながら紹介。2人の講師による内容の詰まったセミナーとなった。

 

■ターゲットを絞り込みアピール!

 

「DMやチラシを作ることは目的ではなく、それらを組み合わせ顧客が購入してくれる仕組みを作ることがマーケティングのゴールである。」と小澤氏の講義が始まった。印刷会社は、印刷物を作り、顧客へ納品し業務が終了する。しかし、その先には、顧客から消費者という情報の受け取り手がいるということを改めて感じた一言だった。そして、プロモーションには、「物を紹介する手法」と「顧客ニーズに応じてアピールしていく手法」という2つがあり、物や情報があふれている現在、後者の手法が有効である。なぜなら「顧客ニーズに応じてアピールしていく手法」では、状況に応じて自分の抱えているニーズが解決できることが、その人にとって価値のあるものだという考え方がマーケティングのベースにあるからだ。
状況に応じた提案と顧客のニーズを満たすことで競合との差別化が成立し、1~2回利用した消費者から段階を踏んで何度も利用してくれる消費者へと上げていくことが最も理想的といえる。消費者が未認知から見込み客、一般客、リピート客へと変化していくためには、それぞれの段階に応じた施策を立て、組み合わせていく必要がある。例えば、チラシは不特定多数の人に存在を知らせ、お店に来てもらうという目的である。連絡先などの情報があるリピート客には、チラシではなくDMを送るなど、段階によってアピールする手法が変わってくる。売上は、客数×客単価×リピート回数で、企業の売上を多く作るのは、リピート客であり、リピート対策に適しているのがDMである。とマーケティングの基本を解説し、受講者も納得していた。

 

 

 

■心に響くパーソナライズDMでリピート率up!

 

吉川氏は講義の冒頭、ダイレクトマーケティング協会の調査やアメリカの市場でのアンケートでも、ダイレクトメールがトレンドだという結果が出ていることに触れ、マーケターがDMに注目していると現状を報告。
DMの活用方法として、新規顧客とリピーターへアプローチしていく2通りを例としてあげた。
出前サービスで注目を浴びているUber EatsはTVCMやデジタルマーケティングを使い、その認知度を高めている。ただし、デジタルだけなく、地域エリアにターゲットを絞り込み、ポスティング等の紙媒体を活用することで更なるプロモーションの強化に努めている。紙DM(チラシなど)でサイトに誘導し、商品を購入してもらう。紙からデジタルへと上手く活用し、集客を得ている例を紹介した。
リピーターから優良顧客への施策も重要視されている。優良顧客とは、来店・来訪回数が多く、企業によって異なるが、例えば、全体売上の上位2割を占める顧客とし、その優良顧客を増やしていくことが必要だ。特別なサービスをDMで案内し、年間を通じて客単価を上げていく。また、実験的にいろいろなDMを送り、データをとってみると訴求力が違うことがわかる。顧客に向けてのアプローチ方法には、クリスマスやお正月といった行事にポイントをあて「みんな」に送るDMと、お誕生日や記念日といった「あなた」に送るDMに分ける。リピーターを増やすためには「あなた」に送るDMをもっとフォローしていく必要があるという結果がでた。データ活用とターゲットの絞り込み、そして、その人に合ったタイミングや内容で伝えるDM、まさにそれがパーソナライズDMというところの要素である。
講義の中で吉川氏は、豊富な具体的事例を示し、心に響くDMの価値と効果が実感できた。

 

 

 

受講者のアンケートを見ると、多くの受講者から「DMの在り方を考えさせられた」「具体的な実績でわかりやすかった」「パーソナライズの効果が確認できた」という意見が寄せられ、「機会があればまた聞きたい」と大多数の方が満足し、講座を終えた。

今回は、2時間という限られた時間だったが、印刷会社の方々にパーソナライズDMの価値や効果など理解していただけたと思う。そして、今後、自社での取り組みとして、印刷会社ならではの提案、形にできるDMを作るヒントになっていただけたら幸いだ。
印刷業界として多くの人の心に残る特別なDMを届けていきたい。

  JAGAT 加治 寛子

 

■page2020  「効果の高いパーソナライズDMの実際」
~データ分析からプロモーション戦略、メディアプランニングの手法を学ぶ~