『お客様の作りたいを形にする』シナリオできていますか?

掲載日:2015年4月21日

これからの印刷会社にはマーケティングの視点が不可欠です。お客様に提案する上でも、まず自社での経験が重要です。限られたリソースで、いかに社内そして社外を巻き込んで進めるか、page2015から紹介します。

page2015セッションより、バリューマシーンインターナショナル 河島 弘司講師と日相印刷 荒井 慶太講師による「実践! 印刷会社による新商品開発と自社ブランディング」を紹介する。

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それは2014年7月に始まった。
荒井慶太氏が家業を継ぐべく(株)日相印刷(神奈川県相模原市)に入社した。

印刷業を取り巻く環境が大きく変わるなかで、社員を巻き込み活性化しながら会社を変えていくことにチャレンジ。
自社の強み、弱みを改めて社員全員で考えるなかで改めて地域密着を打ち出した。

そうして生まれたのが「相模原WIN-WIN 計画」だ。
「みんなが、幸せになれる街、相模原」を目的に、相模原を全国区、世界区にすると目標を掲げ、その手段として相模原に関連するすべての企業をブランディング、「相模原」全体のブランディングにつなげるものだ。

「日本の相模から世界へ」を目標に、相模原とともに成長する印刷メディアカンパニーを目指す! と全社員に宣言した。

まず最初に行ったことが、日相印刷創業50周年記念として、公式サイトのリニューアルだ。この中に、地元「相模原市」を応援、PRする特設コーナーを設けた。特に好評だったのが、相模原のキャラクター・シンボルマークや市章・ロゴを一元化したサイトだ。

マークの掲載許可を取るために担当者一人一人に会いにいく。
すると、「これまで、そんな提案されたことない」と珍しがられると共に、同社の「相模原LOVE」に共感され、他のキャラクター担当者を次々にと紹介してもらうことができた。

その結果、できたページがこれなのだ。
http://www.print-nisso.com/sagamihara/index.htm

驚いてしまうのは、このサイトリニューアルのスケジュールだ。8月中旬に企画し、出来上がったのが9月の終わり。ものすごいスピード感、実行力だ。

そんな風にネットワークが広がる中で、相模原市制施行60周年記念冠商品の作成を持ちかけられた。
社員数30名弱という限られたリソースのなかで、行政を巻き込みながら試行錯誤して生まれた商品が学習パズル「ぴーしーず」である。
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どんなパズルかというと、
①さがみはらの地区(22区域)
②緑区・中央区・南区のシンボルマーク(3区)
③マスコットキャラクター(4つ)
の計29ピースからなる。

3区の色、地区の形、シンボルマークやキャラクターの絵柄をもとに、ジグソーパズルを完成させることで、遊びを通して相模原を理解する学習パズルだ。

紙のパズルが持つ紙触効果とともに、ユーザー同士が交流できるサイト「ぴーしーず情報局(http://www.pcs-nisso.com/index.html)」を開設。1saito
紙とサイトを活用することで、「学ぶ・創る・遊ぶ」のサイクルが継続していくことを狙っている。

熱い「相模原LOVE」が実を結び、販売協力店が増え、多数のメディアに取り上げられた。おおよそ30の媒体に掲載され、同社の認知度と信頼度が上がっている。
「ぴーしーず」での経験を生かし、「さがみはらの『パズル屋さん』」という「ノベルティパズル」事業を始めた。

荒井氏は言う。
「日相印刷は、これからも『相模原市』を基軸に、ますます加速するグローバル化に対応した印刷メディアカンパニーを追及していく。また『お客様の作りたいを形にする』という志を持つ、全国の印刷会社さんと協力し、『印刷で人を幸せに』『印刷を憧れの仕事に』していきたい」。

(CS部 教育開発グループ 小須田紀子)

関連情報

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