『続・レタッチ技術手帖』 発刊の言葉

掲載日:2014年8月12日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

坂本恵一氏が、社団法人印刷技術協会・協会賞を受賞され、「レタッチ技術手帖」を世に問うたのは、丸三年前のことである。レタッチといえば、複雑で一般人にはわかりにくい製版の専門技術であるにもかかわらず、本書は、レタッチ以外の印刷人からも熱狂的に迎えられた。

その原因は、知られざるレタッチ技術のノウハウがはじめて体系的に描かれたことによるが、それだけでなく、レタッチ=製版の司令部=色修整・演出者と位置づけ、機械化の中で見失われがちな、人間の生きた技術の価値を技術者自身が発見した点にあろう。

今回、月刊プリンターズサークルに、「続・レタッチ技術手帳」掲載の企画をすすめるにあたって、坂本氏に特にお願いしたのは、

  1. レタッチの語り部として、生きたレタッチ技術変遷の稗史(はいし)を、専門家以外でも興味深くわかりやすく読めるよう、エピソードを多くまじえて執筆する。
  2. 執筆にあたり、過去のものとしてでなく、現状の技術・今後の方向とのかかわりという観点を常にベースにおく。

の2点であるが、このむずかしい編集部からの注文をみごとにこなし、坂本氏は毎月滋味ゆたかな原稿をものにされ、ここに「続・レタッチ技術手帖」が完成するにいたった。

本書を発刊するにあたっては、「マイクロエレクトロニクス時代において機械化・コンピュータ化でできない、人間でなければできない技術とはなにか」のテーマのもとに、「トータルスキャナ時代のレタッチ技術の展望」の章を加筆していただいた。

より高品質の、プロの印刷物が求められる今日、本書が印刷・製版技術者はもちろん、すべての印刷人からご愛読いただけるものと確信する次第である。

1983年12月15日
社団法人 日本印刷技術協会 出版部

『続・レタッチ技術手帖』より
(2003/03/28)(印刷情報サイトPrint-betterより転載)