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【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[印刷技術] 3-2 五大要素

印刷をするために必要な要素は、1)原稿、2)版、3)インキ、4)被印刷物、5)印刷機の5つである。

3-2-1 原稿

  • 印刷物として複製される元となる素材。かつては原稿用紙に書かれた文字や、写真の紙焼あるいはポジフィルム、手書きの図版やイラストなど目でみて触れることのできる形であったが、現在はデジタルデータとしてやり取りされることが多い。

3-2-2 版

  • 複製用の印刷原版。インキが着く画線部とインキが着かない非画線部を持つ。断面の形状によって凸版、平版、凹版、孔版などに分けられる。

3-2-3 被印刷物

  • 版とインキにより、原稿の画像を再現する紙などの材料。印刷媒体の大きな特長は、空気と水以外に何にでも刷れるというほど被印刷物の多様性にある。紙以外にプラスチック、ガラス、金属、布など印刷物は広く使われている。

3-2-4 インキ

  • 版の画像を被印刷物に転写するための材料。印刷インキは被印刷物や版式、印刷物の用途などによって適した性質のものが選ばれる。

3-2-5 印刷機

  • 版を取り付け被印刷物にインキを転写する機械。圧力のかけ方によって平圧、円圧、輪転の3種類がある。これらの従来型印刷機に対して、デジタルデータを直接出力する無版式のデジタル印刷機がある。

オフセット印刷機

  • 版と紙が直接、接触せずにいったんブランケット胴などを介してから転写する印刷方式をオフセット印刷方式という。現在は平版の版式が一般的になっている。平版は、版に少量の水を加えることで画線部は水をはじき非画線部に水がつく。版胴に巻きつけられた版にローラーでインキをつけると水をはじいた画線部だけにインキが着く。

グラビア印刷機

  • グラビア印刷の版は画線部を凹部で表す。凹部に深い浅いの差をつくり、インキの付着量の多少によって濃淡を表現する。グラビア印刷機の機構はインキ漕のなかに版胴が接していて、版胴が回転すると版全面にインキが着くので、ドクターと呼ばれるヘラで非画線部のインキを拭い取る。凹部に残った画線部のインキはそのまま残り、用紙に転移される。

フレキソ印刷機

  • 凸版印刷方式の一種。版に感光性樹脂やゴムなどの弾力性のある(フレキシブルな)素材を用いることからフレキソ印刷という。段ボールなどの表面の粗い素材への印刷に適している。

スクリーン印刷機

  • 孔版印刷の一種。版として網目状の布(メッシュ)を用いる。印刷する素材を選ばない、曲面への印刷が可能、インキが厚盛りできるなどの特長がある。

デジタル印刷機

  • コンピューター上で製作されたデータを、版を使わずに、直接インキやトナーにより印刷する。印刷方式は、電子(静電)写真方式やインクジェット方式が主流である。デジタルデータを使用した無版方式であるため、大量印刷から少量印刷、可変印刷にも対応することが出来る。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[印刷技術] 3-3 網点

  • 平版・凸版印刷などでは、画像の階調表現を網点面積率の大小で表現する。
  • 網点のような周期的パターンの画像を2つ以上重ねると、そこに別の規則的な模様(モアレ)が発生する。各色版を重ねて印刷した際にできるモアレのひとつに、網点が小さな環状あるいは花状につらなったロゼットモアレがある。
  • 各色版を重ねて印刷するときのスクリーン角度が不適切であると、モアレが目立ち絵柄の再現を損なう。モアレを目立たなくするために、各色版の角度をコントロールしている。
  • かつて網点の形成は光学的スクリーンを用いて行われていた。デジタル出力では、従来の網点形状を電子回路でシミュレートしている。網点形状によって画像の滑らかさやシャープさが変わる。

3-3-1 スクリーン線数

  • 網点は1インチに並ぶ網点の数によって、粗密を表現する。これをスクリーン線数という。
  • 平滑度の低い紙では、インキ皮膜厚をより厚くして印刷しなければならないので、網点が太りやすくなる。したがって、紙質に応じて適切なスクリーン線数を選ぶことが必要である。
  • アート・コート紙を使うカラー印刷では175線〜230線くらいが使われ、中・上質紙を使う書籍、雑誌や新聞では85線〜133線くらいが使われることが多い。
  • 250〜300線以上は高精細印刷とも呼ばれ、刷版製版から印刷にいたる品質管理は厳密なものとなる。
  • 巨大な看板などは、いったん網点出力したフィルムを拡大して意図的に粗い線数にして(目伸ばし)、インキを多く乗せて濃度を高く印刷することもある。

3-3-2 スクリーン角度

  • 各色版を印刷で刷り重ねる際にモアレが目立たないようにするために、刷版上で各色版のスクリーン角度を変える。
  • 網点は水平、垂直に並べるよりも45度に傾けた方が目立たなくなるので、単色印刷では45度のスクリーン角度を使う。
  • プロセス4色のうち、C、M、K版が干渉するとモアレの原因となり易い。そのため、45度にこの1つを置き、他の版をそれぞれ30度ずつ離して置く。そして、これらのいずれか2色の中間にモアレが発生しても目立ちにくいY版を置く。

3-3-3 AMスクリーン(Amplitude Modulated Screening)

  • アナログ製版の時代から現在に至るまで、最も一般的に使用されている。等間隔に配置された網点の大きさを変化させることで色の濃淡を表現するスクリーニング技術である。網点の再現性、印刷時のインキ転写精度に優れており、オフセット印刷における標準的なスクリーニング方式とされている。網点の形状はスクエアドットの他にラウンドドット、チェーンドットなどがある。

3-3-4 FMスクリーン(Frequency Modulated Screening)

  • FMスクリーンでは、網点(実際はドットというべき小さな点)の直径を一定にして、点と点の間隔を制御することで濃淡を表現する。一定面積内の点の数は、明るく表現する部分では少なくなり、暗く表現する部分では多くなる。
  • FMスクリーンの特長としては、1)従来のスクリーニングでは網点が規則的に並び、スクリーン角度に起因するモアレがあったが、それがないこと、2)点が非常に小さいので布地や木目などの表現に優れていること、3)スクリーン線数による制限がないので豊かな階調表現ができること、などである。
  • FMスクリーンでは、絵柄中の平網部分、中間的な明るさのフラットな部分やハイライト部で、画質が荒れた感じになりやすいが、さまざまな対処法がある。
  • 4色プロセスインキセットだけではなく6〜7色を使った印刷方式など、将来のカラー印刷への展望を開いた画期的な技術である。

3-3-5 高精細印刷

  • 標準的なオフセット印刷の場合、175線程度のAMスクリーニングを用いることが多い。それに対して、より精細な線数で刷版を製作し、印刷することを高精細印刷と呼ぶ。一般的には250〜300線以上のスクリーン線数を指すことが多い。250線を越えると、網点は肉眼で確認できないほど微細となり、階調もなめらかとなる。画像が鮮明で高彩度の表現が可能となるため、写真集や美術印刷などに用いられる。一方で印刷条件が厳密となるため、管理面の制約もある。

3-3-6 平網と網点の管理

  • 2色以上のインキを刷り重ねて、色を出すことを掛け合わせという。
  • かつては、ベタ印刷以外の一定の階調を表す部分を平網と呼び、図形や罫線に平網を設定することを「網フセする」「網ガケする」と言っていた。
  • 一般に、平網は10%単位で設定し、10%単位で印刷品質を管理することが多かった。色見本として、10%単位の網の組み合わせを印刷したものを参考にすることもあった。
  • プロセスインキを「M70%+Y100%」で掛け合わせると、オレンジになるが、オレンジ、黄緑、青紫のような色は、プロセスインキを掛け合わせるより特色を使った方が鮮やかである。
  • 「C50+M50+Y50」など等量のCMYの掛け合わせたグレーは赤みを帯びるため、Kに置き換えた方が安定する。
  • 特定のプロセスインキ用に分解したCMYKデータを別のインキセットで印刷すると、仕上がりが全く異なる可能性がある。つまりCMYKデータは、インキに依存するデバイスデペンドバリューである。
  • CMYKの値がどのような色として印刷されるか、インキ自体の分光反射率や紙、湿し水管理、刷り順、印刷機本体の調整、また温度・湿度等の印刷工場の環境といった複数の条件が積み重なって影響する。
  • CMYK値は「面積率」という絶対値であるため、印刷工場内の管理上は有効でも、色を表現する情報としては万能でない。インキや紙や印刷条件が標準化されたものとして、日本ではJapan Color、アメリカではG7(SWOPやGRACol)、ヨーロッパではPSOなどの指標がある。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[印刷技術] 3-4 プリプレス

プリプレス工程は、より短い時間で作業を遂行しなければならないので、新たなワークフローの設計や分業体制の改善や、そのコントロールが必要であることを理解する。

3-4-1 ワークフロー

  • デジタル化してシームレスなワークフローになると、文字、イラスト作成、画像処理、ページレイアウトなどの諸作業の分担に合わせて、責任範囲を決めておくのがよい。
  • 出版印刷の場合、編集者は出版物の設計に責任をもち、全体の進行・管理を行って、編集作業を通して印刷物を統一感のあるイメージに仕上げる。
  • 編集者は、文章量のバランス、文体、用字用語、表現が適切であるか、図版類や写真原稿が揃っているかなどのチェックをして必要な修正の指示をする。
  • 完成したページのデータを出力する前には、ページに貼り付ける画像データや線画データ等がすべて揃っているか、また、データの解像度やデータ形式が適切なものとして保存されているかをチェックしなければならない。

3-4-2 製版

カラー印刷における色分解から刷版焼付用の分版フィルムの大貼り、刷版製版までの工程をプロセス製版と呼んでいた。DTPによってこの工程は統合された。作業手順は変わっても、その機能・目的および原稿の再現のためにどのようなコントロールがなされているかは同じである。

デジタルプリプレス

  • DTPソフトウェアによりページ内における文字、図形、画像の配置や、どのように表示するかが指定される。
  • DTPソフトウェアが出力処理をする段階でPostScript様式、またはPDF様式のファイルを生成し、あるいはプリンタードライバーを経由して出力機に送る。
  • PostScriptファイル、またはPDFファイルは、文字オブジェクト・図形オブジェクト・ビットマップのオブジェクトを位置の脈絡なく混在させて記述できる。

PDFワークフロー

  • Adobe PDF Print EngineはPDFベースのRIPエンジンである。PostScriptでは対応していない「透明」などを含むPDFに対応している。
  • 面付けなどの作業をPDFデータで行うことにより、出力機器への負担が軽くなり、より高速な出力が可能になる。

ラスター出力

  • デジタル方式の画像システムでは、画像を構成する要素の中でいちばん細かいものをピクセル(pixel)と呼ぶ。RIPなど画像プロセッサーは、ピクセルの場所を処理空間のアドレスで管理し、画像に従って、どれをオンにして、どれをオフにするかを指定していく。
  • RIPは画像のピクセルを、x軸あるいはy軸に沿って取り出し、ラスターデータ化する。
  • レーザープリンターのようにラスターデータを受け取って、光の点の点滅するビームにして出力(露光)するものをラスター出力装置という。

3-4-3 刷版

CTP

  • RIP処理したデータから直接オフセット印刷用の刷版を出力することをCTP(コンピューター・トゥ・プレート)という。
  • CTPは、中間工程がなくなり、デジタル化されたことにより画質の劣化が起こらず、高品質が得られる。刷版製版で行っていた焼き度調整や印刷機に合わせた調整は、前工程と連係しデータに対して処理しなければならない。
  • 現像処理を行わず印刷機の機上もしくは前処理で行う環境に考慮した現像レスのタイプのCTP版が普及しつつある。

水なし平版

  • 湿し水を必要としない水なし平版は、インキ反発層としてシリコン層を刷版の最上部に作り、画線部はその下に感光性樹脂層として作られている。フィルムの焼付け後の現像処理により画線部のシリコン層が剥離し、その下の樹脂層が露出する。インキを受理する画線部は凹状になっているので、ドットゲインが少ない。
  • 水を使用しないので版上に砂目が不要で、PS版に比較すると網点再現性がよく、水によるインキ乳化がないので光沢のあるボリューム感のある印刷物が得られる。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[印刷技術] 3-5 プレス

3-5-1 有版印刷

  • 印刷には4つの版式があるが、今日の商業印刷や出版印刷では、オフセット(平版)印刷が主流になっている。出版の一部および軟包装印刷ではグラビア(凹版)が使われる。凸版印刷の一種であるフレキソ印刷は、包装材料の印刷に使われる。
  • 扱う用紙が長巻の印刷機を輪転方式、カット紙のものを枚葉方式という。
  • 平版は解像性・価格・生産性において、他の版式に比べて優れている点が多く、印刷版式の中で最も多く使われている。

平版

  • 水と油の反発作用を利用し平面の版を用いて印刷する。版の画線部は親油性でインキが着き、非画線部は親水性で水の皮膜で覆われることによりインキが弾かれる。
  • 水の代わりに、シリコンを用いてインキを反発させる版を使った水なし平版もある。

凸版

  • 版の凸部が画線部で、そこにインキをつける。もっとも古くから利用された版式で、活字、活版印刷のほか、シール、ラベル、段ボール、ビジネスフォームなどの分野で用いられている。

凹版

  • 版の凹部が画線部で、版面全体にインキを付けた後、版の表面をぬぐい凹部に残ったインキが転写される。
  • 凹部にあたるセルの深さによって階調を表現しているコンベンショナルグラビアに対して、最近ではセルの大きさによって階調を表現する網グラビアが主流になりつつある。

孔版

  • 画線部が孔状になっており、その孔をインキが通過して被印刷物に転写される。

3-5-2 品質管理

品質管理では、印刷物製作における入力から出力までの工程をトータルに考えなければならない。

オフセット印刷と品質

  • オフセット印刷で適切なカラーバランスが得られるのは、印刷紙面上でインキ膜厚が1ミクロン前後で刷られている時である。
  • インキ膜厚が大きくなると裏つきなどのトラブルの原因となる。反対に膜厚が小さいと印刷物の色調にボリューム感が不足し、ベタのつぶれが悪くなる。
  • インキ膜厚は濃度と一定の関係がある。膜厚が増すにつれてカラー濃度も高くなる。印刷工場の実作業ではカラー濃度を測定してインキ膜厚の適正量を管理する。
  • 実際の印刷インキはCMYの色相が理想値とは少しずれているのでCMYの等量混合ではニュートラルグレーとはならず、少し赤みのグレーとなる。そのため50%付近の平網でCに対してMとYを10%程度少なくしたカーブで色分解をしておく。
  • カラー印刷物のシャドウ部は墨インキだけではつぶれが悪いので、墨ベタの下には色版の平網を入れることが行われる。通常はC60%程度の墨下を入れるが、黒の色味の調整のために必要に応じてMYを入れることもある。これをリッチブラックと呼ぶ。

印刷標準とJapan Color

  • ISOはオフセット印刷の標準として12647-2を規定している。ここでは印刷条件、用紙の種類、CMYKベタ部の基準、許容誤差、ドットゲイン量などが規定されている。
  • 各国では、12647-2に準じた上で、さらにその国の事情に応じた標準を作成している。米国ではG7(以前のSWOP/オフ輪、GRACoL/枚葉を統合)、ヨーロッパではPSO(Process Standard Offset)、日本ではJapan Colorがある。
  • これらの標準に基づく認証制度が実施されている。米国ではIDEAlliance、ヨーロッパではFOGRA、日本ではJPMA(日本印刷産業機械工業会)が実施している。
  • Japan Colorは、ISO/TC130国内委員会が中心になり、日本印刷学会の協力のもとに作られた印刷の標準である。1993年に設定されてから何度か改訂され、最新版は「ISO準拠 ジャパンカラー枚葉印刷用2011(略称:Japan Color 2011)」である。
  • Japan Color認証制度には、安定した品質の印刷物を作成できる工程管理能力について認証する標準印刷認証の他、デジタル印刷機で安定的に高品質の印刷物を作成する能力について認証するデジタル印刷認証などがある。

品質確認

  • DTPからCTP出力する際には、製版印刷の品質管理のために日付・担当・JOB名・刷り色・改版情報(バージョン名など)やカラーパッチ(カラーバー)、テストチャートなど必要な情報をトンボの外側に入れる。
  • 本機校正の品質管理にはカラーパッチを濃度計や色彩計などで計測する。
  • 品質管理上のカラーパッチの役割は、一般にインキの濃度をベタパッチで測り、ドットゲインが正常かどうかを平網でチェックし、CMYの色の偏りをグレーでチェックする。
  • 各版単独の色校正を分色刷りと言う。特に特色や補色が間違いなく印刷されているかどうかを確認できる。

検版

  • 検版目的は、企画デザイン制作時の修正箇所や修正ミスの確認、クライアントやデザイナーからのゲラ(プリント出力)と入稿データの比較、製版の面付け違いの確認、出力時の初版または一つ前の版との比較確認、印刷のためのプレートの出力状態または版面設計の確認などである。
  • プレート出力やデジタル印刷の前に、デジタルデータ同士を比較するデジタル検版システムがある。同システムでは、同一RIPによるRIP済みデータを使用して修正前後のデータを比較し、修正ミスや相違を識別する。
  • 検版結果は例えば初校と再校の差分は、ディスプレイで表示し確認するかプリンター出力して確認するのが一般的である。

3-5-3  プライマリー処理

  • プラスチックフィルムへの印刷やラミネート加工時の接着性を改善するプライマリー(下地)処理に注目が集まっている。
  • コロナ処理とは、コロナ放電のエネルギーで基材表面の分子構造を破壊することにより、接着性の改善を図る技術である。フィルムやラベルシールなどの軟包装材を扱う分野や、グラビア印刷やオフセット印刷、スクリーン印刷などでも広く利用される。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[印刷技術]3-6 ポストプレス

3-6-1 製本

製本様式には、中綴じ・平綴じ・無線綴じ・あじろ綴じ・糸かがり綴じなどがある。綴じ方が変われば、企画・デザイン・レイアウトの段階で配慮が必要になる。各製本様式で版面や面付けに関してどのような調整が必要であるかを知っておく。

  • 用紙は、書籍が仕上がった状態で紙の目がヨコ目であると、ページがめくりにくくなるので避けねばならない。
  • 用紙サイズを決めるときには、印刷上必要なくわえ代や、製本の裁ち代、無線綴じの場合のミーリング部分などを考慮する必要がある。
  • 綴じが終わった印刷物の天、地、小口を裁断することを三方仕上げ裁ちという。

並製本

  • 雑誌や簡易な冊子は、一般に表紙の用紙が薄く、表紙と本文のサイズは同一であり、このような製本方式を並製本という。
  • 並製本の綴じ方には週刊誌のような針金中綴じや平綴じ、あるいは接着剤を使って表紙をくるむ無線綴じがある。いずれも製本後に仕上げ裁ちをする。一般に雑誌では表紙を1ページ目(あるいは表1)とすることが多い。

上製本

  • 上製本では、表紙は本文よりもひと回り大きく、三方裁ちの背固めのあとで表紙をつける。表紙をページ数には入れない。
  • 上製本では書籍の用途や耐久性に合わせて、多様な背や表紙の方式がある。本文の綴じられる部分と表紙の背が一体になっているものと、表紙の背と本文の綴じの部分に空隙を作って開きやすくしたホロー・バックがある。

面付けと折丁

文字組方向によって綴じ方式が右開き・左開きであるか、また平綴じ・中綴じであるか、また印刷サイズによって面付けや製版寸法が異なる。縦組、横組の典型例を覚えておく。

  • 折ったときに正しいページ順になるよう、印刷版のサイズに合わせて各ページを配置することを面付けという。
  • 面付けの際の数・順序・位置は、本の綴じ方、折り方など製本仕様によって決まる。
  • 台割は、片面8ページ、両面(裏表)で16ページを1台としている場合が多い。
  • 面付けで縦組の場合、本は右綴じ・右開きになり、折丁の袋が地になるように折る。横組の場合、本は左綴じ・左開きで折丁の袋が天になるように折る。
  • 面付けを行うときは、背丁・背標を入れる。背丁には書籍名・折数などが入る。背標は折丁の順番を示す標識で、1折から順に縦長の四角ベタを上から下へずらして入れていく。
  • 背丁・背標は、あじろ綴じや無線綴じでは、背に入れる。中綴じはノドまで開くので背丁・背標を背に入れることができないため、天袋や地袋に入れる。
  • 面付け計算は、仕上り寸法に裁ち落とし分(3mm)を加えた製版寸法で、見開き2ページ単位で行う。
  • A列本判(625×880mm)にA5判(天地210×左右148mm)の面付けをする場合は、天地の製版寸法は216mmで、左右の寸法は302mmとなる。その結果、左右の面付け寸法の合計は604mmとなる。
  • 印刷方向にはくわえ先・くわえ尻を加え、印刷の左右方向には針先・針尻を加えて用紙を決める。

3-6-2 折り

  • 商業印刷物で仕上げに折りの入るものは一般にはリーフレットと呼ばれる。
  • 二つ折り、巻き三つ折り、外三つ折り、経本折り、観音折りなどがある。
  • 巻き三つ折りは折った内側の短辺の寸法を2〜3mm小さくする必要がある。
  • 外三つ折りの場合は正確に1/3ずつになるように入れる。
  • 観音折りは左右対称に内側へ折り、内側の寸法は外側より2mm程度小さくする。見開きのページに絵柄がまたがる場合は裁ち代部分の絵柄は重複させる。

3-6-3 表面加工

  • 雑誌の表紙や商品パッケージなどは、印刷終了後に印刷物の保護、艶、堅牢性という機能面や、デザインの差別化のために表面加工をする場合がある。その方法を大きく分類すると、1)ニス等を塗布する光沢コート、2)ニス等を塗布し熱と圧を加えるプレスコート、3)フィルム類を熱圧着するラミネートの3つに分けられる。
  • 光沢コート加工は、水性ニスや溶剤系のニスを塗布し熱風で乾燥する方法や、UVニスを塗布し紫外線照射で硬化させる方法がある。オフセット印刷機にニスコーターを取り付け、4色印刷と同時にニスを塗布するインライン方式やニス引き機やグラビア印刷機を使用した方式がある。またニスを印刷面全面に引く方法と、部分的に行うスポットコーティングがある。
  • プレスコート加工は、熱硬化性のニスを塗布した後に鏡面板に熱プレスをする。表面を鏡面光沢の仕上げにできる。
  • ラミネート加工は、通常PP貼りと呼ばれる。印刷物の表面に接着剤を塗布した薄い樹脂フィルムを加熱圧着する方法で、光沢やマットにすることができ保護性にも優れている。ただし、インキ層からの光の反射率が変化することによる色調再現の変化に注意を要する。
  • 箔押しは、文字や模様の凹凸対の型を作り、表側に当たる型に金箔、銀箔、色箔、アルミ箔などを貼り付けて熱と圧を加え、書籍の表紙など比較的厚い紙に凹凸をつけるものである。ホットスタンピングとも呼ばれ、隠ぺい性も高く下地の色に影響されない。箔押し用の版は金属でできた凸版であり、箔押し加工される部分が作られる。
  • エンボス加工は、凹凸模様を彫刻したプレートまたはロールで印刷物に凹凸の模様を生じさせるもので、箔押し機を用いて作業する。

3-6-4 製函

  • 紙器は、印刷後には紙器の展開図の形に打ち抜き、くせ折り、接着剤付けによる貼り合わせ、折りたたみなどの加工によって組み立てる。
  • 用紙を無駄にしない密集した面付けが必要であるが、後加工工程での作業内容によって、紙の目や余白などの制約があるので、紙器のデザインの段階でも、このような印刷の後工程の仕様を念頭に置いて設計しなければならない。
  • 貼り合わせたときに印刷濃度差が目立つ場合は、面付け方法やデザインそのものを再考しなければならない。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[印刷技術]3-7 情報管理

3-7-1 情報交換

  • デジタル化されたプリプレスデータを印刷、後加工の機器制御に活用するために生まれたのが、CIP3という国際標準団体である。
  • CIP3が定めたデータ交換のための標準をPPF(Print Production Format)という。CIP3のPPFファイルは印刷機のインキキーのプリセット用途で大きな効果を発揮した。
  • CIP3は、2000年にCIP4(The International Cooperation for Integration of Processes in Prepress,Press and Postpress)へと改組した。CIP4が定めた標準がJDF(Job Definitions Format)であり、ワークフロー統合に活用されている。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[印刷技術]3-8 特殊印刷

出版印刷や商業印刷など紙を対象にした印刷を一般印刷という。それに対して、プラスチック、金属、ガラス、布などへの印刷は特殊印刷と呼ばれる。また、紙への印刷であっても特殊な機能や効果を持ったインキを用いたり、特殊な印刷方法、加工方法によるものも特殊印刷と呼ばれる。後者は販売促進用のノベルティや商業印刷分野の宣伝広告媒体に用いることで、より消費者の関心を集め、印刷物の効果を上げることができる。
ここでは、コミュニケーション効果を高めるための特殊印刷を中心に取り上げる。

3-8-1 スクラッチ印刷

  • スクラッチ印刷は、印刷面の上に銀色などの特殊インキを印刷するもの。コインや爪などで擦り取ると隠された部分が現れる。
  • セロハンテープオフ印刷はスクラッチ印刷同様、銀インキの隠ぺい性を活かした特殊印刷である。セロハンテープなどの粘着性を利用して表面のインキを剥がし、隠された部分の絵柄を見る。

3-8-2 蓄光・発光・蛍光印刷

  • 蓄光印刷は、光のエネルギーを蓄える性質を持つ顔料を練り込んだインキで印刷するもの。明るいときに吸収・蓄積した光のエネルギーを暗がりになったときに少しずつ光を出し続ける。なお、蓄光性を持つ物質が暗所で発光する際の光を「燐光」という。この発光の明るさを燐光輝度(単位: cd/m2)で示す。
  • 発光とは、光を発すること。 熱放射(黒体放射) (恒星、炎、白熱灯などの光)、ルミネセンス(冷光)、 荷電粒子線の制動放射による発光、 チェレンコフ光などがある。化学反応によって励起状態をつくり、それが基底状態に遷移するときに発光する。これを化学発光と呼ぶ。
  • 生物発光とは、生物が光を生成し放射する現象である。化学的エネルギーを光エネルギーに変換する化学反応の結果として発生する。
  • 蛍光(英: fluorescence)とは、発光現象の分類。最も広義には、ルミネセンスによる光(発光)全般を指す場合もあるが、一般的には、ルミネセンスのうち、電子の励起源が可視光より短波長の電磁波による発光を指す(フォトルミネセンス)。紛らわしいが、蛍(ホタル)の発光は化学反応(ケミルミネセンス)であり、蛍光(フォトルミネセンス)とはメカニズムが異なる。
  • 実際の発光・蛍光印刷の例は、多色のHexachromeやステレオ印刷で、彩度を上げるために蛍光剤を混ぜたオレンジやレッドインキが使用されているのが一般的である。同じく特色に蛍光剤を混ぜたインキも一般的である。
  • ブラックライトで発光するRGBインキを使用したRGB発光インキによる印刷物もある。例えばブライダル写真で白いウエディングドレスの写真にブラックライトを当てると、赤いドレスに変化したりする効果を演出することが出来る。
  • カラーマネジメント技術が発達したおかげで比較的簡単にRGB印刷も可能になったといえる。しかし黒に見えるところは何もインキの載っていない部分で紙の白地が黒に見えるようになっているので、紙の上の加算混合ということが出来る。

3-8-3 凹凸

  • 特殊なスクリーン印刷をすることで、一見腐蝕されているかのように見せる擬似エッチングや熱によって膨らむパウダーを印刷面に付着させ立体効果を出す隆起印刷(バーコ)、表面にちぢみ模様の凹凸を発生させるちぢみ印刷などがある。

3-8-4 立体

  • 立体印刷は平面上で絵柄が浮かび上がって見えたり奥行き感を出す等、視覚的に立体感を得られる印刷であり、ホログラムやステレオグラム、2枚写真法、レンチキュラープリント等さまざまな手法がある。
  • 3Dホログラムとは、平面画像と立体画像をまぜ、角度を変えると虹色に変化するレインボータイプのホログラムで、平面上の画像と立体感を感じさせるバックの画像を組み合わせたものである。転写箔とステッカーの2種類のタイプがある。偽造防止用としてクレジットカードやコンサートなどの入場券に使われているほか、ポスターやカレンダーのデザインの一部としても使われている。
  • レンチキュラープリントとは、微細なカマボコ形のプラスチックレンズを絵柄に貼り合わせて、立体像を見る方法である。断面がカマボコ形になっているレンズのことをレンチキュールと呼び、それが均等なピッチで複数並んだものをレンチキュラーレンズという。レンズの厚みや1インチあたりのカマボコ形の本数などは何種類もあり用途ごとに厚みやレンズの線数も使い分けられている。CDやDVDのジャケット・マウスパッド・ステッカー・トレーディングカード等に使われている。
  • 2色立体印刷は、絵柄を赤、青(藍)の2色で印刷し、赤と青のフィルターのメガネを通して見ると絵柄が立体に見える。絵本、地図などの用途がある。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[印刷技術] 3-9 デジタル印刷

  • デジタル印刷は無版の印刷方式である。版を使わずにコンピューター上で製作されたデータ(デジタルイメージ)を、電子写真方式やインクジェット方式により、紙やフィルムなどの原反に印刷する。色材はインクやトナーである。
  • 無版であることから、印刷版をつくる手間や材料、コストを省くことができる。また、大量複製だけでなく、少量印刷、可変(バリアブル)印刷にも対応することができる。
  • ページ単位で印刷内容を変更することが出来るため、書籍などのページ物では電子(自動)丁合が可能である。
  • デジタル印刷が実用化された当初、小ロット印刷サービスに有効であることから、POD(Print On Demand、プリントオンデマンド)、オンデマンド印刷とも呼ばれていた。
  • 近年ではデジタル印刷の機能が分化・専門化し、ビジネスフォームや軟包装、シール・ラベルなど、利用目的に応じた専用機種も開発され、普及しつつある。
  • 新たなトナーやインキなどの開発が進み、多色印刷や金・銀・クリアインキ(トナー)、広色域印刷を実現している機種も存在する。
  • 用紙ごとのプロファイル搭載や定期的なキャリブレーションを行うことにより、カラーマネジメントの精度が向上する。

3-9-1 バリアブル印刷

  • バリアブル(可変)印刷とは、無版という特徴を活かし、ページ単位で印刷内容を変更することである。共通のレイアウトに対し宛名や画像などを部分的に差し替える方法と、ページ全体を差し替える方法がある。特定の印刷方式やデータ処理方式を指しているのではなく、総称である。

3-9-2 パーソナライズ印刷

  • 特定の個人向けに編集した内容を印刷することをパーソナライズ印刷と呼ぶことがある。代表的なものとして、顧客情報に応じて内容を変えるDMやIDカード等がある。

3-9-3 バージョニング印刷

  • バージョニング印刷とは、地域や時期、配布対象などセグメントごとに異なる内容、デザインで印刷することである。

3-9-4 ハイブリッド印刷(追い刷り方式)

  • 大量印刷に適しているオフセット印刷とバリアブル印刷が可能なデジタル印刷を組み合わせることをハイブリッド印刷(追い刷り方式)と呼ぶことがある。例えば、DM、クーポン券や入場チケットのID番号・バーコード・二次元コードなどが代表的である。背景の固定イメージはオフセット印刷(プレプリント)した上で、デジタル印刷機を使用して、可変データを追い刷りする方式である。

3-9-5 データプリント分野における一括印刷

  • 以前、ビジネスフォームや請求明細書などのデータプリント分野では、あらかじめオフセット印刷されたプレプリントに、データ部分のみを追い刷りする方法が多用されていた。近年では、プレプリントの在庫管理の手間やコストが小さくないこと、デジタル印刷機のスピードやカラー品質が向上したことから、白紙への一括印刷が主流となりつつある。

3-9-6 インクジェット方式

  • インクジェット方式のプリンターの構成は、インクジェットヘッドとインクおよびインク容器(インクカートリッジ)という3つの要素からなる。そして、インクジェットヘッドを左右の主走査方向に動かす機構と、紙を縦の副走査方向に送る機構が主となるシンプルなものである。内蔵されたインクをノズルから紙に吹き付けることで印刷を行う。
  • インクジェットプリンターのプリントヘッド方式を大きく分けると、サーマル(バブル)方式とピエゾ方式、コンティニュアス方式がある。
  • サーマル方式とは、インクをヒーターによって加熱することでインク容器内に気泡を作り、その膨張によってノズルから噴出する方式である。ヘッドの構造が比較的シンプルで、ヘッドの集積率を高めることや高解像度を実現できるという特長がある。
  • ピエゾ方式は電圧を変化させてピエゾ素子を膨張させ、ノズルから微小なインク滴を噴出する方式である。ドット毎にピエゾ素子を用意するため、ヘッド構造が複雑となり、解像度もあまり高くできないが、電圧でピエゾ素子を制御することで比較的容易にインク噴出量を制御することができる。
  • コンティニュアスとは、ノズルから連続的に吐出したインク滴を帯電させ、偏向電極で曲げて印字面に吹き付ける方式である。偏向されなかったインクは回収口を経てタンクへ戻り、再利用される。印字をしないときもインクは連続的に吐出されているためコンティニュアス方式と言われる。構造が大がかりで小型化が難しく、産業用インクジェットプリンターとして利用されている。

3-9-7 インクジェット方式のインク

  • 染料インクは、発色がよく色の階調を再現しやすいという特長があるが、耐水性・耐侯性はあまりよくない。
  • 顔料インクは、光沢は出しにくいが、にじみの少ない印刷が可能である。染料と比較すると耐水性・耐侯性に優れているが、溶液としての安定性は低く、耐摩耗性も高くない。
  • 紙以外の媒体への印字には、主に油性インクが用いられている。さらには、これらのインクを加熱して溶融状態で塗布するソリッド(固形)インク、付着したインクに電磁波を照射してインクを固まらせるUV硬化インクなどがある。
  • 屋外広告など耐候性が求められる大判プリンター分野では、有機溶剤系のソルベントインクが用いられる場合もある。ラテックスインクは、水性顔料に水溶性ポリマーを溶解、硬化させる方式である。対候性が高く、非コート塩ビやターポリンのようにインクが染み込まないメディアにも印刷することができる。

3-9-8 電子写真方式とトナー

  • 電子写真方式とは、帯電した感光体(ドラム)の表面に印刷イメージを露光し、イメージの部分にトナーを付着させる。これを紙に転写し、熱を加えて溶融定着する印刷方式である。このプロセスをCMYK、4回繰り返すことでフルカラー画像が得られる。
  • トナー(toner)とは、電子写真方式のプリンターなどで使用されるプラスチック粒子に顔料等の色粒子を付着させたミクロサイズの粒から成る粉である。
  • 静電気を利用して紙にトナーを転写し、熱によって定着させることで印刷する。通常は、カートリッジと呼ばれる専用の容器に入れられ、それをプリンターに挿入して使用される。
  • 紛体トナーの製法には粉砕方式と重合方式がある。
  • 粉砕トナーは、プラスチック樹脂を繰り返し粉砕することでパウダー化したものであり、粒子の大きさや形状にバラツキがある。
  • 重合トナーは、プラスチックの元となる樹脂粒子と着色剤粒子などを化学反応で結合させて粒子を作る。一定の大きさ、形状の粒子を作成することができ、流動性・帯電の均一性に優れるといった特性がある。
  • 電子写真方式のデジタル印刷機の中には、液体トナーを使用するタイプもある。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム] 4-1 コンピューター

コンピューターは、「入力」「出力」「演算・制御」「記憶」といった機能を持つ装置として構成される。その種類や特長、用途などを理解する。

4-1-1 データ表現

  • コンピューターは、「0」と「1」による2進数でデータの処理を行う。2進数による表記は、人による識別が困難なため、2進化10進法(BCD:Binary Coded Decimal)や16進法(Hexadecimal)でデータを表す。
  • データの最小単位は「bit(ビット)」であり、1Byte(バイト)=8bitである。「Byte」は2の8乗(8bit)であり、10進数で表す場合は256までの数字を表現できる。
  • 画像データのカラー表現(階調表現)では、8bitや16bitといった単位が用いられる。8bitは256階調、16bitは65,536階調の表現が可能である。
  • 文字表現では、0〜255までの数値を文字に割り当て処理を行う。漢字を表現する場合は、2バイト(2の16乗=16bit)必要である。
  • コンピューターで扱う情報量は膨大なものとなり、その単位も大きな桁数を表すものが使われている。1KB(キロバイト)は1,024Byte(2の10乗)、1MB(メガバイト)は1,024KB(2の20乗=1,048,576Byte)、1GB(ギガバイト)は1,024MB(2の30乗=1,073,741,824Byte)、1TB(テラバイト)は1,024GB(2の40乗=1,099,511,627,776Byte)である。
  • 伝送速度とは、一定時間内に転送が可能なデータ量を表す。1秒間に転送できるデータ量を表す際には、「bps」の単位が使用される。
  • bps(bit per second)は、通信の際に使用される単位である。1秒間に何bitのデータ転送が可能であるかを示す。実効速度(スループット)は、実質的なデータ転送量や処理量を表し、一般に実効速度は伝送速度よりも遅くなる。

4-1-2 構成

  • コンピューターには、I/O(Input/Output=アイオー)と演算、記憶などの機能がある。I/Oは、入力機能と出力機能を指し、通信機能もI/Oのひとつとされる。

4-1-3 機能

  • 入力機能とは、外部からコンピューターにデータを送信することである。文字信号を送信する「キーボード」、入力位置の指示を送信する「マウス」、画像情報を送信する「イメージスキャナー」や「デジタルカメラ」などがある。
  • 出力機能とは、コンピューターから外部にデータを送信することである。文字や図形、映像などを表示する装置として「ディスプレイ」があり「モニター」とも呼ばれる。また、「プリンター」や「プロッター」は紙へ、「イメージセッター」はフィルムへ、「CTP」は刷版にデータを出力する装置となる。
  • 演算機能では、コンピューターが命令を解読し、CPU(中央処理装置)で演算処理を実行する。広義のCPU(中央処理装置)は、命令を実行するために使用する主記憶も含めた装置を指す。
  • 記憶機能とは、コンピューターで処理するデータやプログラムを格納する機能のことである。CPUから直接アクセスできる主記憶は、半導体メモリーにより構成される記憶装置である。補助記憶装置(ストレージ)とは、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリーなどを指し、外部記憶装置とも呼ばれる。

4-1-4 インタフェース

  • インタフェースとは、コンピューターと周辺装置を接続するために必要な、回路や装置を指す。パラレルインタフェースとシリアルインタフェースがあり、それぞれの方式の原理や種類、特長、用途などを理解する必要がある。

4-1-5 入力装置

  • 入力装置とは、人がコンピューターに直接的に接触するマン・マシン・インタフェースである。人にとって「理解しやすい」「覚えやすい」「疲労しにくい」「効率的である」などといった要素が求められる。
  • キーボードのキー配列は、「JIS配列」や「親指シフト配列」「50音順配列」などといった複数の規格がある。
  • ポインティングデバイスは、人為的にコンピューターに対する座標位置の指示を行う装置を指す。代表的なデバイスとして、「マウス」「トラックボール」「デジタイザー」「タブレット」「タッチパネル」などが挙げられる。
  • デジタルカメラは、コンパクトカメラから一眼レフカメラまでさまざまなものがあり、レンズや絞り機構を指す光学系と、受光素子とメモリーを含む画像演算回路や記録装置などといった電子系により構成されている。
  • イメージスキャナーは、通信や記録のために画像や文書などを電子化し静止画像情報化する装置である。画像情報をOCR(Optical Character Recognition)を利用し、文字データ化する際にも使用される。

4-1-6 出力装置

  • プリンターには、「インクジェット方式」や「電子写真方式」、「熱溶融転写方式」、「昇華熱転写方式」などがある。
  • 「インクジェット方式」は、微細な粒子にしたインクをポンプや電気的な力により紙に噴射し付着させる印刷方式である。出力する画像の濃淡を制御することが可能なプリンターもある。大きなサイズにも対応可能であり、色材の選択範囲が広い。
  • 「電子写真方式」は、一様に帯電させた感光層に光を当てることで潜像を形成し、感光層にトナーを付着させて現像し、紙などに転写する方式である。感光ドラムへの潜像を形成するために、レーザーやLEDを使用する。
  • 「熱溶融転写方式」は、微小な発熱体素子が配列されたプリンターヘッドをインクリボンと紙に押し当て、ヘッドの特定素子を電気により加熱し、インクを溶かして紙に転写する方式であり、解像度は300〜600dpi前後である。
  • 「昇華熱転写方式」とは、昇華性染料を塗布したインクシートを熱し、昇華した染料を専用用紙に付着させて印刷するものを指す。ヘッドを加熱する加減により、転移する染料の量が変化するため、連続階調表現が可能である。
  • 液晶ディスプレイLCD(Liquid Crystal Display)は、液晶を利用した表示装置であり、画質の安定性とちらつきのなさを特長とする。RGBの3原色のフィルターを各画素上に正確に配置することで、100〜300dpiのディスプレイが実現できる。液晶自体は発光せず、ディスプレイの背後からバックライトを投射し画面を明るくする。
  • 液晶の配列や駆動方式により、TN(Twisted Nematic)方式やSTN(Super Twisted Nematic)方式がある。視野角が狭いため、角度によりコントラストや色が変化してしまうことが弱点とされていたが、広視野角・高画質技術のVA(Vertical Alignment)方式やPS(In-Plane Switching)方式の採用により改善された。

【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[情報システム] 4-2 ソフトウェア

4-2-1 OS(Operating System)

  • OSは、コンピューターにより処理を行う上で、共通して必要となる入出力機器の制御やファイルの管理などの機能を果たすものであり、基本ソフトウェアとも呼ばれる。複数のアプリケーションを同時に実行するための管理や、複数ユーザー管理などの機能をもつものもある。OSの種類により、データを扱う方法が異なり、効率的にファイルへの記録をするためフォーマットが異なる。
  • 「UNIX」は、1960年代にAT&Tのベル研究所がミニコン用に開発したマルチユーザーやマルチタスク機能をもつOSであり、PCから大型コンピューターまで幅広く使用されている。
  • 記録媒体やサーバー上にあるデータの読み込みが可能である場合において、OSやアプリケーションが同等に解釈できる必要がある。
  • Windowsのデータは、その種類が拡張子により設定されており、「.TXT」はテキスト、「.TIF」はTIFF画像などとなっている。
  • WindowsのデータをMacで使用するには、拡張子によるアプリケーションとの関連をリンクできるが、MacのファイルをWindowsで使用する際には、適切な拡張子を付与する必要がある。
  • テキストデータの行末処理では、行頭への復帰(CR:Carriage Return)と次行送り(LF:Line Feed)といった2種の制御コードが存在する。テキストエディターやワープロソフトによって対応が異なるので、データ交換する際には注意が必要である。

4-2-2 アプリケーション

  • アプリケーションには、「ワードプロセッサー」や「スプレッドシート」、「データベース」、「ドロー」、「フォトレタッチ」、「3D」などがある。