印刷発注担当者にも見積もりの内容を理解してもらおう

掲載日:2021年12月3日

顧客に印刷見積もりの概要を理解してもらうことは営業にとってこれからの取引の関係を維持するためにも重要なことだ。

●印刷見積りは複雑 
 印刷物を発注する担当者が必ずしも印刷知識をもっているわけではない。営業から提出された見積り書を見てその内容を担当者が理解できていないこともある。こうした問題意識は、今後の取引にも影響してくるので営業は見積り書の内容を丁寧に説明して顧客と共通認識を持つ必要がある。   
 一方で印刷の見積りは複雑で難易度は高い。印刷物の受注は基本的に一品別に仕様の異なる個別受注生産であり、製造工程も企画、デザイン、DTP制作、刷版、印刷、後加工、納品まで多くの工程がある。さらに仕上がり形態も二つ折り、三つ折りなどの端物、中綴じ、無線綴じなどの頁物、抜きや貼りなどの工程を要するパッケージがなど多岐にわたる。
 また、印刷物の見積りをするには製造設計が必要となる。印刷方式はデジタルかオフセットか、枚葉機か輪転機か、版サイズは半裁か全判かということも考えないといけない。そうなると、版サイズが変われば面付けや通し数も変わり、頁物であれば折り丁の数や製本台数も変わる。印刷用紙代についても費用項目として大きく、紙質によって色の再現性が左右され、どの用紙を選ぶかにより見積り金額も変わってくる。
 さらに、同じ仕様の印刷物であっても営業担当者によって製造設計が異なるため積算結果が異なることも多い。そのため顧客に見積書を提出するときには、その内容を説明しないといけない場合もある。

●顧客には丁寧な説明を
 見積り書には、価格だけ表記したもの、工程ごとの内容を明記したもの、工程ごとの内容と計算根拠も明記されたものの3種類がある。これらは顧客の要望に応じて使いわける必要がある。特に新版で受注する場合、営業は工程ごとの計算根拠を示して顧客に納得してもらうよう努めている。場合によっては顧客を自社の工場を見学してもらい、実際の作業を確認すれば理解を深めてもらえるかもしれない。
 印刷会社としては顧客に見積り書の内容の概要を理解してもらい信頼関係を構築できるよう努力することが今後の取引を継続させるためにも大切なことだ。(CS部 伊藤禎昭)