デジタル化の波は、メディアの形態にとどまらず、私たちの仕事やデザインの現場そのものに大きな転換点をもたらしています。
境界が溶け合い、ひとつのデザインが世界へ広がる時代
かつて紙とWebは、まるで別の世界のように捉えられていました。しかし今、その境界は急速に曖昧になり、ひとつのデザインが紙のパンフレットにとどまらず、WebサイトやSNS、動画へとシームレスに広がり、人々の手や心へと届く時代を迎えています。
紙で磨いた情報の整理力こそ、Webでも大きな武器になる
環境が変わる中で、「Webへ踏み出すべきか」「培ってきた技術は通用するのか」と迷いや不安を抱く方も少なくないはずです。しかし、紙媒体で磨いてきた経験や感性は、決して無駄にはなりません。むしろ、デジタル情報が溢れる現代だからこそ、その力はより一層活きる場面が増えています。
紙の世界で培った情報の整理力や視覚的な訴求力、美しい文字の使い方や緻密なレイアウト、情報の優先順位の付け方は、デジタルの場面でもそのまま大きな武器になります。手に取ったときの質感やページをめくる楽しさ、目に見える形として残る安心感を知るデザイナーだからこそ、生み出せる深い表現があるのです。
「見る」から「使う」へ。それぞれの良さを理解し活かす
一方で、紙とWebではデザインに対する考え方に確かな違いがあります。紙が見た目の印象を重んじるのに対し、Webは「読む」から「使う・操作する」へと視点が広がり、画面サイズに応じたレイアウトや操作のしやすさといった体験そのものが問われます。さらに、状況に合わせて改善し続けられる更新性や、時間や場所を超えて世界中の人へ届けられる広がりもWebならではの強みです。
デザインの本質は、いつの時代も人の心を動かすこと
大切なのは、どちらが優れているかを比べることではなく、それぞれの良さを理解して目的に応じて使い分けることです。デザインの本質は、いつの時代も「誰に、何を、どう伝えるか」であり、受け手の心を動かし、行動を促すことにあります。人は情報をただ得るだけでなく、心で感じることで行動します。だからこそ、人間の心理を理解し、相手に寄り添うデザインの姿勢は、媒体が変わっても何ひとつ揺らぎません。
紙のこだわりを大切にしたまま、新しいキャンバスへ
紙で培った表現力にデジタルの技術を掛け合わせ、自身の可能性を広げたい。そんな前向きな一歩を後押しするために12月に開催されるのが、紙デザイナーのための HTML・CSS入門講座【紙からWebへ、デザイナーのためのキャリア形成】です。紙の経験を持ちながらWebに苦手意識のある方を対象に、Figmaを用いた画面設計からエディタによるHTML・CSSの基礎実装、レスポンシブデザインの考え方までを二日間で体系的に学ぶ実践型オンラインセミナーです。
単なるコードの習得にとどまらず、デザインの本質を見つめ直しながら、これまでのキャリアを新たな力へと進化させる学びの場を提供します。紙のこだわりを大切にしたまま、Webという新しいキャンバスへ表現の力を広げてみませんか。
(研究・教育部 河原 啓太)
紙からWebへ、デザイナーのためのキャリア形成
1日目:2026年 12月 1日(火) 10:00~17:00
2日目:2026年 12月 8日(火) 10:00~17:00
※2日間の講座です。


