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【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム] 4-3 ネットワーク

4-3-1 ネットワーク構成

  • イーサネット(Ethernet)はコンピューターネットワークの規格の1つであり、有線のLAN(Local Area Network)として、世界中で一般的に使用されている。
  • 有線LANは、OSI参照モデルの下位2層に相当するイーサネットとそれ以上の層を規定した「TCP/IPプロトコル」の組み合わせが一般的である。
  • 無線LANを有線LANと接続する場合や、無線LANからインターネットに接続するには、アクセスポイントを経由するインフラストラクチャモードを使用する。PCを移動してもアクセスポイントを自動的に切り替えるローミング機能を利用する。
  • 無線LANと有線のEthernetは、中継機とハブを接続することで1つのLANとして構成できる。

Bluetooth

  • Bluetoothとは、携帯情報機器などで数m程度の機器間接続に使われる無線通信技術のひとつである。免許なしで自由に使うことのできる2.45GHz帯の電波を利用し、最高24Mbpsの速度で通信を行うことができる。PCとキーボードやマウスなどの周辺機器を無線で接続し、データをやりとりすることができる。近年では、スマートフォン、タブレットPCと周辺機器との接続や、ハンズフリー通話にも使用されている。
  • スウェーデンのエリクソンが開発した技術をもとに、IBM、Intel、Nokia、東芝などが中心となって設立されたBluetooth SIGが仕様策定や普及を推進している。IEEEによってIEEE 802.15.1として標準化されている。

4-3-2 ストレージ

  • サーバーで使用されるRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)は、ハードディスクの故障によるデータ損失を防ぐため、ディスク装置の多重化によるデータの冗長性で、故障時のデータの自動修復を行う1つの手法である。
  • RAIDの導入により、ドライブの集合を1つの巨大なドライブとみなすことができるようになる。
  • NAS(Network Attached Storage)は、LAN対応の外付けハードディスクとして使用されることがあり、1000Baseといった高速ネットワークの普及とともに使用方法が拡大した。
    今日のサーバーコンピューターのように、ネットワーク上に配置されるストレージ用のファイルシステム専用サーバーである。
    内部には、OSとファイルに関するプロトコルを処理するソフトウェアが組み込まれている。ネットワーク上にデータを送信するため、ネットワークに負荷がかかる傾向がある。

4-3-3 プロトコル

  • プロトコルとは、通信を行う際にデータを正しく送受信するため、送信側と受信側のそれぞれが処理する手順を指す。
  • 目的とする通信の内容や、伝送路の形態(ネットワークの有無)などにより、種々の構造化されたプロトコルがある。構造を階層化したISO標準モデルとして、7階層のOSI(Open System Interconnection)がある。
  • 電気的または機械的な接続を可能にするためのプロトコルは、回線の種類と電気的な配線について接続方法が規定されている。
  • プロトコルには、伝送路でデータに誤りが発生した場合の訂正方法や、正しく受信した場合の合図の送り方などが規定されている(伝送制御手順)。
  • インターネットのレイヤー構造は、インタフェース層を含めて5階層(またはインタフェース層を考えない4階層)で構成され、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコルはソフトウェアによるパケットといった単位の情報で制御を行い、ネットワークの種類を問わず信頼性の高いデータの送受信を行う。
  • 通信プロトコルの上位には、送受信のタイミングや使用する文字コード、データの圧縮方式、ファイル転送の方法などのプロトコルが必要になる。

4-3-4 インターネット

  • インターネットは、通信プロトコルであるTCP/IPを用い、世界中のネットワークを相互に接続した巨大なコンピューターネットワークである。
  • ルーターは接続するコンピューターへの経路を決定する装置であり、インターネットでは、経路中の専用または汎用コンピューターなどが使用される。
  • 経路となるネットワークが寸断された場合は、ルーターが迂回経路を見つけ出すため接続性が高い。
  • データを細切れのパケット単位で送信する方法(パケット通信)を採用しているため、中継に使用されるコンピューターシステムの負荷が軽く、ネットワークの柔軟性を高めている。
  • IPパケットのヘッダーには、送信元アドレス、送信先アドレス、プロトコル種別、ポート番号などが含まれており、プロトコルはTCPが採用されている。
  • ネットワークの単位となる名称は、ドメインにより管理されている。インターネットに接続する各装置にはIPアドレスが割り振られており、それに対応するホスト名をDNS(Domain Name System)が管理している。
  • インターネット上のサーバーコンピューターは、用途によりさまざまなものがあり、これらが組み合わされて使われている。一般的に必須とされるDNSサーバーをはじめ、POP(Post Office Protocol)サーバーやSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバーは電子メールで使用される。
  • IPパケットのヘッダー内に含まれるポート番号により、送信される情報のサービス種別が識別され、例えばHTTPであれば80となっている。

4-3-5 クラウド

  • クラウドコンピューティングでは、サーバーが連係し合い、クラウド(雲)と呼ばれる仮想化された1個のコンピューターリソースとして捉えられる。
  • 従来は、ハードウェアやソフトウェア、データなどをユーザー自身で保有・管理していたのに対し、クラウドではインターネット上で提供されているさまざまなサービス(クラウドサービス)についてユーザーが必要な機能を必要な分だけ選択して利用するといった形態となる。ユーザーが用意するものはインターネットへの接続環境のみである。
  • 主なクラウドサービスとしては、Google App EngineやAmazon Web Services、Microsoft Azureなどが有名である。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム]4-4 マークアップ言語

4-4-1 HTML

  • HTMLはWeb(World Wide Web)上の文書を記述するためのマークアップ言語であり、文書の論理構造や表示方法などを記述することができる。
  • W3Cにより標準化が行われ、通常WebブラウザーはHTML文書の解釈や表示が行える。
  • インターネット上のWebサイトでは、HTMLとWeb技術が使用されている。
  • HTMLはSGMLを基に開発されたもので、SGMLと同様にテキストファイルにタグを記述する。ハイパーリンクについても同様である。
  • HTML文書はオフラインでの使用も可能であるが、Webサーバーに設置し、インターネット上に公開することで情報提供サービスを実施できる。

4-4-2 HTML5

  • HTML5は、W3Cが策定したHTMLの最新版である。2008年1月にW3Cよりドラフト(草案)が発表され、2014年10月に勧告となった。
  • 小数点以下のバージョンを表記する場合には「HTML」と「5.1」の間にスペースを入れた「HTML 5.1」、小数点以下を表記しない場合は、「HTML5」のようにスペースを含めない表記法が採用されている。
  • HTMLは、1997年に勧告となったHTML 4.0に至るまで、Web上でドキュメントを閲覧するための技術として機能が追加されてきた。その後、HTMLを再定義した「XHTML」として、コンピューターがXHTMLを読み込んで内容を認識できるようにする「セマンティックWeb」として改定を進める方向であった。しかし、2004年頃からHTMLとJavaScriptによるWebアプリケーションにフォーカスした新しい独自仕様の策定を進めるコミュニティーが立ち上がるなど、セマンティックWebは徐々に支持を失っていった。その結果、W3Cも方向転換し、WHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)というコミュニティーと共同でHTML5の仕様策定を進めることとなった。
  • HTML5改定の主目的は、「セマンティックWeb」に近づけることとともに、最新のマルチメディアをサポートし、Webアプリケーションを開発するためのプラットフォームとなることである。
  • HTML5では、新たにaudio要素、video要素、SVG、canvas要素などのマルチメディアをサポートしており、従来プラグインとして提供されていたリッチインターネットアプリケーションのプラットフォームを置き換えることを標榜している。JavaScriptにより対話的な処理をWebブラウザー上で動作させることが可能となっている。

4-4-3 XML

  • Extensible Markup Language(エクステンシブルマークアップランゲージ)は、マークアップ言語作成のため、汎用的に使うことができる仕様、および仕様により策定される言語の名称である。一般にXML(エックスエムエル)と呼ばれている。
  • XML の仕様は、W3Cにより策定・勧告されている。1998年2月にXML 1.0 が勧告された。
  • XMLは、目的に応じたマークアップ言語群を創るために汎用的に使うことができる仕様である。XMLでは使用者が独自にタグを定義することによって、文書に意味を付加することができるメタ言語であり、拡張可能な言語と分類される。
  • XMLの最も重要な目的は、異なる情報システム間で構造化された文書や構造化されたデータを共有、交換することである。
  • XMLは、XML宣言や文書型定義、文書により構成される。XML文書には、DTDなどスキーマ定義を必要とする「valid XML文書」と、DTDなどスキーマ定義がなくても検証できる整形式の「well-formed XML文書」がある。
  • XMLの活用により、紙メディアだけでなくデジタルメディアを視野に入れたコンテンツデータの統一モデルが可能となり、ワンソースマルチユースが実現できる。各メディアに依存するレイアウト情報は、コンテンツ要素と分離することにより、汎用的なデータモデルが実現する。
  • XML導入の利点は、テキストデータが主体となるため、データの取り扱いや、処理を一貫して行えることが挙げられる。タグにより内容を定義するものであり、文書データベースとしての用途が期待できることも挙げられる。

4-4-4 EPUB

  • EPUBは、米国の電子書籍の標準化団体のひとつである国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum:IDPF)が規定した電子書籍用ファイルフォーマット規格である。モバイル端末などへのダウンロード配信を前提にパッケージ化された、XHTMLのサブセット的なファイルフォーマットである。
  • 2011年に規定されたEPUB3.0では、日本や台湾、香港などで多用される縦組みのほか、右から左に記述されるアラビア語やヘブライ語の機能が追加され、グローバル対応が進展した。さらに、EPUB3.0は2014年にISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)からTechnical Specification(技術仕様書)として出版されており、国際標準に準じた位置づけにある。
  • EPUBのファイル構造は、XHTML形式の情報内容(コンテンツ)をZIP圧縮し、ファイル拡張子を「.epub」としたものである。ビットマップ画像やCSSによるデザイン制御、SVG 1.1などをサポートしている。
  • EPUB3.0は縦書き・ルビなどの日本語組版に対応しており、多くのEPUBリーダーがこれらを実装している。コンテンツの記述方法については、出版団体がガイドラインを発行するなどしている。
  • W3CとIDPFは、2017年2月統合された。その後は、W3Cの下で電子書籍ファイルフォーマット規格、EPUBの開発が進めらていれる。

4-4-5 縦書きWeb

  • 当初のWeb環境は、英語に代表される左横書き(左から右)のみの対応であったが、CSSのWriting-modesによって現在では縦書きや右横書き(右から左)などの多様な組方向がサポートされ、主要なWebブラウザーでも対応している。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム]4-5 正規表現

  • テキストデータは、主にテキストエディターで操作するが、大量のテキストに対し、同様の処理を自動的に行うため、sed、awk、perl、rubyなどのスクリプト言語を利用し、処理内容を記述してスクリプトを実行する。
  • Perlといったテキスト処理に向いている言語では、目的とするテキスト内の文字列を特定する「正規表現」を使用することで作業効率の向上が期待できる。
  • フィルター言語は、ファイル中の文字列を端から読み、正規表現によって記述された条件に合う文字列を特定し、一括自動変換を行う。
  • Perlは多くのプラットフォームで用いられており、他のスクリプトと連係し、アプリケーションのデータを書き出し、正規表現による置換処理などを行い、元のアプリケーションに戻すことも可能である。この機能は、データベースに蓄積されたデータを印刷用のデータとして変換するときなどに使用できる。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム]4-6 データベース

  • データベースの操作は、実際の処理手続きとは異なるコンピューター言語で行われ、操作とデータは独立している。
  • SQL(Structured Query Language)はデータベース言語として規格化されたものであり、データベースの定義と、データベース操作と、トランザクション処理の機能を有している。
  • データベース定義は、データをテーブルとして定義すること、テーブル間での関連付けや権限の設定などをスキーマ定義として行う。
  • データベースとはこのように定義されたすべてのデータの集合を指す。
  • データベース操作とは、テーブルに新しいデータを追加し、データの一部を変更や削除し、データの並べ替えを行うことを指す。
  • データベースは多数の利用者から同時に処理が要求されることもあり、異常を回避するために、処理単位をトランザクションとして、秩序立てた処理を行う。
  • SQLにより直接データベースを操作することが可能であるが、他のプログラム言語を介して使用されることが多い。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム]4-7 バーコード

  • バーコードは、線とスペースの組み合わせ配列で情報を表現する技術であり、読み取りの速さと正確さ、操作性の高さなどの特長から広く普及してきた。
  • バーコードの利便性が広く認識されるに伴い、より省スペースで、より多くの情報を表現できるコードへの要望が高まり、二次元コードが登場した。
  • 二次元コードにはおよそ14種類があり、大別するとスタックバーコード方式とマトリックス方式の二つがある。
  • スタックドバーコード方式は、単純に一次元コードを縦に積み重ねたものであり、マトリックス方式は白黒のセルをモザイク状にしたデザインを持つ。
  • QR(Quick Response)コードは、マトリックス方式に分類される二次元コードの一種である。リーダーでの読み取りやすさに主眼を置き開発され1994年に発表された。
  • バーコードが一方向に情報を保持していることに対し、QRコードは縦、横の2方向に情報を持つことで記録できる情報量を飛躍的に増加させた。
  • 従来のバーコードは、約20桁程度の情報量であったが、QRコードはバーコードの数十〜数百倍の情報量を取り扱うことができる。また、数字、英字、漢字、ひらがな、カタカナ、記号、バイナリー、制御コード等あらゆるデータの取り扱いが可能であり、データ量は数字で最大約7000文字まで表現できる。
  • QRコードは、バーコードと同じ情報量を、約10分の1の大きさで表現でき、360度の方向から読み取りが可能である。
  • バーコードや二次元コードがこれほどまでに普及した背景のひとつには、仕様が明確に定義および公開され、利用者が自由に使用できたことが挙げられる。
  • QRコードは、仕様が公開され特許の権利行使を行わないことが宣言された、オープンなコードである。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム]4-8 コンテンツ管理

Webや電子書籍への転用など、印刷物で使用するコンテンツの複数メディアへの展開を当初より想定したデータ管理やワークフロー設計の重要性が増している。今後は、さらに動画、音声などの要素も含めて一元的に扱うマルチメディア対応などが想定される。

4-8-1 ワンソースマルチユース

  • 印刷用データを基に、各種記録メディアやインターネットメディアといった異なるメディアへのコンテンツ展開が行われる。
  • 印刷用に加工されたデータを他媒体へ展開するには、データの再加工を行わなければならず、工数の増大につながる。
  • 印刷用データにおけるサイズや書体指定のような情報を保持せず、印刷メディアやインターネットメディア向けといった、複数メディアへの出力を想定した共有または共通データの作成を求められることがある。
  • 最終的に出力されるメディアを構成する情報をデータベース化し、出力メディアに合わせた検索を行い、データ抽出後に自動的にレイアウトするマルチメディア対応のデータベースが活用されている。
  • 共有または共通データのデータベース化は、情報のメディアミックス展開の際にも有効な資産となる。

4-8-2 CMS(Contents Management System)

  • CMSとは、コンテンツを管理するシステムを指す。
  • 広義では、組織で使用する文書を効率的に管理するためのシステムやソフトウェアを指す。
  • 狭義では、Webコンテンツを構成するテキストや画像、音声、動画などのデジタル素材を体系的に管理し、配信処理などを行うシステムの総称を指す。
  • コンテンツのテンプレートをデータベースに登録し、条件に従いXMLやCSS、XSLなどを用い、テキストデータや画像とともにWebサイトや紙メディアのページを自動生成する仕組みを構築することが可能である。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム]4-9 デジタルデバイス

マルチデバイスの時代では、PCやスマートフォン、タブレット端末などスクリーンデバイスの数が増え、複数のメディアを同時に利用するマルチスクリーン利用者が増えている。テレビやスマートフォン、タブレット端末などを複数併用しているため、同じコンテンツをさまざまなデバイスで見る機会が増えている。表示解像度がデバイスごとに異なるため、ブラウザーの横幅に対応して、表示レイアウトが変わる「レスポンシブWebデザイン」という考え方がある。

4-9-1 スマートフォン

  • インターネットとの親和性が高く、パソコンの機能を併せ持つ携帯電話はスマートフォンと呼ばれている。
  • 2018年時点の代表的な機種には、iOSやAndroidなどのモバイルOSが搭載されている。利用者自身がソフトウェア(アプリ)を追加することで、自由にカスタマイズできることが特長である。
  • 一般的なスマートフォンでは、通信回線や無線LAN(Wi-Fi)を通じてインターネットに容易にアクセスすることができ、また比較的大きな画面やカメラ、ソフトウェアキーボードなどを搭載しており、電子メールの送受信、Webブラウザー、写真・ビデオ・音楽の撮影や再生、ゲームや電子書籍などさまざまな機能を利用することができる。また、GPSを搭載した機種では、地図ソフトや経路案内などの位置情報サービスを利用することもできる。
  • 2018年時点において、国内では幅広く普及しており、携帯端末の大半を占めるようになっている。
  • スマートフォンの普及によって、誰もが、いつでもどこでもインターネットにアクセスできる環境が成立した。そのため、ネットショッピングの拡大やSNSやソーシャルゲームの流行、電子書籍の普及、ビジネスでの活用など社会生活全般への影響も大きくなっている。

4-9-2 タブレットPC

  • タブレットPC(タブレット端末)とは、板状のオールインワン・コンピューターを表す名称である。スレートPCと呼ばれることもある。
  • 2010年、AppleはモバイルOSであるiOSを搭載したiPadを発売した。スマートフォンのように小型画面ではなく10インチ前後の画面を持っていること、スマートフォンから電話機能を取り外したものとなっている。PCと違い起動が早いこと、通常のPCより低価格で通信まで可能な一体型であること、さらにタッチパネルを搭載し、直感的なUIを持つことから、幼児や高齢者にも簡単に利用できることが特長である。
  • Webブラウザーや動画などデジタルメディアプレーヤーとしての位置付け、ネットブックなどの小型PCに置き換わるもの、ゲーム端末、電子書籍(雑誌)リーダーなどの利用が進んでいる。ビジネス用途でも携帯可能な電子カタログやプレゼン端末、電子マニュアルなどの利用が急速に普及している。電子教科書や通信教育などの教育分野でも注目されており、さまざまな利用方法が模索されている。
  • 電子カタログやプレゼン端末、電子マニュアルなどを目的に企業内で一括導入されるケースも増えている。
  • 世界のPC出荷台数は2012年頃から減少傾向となっており、主な要因としてタブレットやスマートフォンとの競合の影響と指摘されることが多い。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム]4-10 デジタルサイネージ

  • デジタルサイネージとは、ディスプレイやプロジェクターなどの装置を使用して表示や通信を行う電子看板システムの総称である。用途によって電子ポスターや電子POP、デジタル掲示板と呼ばれることもある。
  • 従来の看板やポスターとの最大の違いは、文字や静止画像だけでなく音声や動画を使用できること、また秒単位で表示内容を切り替えられることである。そのため、場所や時間に応じて、対象を絞った広告や告知、またリアルタイムの情報発信も可能であり、高い広告効果が期待できる。紙などの広告物やポスターと違い、貼り替えなどのコストや手間も発生しないというメリットもある。
  • ビルの壁面やショッピングセンター、駅、空港など、さまざまな場所に設置され活用されている。また、JR東日本のトレインチャンネルのような電車内広告ディスプレイとしての使用例もある。列車の運行情報を表示する画面と広告画面を並べ、認知度を高めている。時間帯に応じて広告内容を変更することや特定の駅に関する情報を発信することが可能であり、電車内広告はデジタルサイネージの適性が高いと言える。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム]4-11 デジタルメディア環境とビジネスモデル

デジタル技術とネットワークを組み合わせて、顧客に新たな利便性を提供する動きが活発化している。小ロット多品種化が急速に進む中、営業効率を上げるための手法としても有効である。例えば、Webを活用した入稿、プリフライト、画面校正、修正前後のデータ比較、などの機能を備えたWeb校正システムが普及しつつある。こうしたツールを利用しつつ、独自のサービスやビジネスモデルが生まれてきている。

4-11-1 Web to Print

  • Web to Printとは、Webブラウザーからデータエントリーや印刷指示を行い、印刷物を制作・納入するシステムや仕組み、およびビジネスの総称である。Web to Print を活用したさまざまなビジネスは世界各国で成長しているほか、国内でも急増している。
  • 代表的なモデルとして次のようなものがある。
    1) 印刷発注者がWebブラウザーからデータ入稿と印刷発注を行い、印刷物を制作するという形式のもの。
    印刷通販やデジタル印刷ビジネスの基盤として普及している。
    名刺や製造マニュアルなどのリピート発注において、発注側、受注側双方で大きな効率化が実現できる。
    2) 印刷発注者が、あらかじめ用意されたデザインテンプレートの中から気に入ったものを選択し、テキストや画像など自分の情報をオンラインで編集し、オーダーするというもの。はがき・年賀状、フォトアルバム、ブログ出版など対象はさまざまである。自動組版の機能を提供するサービスもある。

  • 印刷書籍と電子書籍を同時に刊行するサイマル出版が求められる中、コンテンツの一元化とワンソース・マルチユースを実現するのがクラウド型の出版支援サービスである。Webブラウザー環境で原稿入力・編集、プレビュー確認が可能であり、アプリケーションやOS環境に依存しないという利点がある。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム]4-12 情報システムとセキュリティー

情報セキュリティー対策の必要性

  • 現代では、企業や組織の運営に情報システムやインターネットは欠かせないものとなっている。そのため、情報セキュリティーに対するリスクマネジメントは重要な経営課題となっている。
  • ウイルス感染や社員の不正行為による情報漏洩、個人情報の流出、Webサイト(Webページ)の改ざんなどの防止、万一の場合の対応策などが重要になっている。
  • ネットワーク環境でのデータの流出対策としては、流出させない技術、データの暗号化、情報の流れを制御する、ユーザー権限の設定などが考えられる。

マルウェア

  • マルウェア(Malware)とは、不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコードの総称である。
  • 主なマルウェアには、他のプログラムに寄生して有害な作用を与えるウイルス、独立のファイルで有害な作用を与えるワーム、侵入先のコンピューターで秘密裏に攻撃を行うトロイの木馬、スパイウェアなどがある。
  • 現在では、コンピューターウイルスをマルウェアの総称として使用することもある。
  • 会員制サイトなどのメールを装い、ID・パスワード・個人情報などを不正に入手する手口をフィッシング詐欺と言う。
  • ランサムウエアとは、ウイルス等で感染したパソコンをロックしたり、ファイルを暗号化して使用不能にしたのち、元に戻すことと引き換えに「身代金」を要求する不正プログラムである。

PC向けセキュリティー対策ソフト

  • PC向けセキュリティー対策ソフトには、ウイルス対策(アンチウイルス)、ファイアウォール、個人情報保護、迷惑メール対策、有害サイト規制などの機能が含まれている。