印刷の5大要素+ONEから考える品質のマネジメント

掲載日:2018年6月22日

印刷ビジネスにおける無形の価値の再認識

印刷ビジネスおける過当競争は、まだまだサバイバルゲームのように生き残りかけた厳しい現状にある。従来のオフセット印刷を中心にした「どこで刷っても同じ」という領域では、コストと納期のみで発注者側が印刷会社を識別するのも当然だ。言うまでもなく、品質が鍵を握る。

手間暇をかけることで価値を生む

品質も有形と無形の二つ価値で考える必要がある。例えば、有形の価値は、製造品質だ。印刷では、色調再現、見当、均一性、よごれ、その他製造品質に関わることであろう。一方、価値を生みそうなのが無形の品質だ。印刷ビジネスでは、製造プロセスや考え方、姿勢などに当たる。具体的には、提案、コミュニケーション、品質管理(標準化)、付帯サービス等が考えられる。都内印刷工場の例では、検品、在庫管理、店舗仕分け物流などの手間暇の掛かる業務で顧客の課題解決に取り組み、収益アップに繋げている。重要なことは、信頼を得て自社のブランド価値を高めているところだ。ブランドは無形の価値における重要なキーワードだ。

Finishing Firstで考える

プリンティングコーディネータ養成講座(JAGAT主催)は、顧客の伝えたい価値を幅広い印刷表現と技術で形にする人材育成を目指している。特殊印刷や加工技術を盛り込んだ講座になっているが、学ぶべき重要な視点は、顧客にその価値を伝え、形にするプロセスだ。多様化する顧客の課題に対して、従来のオフセット印刷を中心した製造領域を超えて提案することを学ぶ。1)原稿(コンテンツ)、2)版式、3)印刷機、4)紙(被印刷物)、5)インキの5大要素を広い視野で捉えて、特殊印刷や加工を加えてコーディネイト力を養う講座だ。コーディネイトする上での大切な考え方が、Finishing Firstだ。 Finishing Firstとは、生産手段に頼るのではなく、エンドユーザーに寄りそった製品づくりをしていこうという考え方だ。印刷会社は、印刷や後加工を必要としている顧客の顧客、つまりエンドユーザーに提供することで売上を得ようとしている。その製品を手にした時のことを考えた製品づくりが求められている。エンドユーザーを最上位に想うことが重要だ。特に特殊な加工や仕上げが加われば意識が重要だ。Finishing Firstを意識した幅広い印刷表現と技術をコーディネイトしていく人材は、まだまだ印刷ビズネスの可能性を広げていくと期待される。
プリンティングコーディネータ養成講座第21期(JAGAT主催)は、様々な印刷技法、素材、作品、人との出会いの場。今年もブラシュアップして10月3日から開催する。

(CS部古谷)