国内初、新聞印刷向け完全無処理サーマルCTPプレート 『SUPERIA ZN』発売

掲載日:2015年7月21日

富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社(社長:真茅 久則、以下 FFGS)は、国内初となる新聞印刷向け完全無処理サーマルCTPプレート『SUPERIA ZN』を、「JANPS2015新聞製作技術展」初日の7月22日から発売いたします。本製品は、富士フイルムが新聞用サーマルネガプレートの開発で長年培ってきた独自技術をベースに、商業印刷向け完全無処理サーマルCTPプレートで実績のある「界面制御技術」などを活かして開発したもので、オフセット分野向け省資源ソリューションのグローバルブランド『FUJIFILM SUPERIA』の新ラインアップとして、新聞製作における環境負荷低減、生産効率向上に大きく貢献します。

■新聞印刷向けの“究極の省資源ソリューション”

富士フイルムでは、新聞用サーマルネガプレートとして、2003年に「プレヒートレス」の『HN-N』を発売、2007年に「プレ水洗レス」「合紙レス」を実現、2009年には高感度化を果たした『HN-NV』をリリースし、つねに最新の技術を採り入れながら新聞印刷の高度なニーズにこたえてきました。一方、商業印刷分野では、ワールドワイドで3000社の実績をもつ『XZ-R』をさらに改良した、第4世代の完全無処理プレートとなる『SUPERIA ZP』を本年5月にリリースし、市場から高い評価を得ています。

今回発売する『SUPERIA ZN』は、富士フイルムがこれらのソリューションで培ってきた知見や評価技術を活かし、新聞印刷向けに開発した完全無処理プレートで、新たな独自技術の投入により、耐刷性や安定性など、新聞印刷に求められるさまざまな性能を高い次元で実現しています。

■有処理CTP『HN-NV』と同等の性能を実現

『SUPERIA ZN』は、露光完了後、そのまま印刷機にかけられるため、処理に関わる機器や薬品、電気などがすべて不要。SUPERIAが目指す「5つの省資源」(省材料、省工数、省エネルギー、省排出、省ウォーター)を同時に実現します。

また、自動現像機が不要になることで、CTP現場では、現像液・ガム液の液管理、自動現像機のタンク・ローラー・側板の洗浄、予備の薬品・ローラーの在庫管理から解放され、作業時間の大幅な短縮が図れます。環境負荷削減効果も大きく、現像液・ガムの廃液や、自動現像機の洗浄水がなくなることで、大幅な廃液・廃水量ダウンが実現します。 加えて、自動現像機のないシンプルな工程は、大幅な省スペース化、作業現場の有効活用を可能にします。

さらに、『SUPERIA ZN』には、品質や生産性、作業性などに関わる次のような特長を備えています。

(1) 有処理サーマルプレートと同等の「10万インプレッション」というロングラン性能を実現。

(2) 新開発の超高速ラジカル重合技術によって低い露光エネルギー量でも画像形成が可能になり、生産性向上に寄与。

(3) 従来の有処理サーマルプレートと同等の「汚れにくさ」を発揮。「エッジ汚れ」も抑制。

(4) 印刷資材に左右されず、つねにスピーディーかつ安定した刷り出しが可能。

(5) 有処理サーマルプレートと同様の、優れた取り扱い性。

(6) 新聞用高精細・FMスクリーン対応、細線再現1pixel(1200dpi)の高解像度で、新聞読者の高品質要求に対応。

(7) CTPセッターも輪転機も、有処理サーマルプレートと同じ設備を使用でき、既設機と高い適合性を発揮。アブレーションの発生もないため、セッターの吸引装置は不要。

[図]

■優れた品質・生産性・刷りやすさを支える3つの新技術

これらの性能を実現するために、『SUPERIA ZN』には、新たに開発した以下の技術が投入されています。


HDN技術 (超高次元ネットワーキング技術)
― Hyper Dimension Networking Technology ―

版材への照射光エネルギーをできるだけ効率よく重合反応に結び付けるために、感光層に使われている材料を一から見直し、あらためて、画像形成に必要な成分だけを最適化。その結果、重合反応の超高速化に成功。従来の完全無処理プレートに比べ反応効率が約3倍に高まり、さらなる耐刷性アップを実現しています。

[図]

MGZ技術 (マルチグレインZ技術)
― Multi Grain Z Technology ―

重合反応の超高速化に合わせて、有処理CTP『HN-NV』で定評あるマルチグレイン砂目「MGV」を、無処理プレート用に最適化。表層側のマイクロポア径だけを高精度に拡大する「多段構造化」によって、高速に固まった感光層の強度を安定的に保持できるようになり、耐刷性と耐汚れ性が同時にレベルアップしています。

[図]

SHC技術 (極細親水化コーティング技術)
― Superfine Hydrophilic Coating ―

有処理CTP『HN-NV』では版エッジの形状制御と『ガム液 HN-GV』の組み合わせにより実現していたエッジ部の「耐汚れ性」を、『SUPERIA ZN』では、エッジ部のみを親水化するコーティング技術を新たに開発・実用化。エッジの形状制御と高次元に融合することで、完全無処理プレートでは原理的に困難と言われていた、効果的な「エッジ汚れの抑制」を実現しています。

[図]

FFGSは今後も、印刷製版機材のリーディングカンパニーとして、CTPシステムから印刷薬品、デジタルプレス、ワークフローシステムに至るまで、先進的な印刷関連商品群を広く提供し、新聞・印刷業界の発展に貢献してまいります。