印刷・製本関連」カテゴリーアーカイブ

印刷業のキャラクターグッズとライセンスビジネスのアウトライン

page2024セミナーのゲストスピーカーに三輪 直之氏(シンクイノベーション株式会社 代表取締役)

ウォルトディズニーにみるキャラクタービジネスの展開

世界的にも競争力の高い日本のキャラクターは、さまざまなコンテンツやグッズ、イベントなどで活用されている。そんなキャラクターの知的財産(IP)のライセンスを扱うのがキャラクターライセンスビジネスだ。昨今は、漫画やアニメ、ゲームに携わる企業の業績が軒並み好調である。作品のキャラクターや世界観などIP(知的財産)を用いたエンタメ、コンテンツ領域での事業の拡大や企業のプロモーション活動におけるIPの活用によるキャラクタービジネスに注力している。東洋経済オンライン(2022年01月29日)によれば、そのビジネスモデルはアメリカのウォルトディズニーにも似ているという。ウォルトディズニーの事業は大きく分けて2つあるとされる。一つ目は、テレビ放送や動画配信サービスによる「映像系」作品の事業。二つ目は、作品をベースにしてテーマパークを軸にしたリアルエンタメを提供する「体験系」だという。加えてそれら作品のストーリー性やリアルエンタメの世界観体験の副産物としての製品パッケージなどの企業プロモーションでのコラボや様々な製品、グッズなどでのキャラクタービジネスでの大きな収益がある。特にキャラクタービジネスは、商品企画や在庫におけるコストがかからないため高採算なビジネスが多いともいわれている。日本のゲームや漫画IPは、もともと高い競争力を持っている。世界的な動画サービスの普及を受けて派生したコンテンツは、グローバルに拡大し、ゲームIPは、スマホやPCの普及により世界的に急速に広がっている。競争が厳しい事業でもある。コンテンツやキャラクターなどのIP力で成否が分かれるからだ。ゲーム会社や出版社といったコンテンツを生み出す企業がキャラクター市場で勝ち抜く上では、コンテンツの競争力維持に加え総合力が求められているという。多角的な展開やキャラクター活用による提案力がいっそう必要になっている。

キャラクターライセンスビジネスの展開とシンクイノベーション株式会社

魅力的なコンテンツIPを持つ会社は、キャラクタービジネスを展開するための魅力的なパートナー企業を求めている。ライセンスビジネスプレーヤーは主に4つある。「ライセンサー」「ライセンシー」「ライセンスエージェント」「小売業者(流通のプラットホーム)」で、互いの強みを発揮することで双方の利益を図ることができる。

  • 【ライセンサー(実施許諾者)】ブランドやキャラクターなどの特許ライセンスを所有する団体や個人
  • 【ライセンシー(実施権者)】ブランドやキャラクターなどのIP(知的財産)の使用権をライセンサーから承諾を得ることで、IPを使用した商品やサービスを開発し、販売することが可能な事業者
  • 【ライセンスエージェント】ライセンサー(実施許諾者)と契約を結ぶことで、キャラクターやブランドなどのIPの営業代行やマーケティングを行う団体や個人。
  • 【小売業者】ライセンシーが開発したライセンス製品を購入することで、インターネットや小売店などを通して販売する事業者。

また、キャラクターグッズに携わる事業者には、ライセンサー(版権元)から版権を借りてグッズ化し販売する事業者「ライセンシー」と企業や同人、個人から委託されるOEMがある。

page2024セミナーでは、ゲストスピーカーに三輪 直之氏(シンクイノベーション株式会社 代表取締役)に登壇頂く。ライセンスグッズの企画・製造・販売を手がける同社は、概ね3つ事業がある。一つ目は、オリジナルでバッチやスマホケースなどの企画・製造・販売するBtoC事業。二つ目は、雑貨店などの商品を依頼受けて製造するOEM事業。加えて、三つ目にMD事業(ライセンス事業)がある。例えば、アニメの「進撃の巨人」や「ハイキュー!!」のキャラクターライセンスを取得して自社商品としてキャラクターライセンスビジネスを展開している。印刷業界での話題では、株式会社ミマキエンジニアリングのUVインクジェットプリンタをはじめとする印刷機械設備65台。従業員数100名で社内生産をしていることも特徴でpage2024セミナーでは解説やコメントを頂戴する予定だ。

(CS部 古谷芸文)

【S4】キャラクタービジネスと印刷業の可能性

【S1】営業初心者をあっという間に戦力化する 「チームマネジメント」

【S2】新時代突入! 生成AIでデザイン業務はどう変わるのか

【S3】未来を見据えた異業種共創と新事業開発

【S5】生成AIで変わる動画ビジネス

【オンライン】デジタル印刷とデータビジネスの基本

印刷ビジネスにおける受注活動は、いまや紙媒体だけではなく動画やWebメディア等への幅広い対応力と知識が求められています。本講座では印刷物及び、それ以外のデジタル商品の受注能力を育成するためのデジタルデータ基礎知識を学びます。

 

開催日時

2023年12月4日(月) 14:00~17:00

 

対象

・若手、中途社員
・デジタルメディアの基礎を勉強したい方
・デジタルワークフローに興味のある方
・デジタル印刷ビジネスを始めたい方

 

カリキュラム

◇デジタルメディアとデータの種類
・印刷会社が受注するメディアの変化
・印刷会社で扱うデータ(印刷用素材・Web用素材・映像ファイル形式)

◇メディアによる受注フローの違い
・印刷案件、Web案件、動画・映像制作の受注情報

◇トラブルを防ぐ入稿データのチェックポイント
・印刷入稿データとソフトウェア別データチェック手法
・Web制作工程とWeb発注の予備知識
・動画制作工程と動画プロモーションの予備知識

 

講師

影山 史枝 
株式会社スイッチ / DTPスペシャリスト

複写機メーカー・精密機器メーカーのテクニカルサポートを経て、PCスクールおよび派遣企業の教育センターでトレーナーとして勤務。現在は印刷企業の技術顧問、業界団体のDTP・マーケティング系講座・企業研修を多数行う。

 

最少催行人数

6名

 

参加費

JAGAT会員 14,300円 / 一般 19,800円      

※上記価格は1名様の価格です。複数名でご視聴の際は人数×受講料をお支払い下さい。

 


●研究会・セミナーのZoomウェビナー参加方法のご案内

研究会・セミナーのZoomウェビナー参加方法のご案内

●セミナーお申し込み後の流れについて

オンラインセミナーお申込み後の流れについてのご案内


 

お申込み

Webからのお申込み


   お申込みフォームが開きます

 

●FAXでのお申込み

 FAX用お申込み書PDF

お申込書に必要事項をご記入のうえ、
03-3384-3216
までFAXにてお送りください。

 

参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の2日前までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。

口座名:シャ)ニホンインサツギジュツキョウカイ
口座番号:みずほ銀行中野支店(普)202430

内容に関して問い合わせ先
内容に関するお問い合わせはお気軽に下記までお寄せください。
CS部 セミナー担当 電話:03-3384-3411

お申し込み及びお支払に関して
管理部(販売管理担当)   電話:03-5385-7185(直通)

公益社団法人 日本印刷技術協会

【オンライン】印刷営業のためのオフセット印刷の基礎知識とトラブル未然対応講座

印刷営業が印刷技術・工程の深い知識や理解を持つことは、顧客の信頼を得て、安心を提供します。
一方、営業の対応によってはトラブルが発生し、会社の収益に大きな影響を及ぼします。
印刷トラブルへの対応は製造現場だけの課題ではありません。受注時の営業対応により未然に防ぐことができます。またトラブル発生時の顧客対応にも技術知識は不可欠です。
本講座は、印刷の基礎知識を解説し、よくあるトラブルの事例と営業対応のポイントを学びます。

 

開催日時

2023年11月30日(木) 14:00~17:00

 

対象

印刷営業、工務・生産管理 、制作など

 

プログラム

・印刷の5大要素 と4大印刷方式とデジタル印刷
・オフセット平版印刷のしくみ
・印刷材料(用紙・インキ・PS版)
・よくある印刷トラブルと未然防止
・よくある納品時、納品後のトラブルと対応
・まとめ

 

講師

中野 和波(なかの かずなみ)
株式会社音研 印刷部 部長
都立中央・城北訓練センター 任用講師

 

最少催行人数

6名

 

参加費

JAGAT会員 14,300円 / 一般 19,800円      

※上記価格は1名様の価格です。複数名でご視聴の際は人数×受講料をお支払い下さい。

 


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なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。

口座名:シャ)ニホンインサツギジュツキョウカイ
口座番号:みずほ銀行中野支店(普)202430

内容に関して問い合わせ先
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CS部 セミナー担当 電話:03-3384-3411

お申し込み及びお支払に関して
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公益社団法人 日本印刷技術協会

「+1%の工夫」業務棚卸で印刷ビジネスの価値を高める

深刻化する人手不足

少子高齢化や離職率の上昇などで、印刷会社に限らず国内の人手不足はますます深刻化している。製造業では特にその影響が顕著に表れ人材の募集をかけても必要な人員を確保できないケースが目立っている。2022年版ものづくり白書(厚生労働省)では、製造業就業者数の減少に加え、製造業の若者離れを示唆する決定的なデータが報告され、2002年を起点とした約20年間において、製造業就業者数は約157万人減少するなか、34歳以下の若年就業者数では約121万人と大幅な減少が確認されているようだ。一方、65歳以上の高齢就業者数は33万人増加しており、製造業全体での人手不足および若者離れ、高齢化が顕在化する結果が示されている。業務の効率化、生産性向上への取り組みは急務だ。

業務棚卸について

2019年に施行された働き方改革の推進による残業時間の上限規制によって、業務の効率性を高める必要の中、業務改善につながる「業務棚卸」は、効果的な対応策のひとつとされてる。業務棚卸とは、社内の業務を洗い出して整理する取り組みのことだ。整理をする業務内容は様々で、企業全体や部署ごと、社員一人ひとりの粒度で業務内容や作業時間、コストといった軸で洗い出し、業務内容とコストの両面で整理をして仕事上の非効率的なポイントを可視化していくものだ。従業員のムリ・ムダ・ムラを見える化する取り組みでもある。具体的には、棚卸表をつくることが多い。

<業務棚卸のねらい>

◆業務の効率化につながる

◆作業配分が適正かどうかを見極められる

従業員一人ひとりの業務量や時間を把握でき、平準化、適正化を図る

◆人事評価がしやすくなる

◆業務の属人化をなくす

<棚卸表について>

1.各業務を書き出す

2.記入フォーマットを作成する

 ※日次、月次など時系列や経理、営業事務のような業務の大別でも構わない。

3.フォーマットに発生のタイミングと処理時間を記入

<棚卸表での検証>

・想像以上に時間が取られている業務への気づき

・不必要な業務の洗い出し

・進行の悪い業務の検証

・他の人に委譲できる業務の確認

「+1%の工夫」の棚卸で業務開発へ

印刷業務は、普段「アタリマエ」で他の社員や顧客が知らないことも多く、業務棚卸に加えて、それらの業務に「+1%の工夫」と「100%の仲間や顧客視点」を加えることで価値が増大する。業務は、社内や顧客などの他者の評価で価値が決まる。JAGAT講師でもある河島弘司氏(バリューマシーンインターナショナル代表取締役)は、100社を超える印刷会社の新サービス支援を行った実績にもとづき、印刷会社の「隠された強みの発見」や「顧客視点アプローチの導入」、「新サービスのパッケージ化」などを取り上げ、要点を学び、印刷ビジネスを開発する講座を実施している。その考え方は、工場マネジメントや業務改善講座でも実施され受講者のモチベーションアップにも繋がっている。コアとなる手法が業務棚卸に顧客視点を加えたものだ。各業務を棚卸によって強みや弱みを見える化し、チームや顧客視点で社員同士のコミュニケーションやアイデアよって少しの工夫を加えるものだ。営業以外の業務でも顧客視点や他者の評価を加えることで社員は俄然やる気が出ることがある。業務改善は、取り組み方によっては新たな価値を生み出し、業務の開発に繋がり会社の業績を押し上げる力にもなるのだ。

(CS部 古谷芸文)

【オンライン】原価に結ぶ業務管理の実務

【オンライン】印刷会社で実践した部下の成長を促進させる1on1ミーティング

【オンライン】仕事で貢献するための会社数字の見方、捉え方

コンテンツとキャラクタービジネスの可能性

メディアの時代からコンテンツの時代

この6月に開催されたコンテンツ東京2023でも生成AIが大きな話題となる中、様々なキャラクタービジネスも賑わいを見せた。印刷業界を含むコンテンツビジネスでも成長の可能性が高い。イベント内のカンファレンスでは「キャラクターとブランド活用におけるコンテンツ産業政策の現状及び方向性について」と「キャラクタービジネスの最新業界動向について」渡邊佳奈子氏〈経済産業省商務情報政策局 コンテンツ産業課 課長〉と陸川和男氏〈(株)キャラクター・データバンク代表取締役社長/(一社)キャラクターブランド・ライセンス協会 専務理事〉による講演が開催された。基本的な環境認識においては、メディアの時代からコンテンツの時代への変化について取り上げられた。コンテンツの時代は、スマートフォンをはじめとする利便性の高いデバイスによりメディアが多様化している。いつでもどこでも様々なコンテンツの視聴を可能し、コンテンツの奪い合いや競争となりコンテンツが主役になっているという。政府のクールジャパン戦略おいては、価値の高いコンテンツの強みを活かして海外市場でビジネス展開を支援しその後国内消費、インバウンド(観光に繋げる)取り組みをおこなっている。例えば、海外においては、人気の高いアニメーションを題材にファンを増やし日本のブームをつくり、日本の様々な商品を買ってもらい、日本に訪れる外国人に対しては、国内製品の購買や日本のアニメーションで描かれているような情景の疑似体験による消費の拡大を伺うというものだ。JETRO「プラットフォーム時代の韓国コンテンツ産業振興策および事例調査」(2022年)を基に経済産業省作成の資料によれば世界のコンテンツ市場は、2020年には約1.1兆ドル(約149兆円)、2025年に約1.3兆ドル(約183兆円)を⾒込むとされている。 各国でコロナ禍より急速に回復し、さらに、⽇本のコンテンツ産業の波及効果(⼆次利⽤・関連市場の市場規模)では、⽇本のコンテンツの波及効果について、ライセンス利⽤市場と関連市場の規模を推計、関連市場を含めると、合計額は27兆円相当(データ通信を除くと19兆円相当)となっている(※ヒューマンメディア調査「コンテンツ産業の現状」<2023年3⽉、経団連委託調査>より)。特にこの二次利用と関連市場に印刷業とってもビジネスチャンスがありそうだ。経済産業省が提供するコンテンツ海外展開促進・基盤強化事業費補助金は、コンテンツ自体のデジタル化の取り組みや今後海外展開する際に必要になるデジタル技術の導入に必要な費用に対する補助金制度で日本のコンテンツ産業の成長を目的に海外への進出を補助する制度もので、1件当たり上限2,500万円、1事業者当たり20件もしくは1億円が上限とされる。この機会に経済産業省のホームページを確認するのも良いだろう。

コンテンツの価値を高めるキャラクタービジネス

例えばアニメーションでは、コンテンツの主役としてキャラクターがある。(株)矢野経済研究所が1日発表した「キャラクタービジネスに関する調査」の結果によると、2023年度のキャラクタービジネス市場は前年度比1.4%増の2兆6508億円に拡大すると予測される。22年度のキャラクタービジネス市場は、同1.1%増の2兆6136億円。メディアミックス「ウマ娘プリティーダービー」、アニメ化された「SPY×FAMILY」「チェンソーマン」、特撮「ウルトラマン」、映画が公開された「ONE PIECE FILM RED」などにより、市場は堅調に推移したとされる。キャラクタービジネス市場は商品化権と版権とで構成される。22年度の商品化権市場(小売金額ベース)は同1.4%増の1兆2736億円、版権市場(契約金額ベース)は同0.8%増の1兆3400億円と、どちらもプラス成長となった。その要因として、商品化権では行動制限の緩和などでテーマパークのグッズ販売が好調に転じたこと、版権ではVTuberの起用が急増したことがあるという。23年度は同1.4%増の2兆6508億円と予測している。第2期のヒットが確実視される「推しの子」をはじめ、「鬼滅の刃」「進撃の巨人」も新作アニメの放送が予定されている。「スーパーマリオ」は、映画と11年ぶりの「スーパーマリオブラザーズ」新作ゲームなどで、人気が再燃するとみられる。これらが牽引して、引き続き、市場は好調に推移すると予測しているということだ。

<キャラクターの今後のキーワード>

①数は増加、売れるモノと売れないモノの2極化

②体験型諸費

③ハイブリッド型 デジタル商材で拡大

④海外市場の拡大

⑤キッズ市場は大きく変化。海外産アニメの影響が強まる可能性も

⑥第一次オタク世代の高齢化 シニア市場の拡大?

こらからのビジネスは、潮流のキーワードを参考にしつつもゼロベースで思考することも必要だ。キャラクタービジネスは、メタバースやゲームとの親和性も高いとされている。ゲームはさらにメタバースが先行しているとも言われている。単体で考えるのではなく、複合的に捉えることも重要だ。コンテンツ・キャラクター・メタバースなども組み合わせよって価値が増大する。中小印刷業においては、先に述べた波及効果の市場やあらためて自社の強みの「たな卸し」を行い、事業ドメインを見失わないことも益々重要かもしれない。これまでに「ゆるキャラブーム」や「ご当地キャラクターブーム」が話題になっていたが、キャラクタービジネスに限らず、過去の成功体験にとらわれず、新しいものも取り入れながら変化・成長していくことがこれからも求められる。

(CS部 古谷芸文)

秋の印刷入門

急がば回れの多能化への取り組み

企業における人材不足は5月8日のコロナ5類移行により更に加速している。印刷会社でも人材難の話は良く耳にするが事態は深刻だ。ダイヤモンドオンライン(2023.5.12)掲載記事では、「人手不足」倒産がさらに深刻化へ、東京商工リサーチが独自データで解説が掲載されている。東京商工リサーチ(TSR)が4月に実施した企業向けアンケートでは、企業の66.5%が「正社員不足」と回答した。このうち、大企業(資本金1億円以上)は73.2%、中小企業(同1億円未満)は65.5%で、大企業ほど人手不足が顕著だったとある。ただし、今の「人手不足」は、ひと昔以前のように必要なときに容易に採用できる時代ではない。シビアな現実を認識すべきだ。正社員・非正社員を問わず、採用コストが上がり、仕事を回すには人が必要な業種は多い。

スキルマップの活用が多能工化へ繋がる

人材採用難の一方、益々必要になるのが人材の活用、生産性の向上だ。2018年版「中小企業白書」(経済産業省)、第2章掲載「深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命」事例では、従業員のスキルマップを活用することで、人員配置を適正化し、多能工化へもつなげている企業として東京都八王子市の坂西精機株式会社(従業員91名、資本金5,000万円)が紹介されている。同社は、歯車を組み合わせた減速機の製造や精密部品全般の加工・組立を行う企業である。以前は、各従業員の能力の把握が現場頼りになっていたため、管理者は、自社の従業員がどの程度の能力を有しているのか完全には把握できていなかった。結果、例えば部署によってスキルの高い人が集中し、他方で慣れていない人が集中するなど、部署間の能力に偏りが発生していた。そこで、その状況を改善するため、全従業員のスキルマップを作成し、従業員の能力を管理者が把握することで、適正な人員配置とスキルの標準化を行うこととした。 例えば、製造部門では、「読図」、「NC旋盤操作」、「製品の測定」、「異常時の対応」等のあらゆる業務をスキル項目として設定しており、習熟度を「作業に携わったことがない」の「1」から始まり、「指導することができる」の「5」までの5段階で評価している。そして、面談時に課長と従業員が擦り合わせてスキルの評価を決めている。このスキルマップは人事考課には関係なく、あくまで管理職と従業員のコミュニケーションツールとして用いている。スキルの評価が上がった者には管理職がねぎらい、次の目標を共に立てることで、従業員の更なる業務意欲向上につなげているという。

急がば回れの多能工化

従業員のスキルの見える化により、適正な人員配置と業務分担が可能となった。同社では、従業員の能力の偏りを防ぐため、スキルマップ上で一定の熟練度に達したら本人の意向を踏まえた上で、別の部署に異動させている。結果、忙しい部署に対し、他部署から支援に回ることができる人材が増えるなど、従業員の多能工化にもつながっている。各従業員が特定の業務に特化し専門性を形成した方が、高い生産性を発揮すると思われるものの、同社ではその考えはない。「慣れない業務を担当させることによる一時的な生産性低下のデメリットよりも、将来のことを考えておくことが大事。実際、従業員の多能工化により、本来の担当者が不在であっても、他の従業員が補うことで同様の生産性を保つことができ、大きなメリットと感じている。今後も同様の取組を進めていきたい。」と坂西宏之社長は語っている。多能工化は、急がば回れがのようだ。

人材不足を補うための多能工化への取り組みは、印刷会社でも多く見受けられる。

手順は、

①チーム全体の業務を洗い出す

②業務を抽出する

③マニュアルを作成する

④マニュアルに沿って行動させる

⑤フィードバックをより良いものにする

この手順では、作業標準をつくることが必要になる。つまり、標準化という改善活動に取り組むことになるのだ。印刷工場では受注生産で多品種少量化が進む中、計画的な製造管理や受注管理が難しく、工程や個人のスキルによるムリ、ムダ、ムラによる生産性の低下は、働き方改革への妨げにもなっている。解決策のひとつが多能化だ。多能工化は、属人化を解決することで部門や工程での平準化に取り組み生産性向上を図るものだ。多能工化と改善活動はセットで効果が上がる。過去の感や経験での製造工程や現場教育では難しいことでもある。肝心なことは、組織的にしくみ化することだ。そして、改善活動をマネジメントするリーダーを決めたら徹底的に支援、信頼し、リーダー自身は、現場や人に寄り添うことだリーダーシップと人材育成がカギを握る。

(CS部 古谷芸文)

新・【オンライン】印刷機長養成講座

【オンライン】「工場改善活動の進め方」

【オンライン】工場のトラブル対応!ヒューマンエラー対策

【オンライン】第3期 印刷工場長養成講座

2023/10/16 【オンライン】工場のトラブル対応!ヒューマンエラー対策

セミナー名:【オンライン】工場のトラブル対応!ヒューマンエラー対策
開催日:2023年10月16日(月) 14:00-17:00
参加費:JAGAT会員:14,300円(税込)/一般:19,800円(税込)
詳細案内ページ

・申込みは、下記のフォームに必要事項をご記入のうえ、送信ボタンを押してください。
・申込フォームにメールアドレスを入力した後「Enter」ボタンを押すと、フォームの内容が送信されてしまいます。恐れ入りますが、「Tab」ボタンを使う、マウスを使うなどの方法で移動お願いします。
※ご注意ください※
本 メールにご登録いただくと、申込完了メールが送信されます。登録後、数分経ってもメールが受領できない場合は、迷惑メールフィルタ等の要因が考えられま す。その場合は、お手数ですが、メール()またはTEL(03-3384-3411)までお問合せください。

0.参加費用 ※選択してください。

JAGAT会員(14,300円)一般(19,800円)

■参加人数

1.会社の情報

■社名(例:公益社団法人日本印刷技術協会) ※必須

■シャメイ(例:ニホンインサツギジュツキョウカイ)

郵便番号(例:166-8539)

■住所1(例:東京都杉並区和田1-29-11)

■住所2(例:印刷技術協会ビル3F)

2.申込みする方の情報

申込む方と参加される方が異なる場合は、請求書をお送りする方の情報をご登録ください。

■部署名(例:総務部)

■役職名(例:課長)

■お名前(例:印刷 太郎) ※必須

申込者は参加しない

■メールアドレス(例:taro_insatsu@jagat.or.jp) ※必須

このメールアドレスに登録完了メールが送られます。

■FAX(例:03-3384-3168)

FAX受講証をご希望の場合は、この番号に受講証が送られます。

■TEL(例:03-3384-3113)

なにかあったときのお問合せ先となります。

2.申込者以外の参加者情報

申込む方と参加される方が一緒の場合は、本欄は入力不要です。

【参加者1】

■部署名(例:企画営業部)

■役職名(例:主任)

■お名前(例:印刷 花子)

■メールアドレス(例:hana_insatsu@jagat.or.jp) ※必須

【参加者2】

■部署名(例:企画営業部)

■役職名(例:主任)

■お名前(例:印刷 次郎)

■メールアドレス(例:jiro_insatsu@jagat.or.jp)※必須

【参加者3】

■部署名(例:企画営業部)

■役職名(例:主任)

■お名前(例:印刷 三郎)

■メールアドレス(例:sabu_insatsu@jagat.or.jp) ※必須

■その他備考

4.JAGATからのご案内について

よろしければJAGATからセミナー開催案内や関連のご案内を送付させていただきます。
不要の方はチェックを入れてください。
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お申込みありがとうございます。登録完了メールをお送りいたしました。
しばらくしてもメールが届かない場合は、お手数ですが再度ご登録いただくか、
webmaster@jagat.or.jpまでお問合せください。

2023/9/12 【オンライン】印刷工場の競争力を高めるための工場改善活動の進め方

セミナー名:【オンライン】印刷工場の競争力を高めるための工場改善活動の進め方
開催日:2023年9月12日(火) 14:00-17:00
参加費:JAGAT会員:14,300円(税込)/一般:19,800円(税込)
詳細案内ページ

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