工場改善の推進に必要な経営者の姿勢と現場リーダーの育成

掲載日:2019年4月5日

~さくら印刷の事例から学ぶ~

「工場マネージャー養成講座(JAGAT主催)」を受講した株式会社さくら印刷の、その後の工場改善活動の取り組みを追う。

千葉県茂原市に本社を構え創業70年を迎える株式会社さくら印刷は、地域の仕事を中心に企画・デザインから印刷・製本加工まで対応している。同社は後継者であり現経営企画部の鎌田貴雅氏が4年前に入社し、Webや出版事業の立ち上げや工場の改善活動など新しい挑戦を始めた。メディア・出版事業では、「ちばごはん」「ちば日帰り入浴本」「地域情報誌かわら版(※現在休刊中)」「高校生のための就職応援メディアCOURSE(コース)」を手掛ける。「COURSE千葉中央エリア版(書籍+Webサイト)」は、2018年12月に第2号が出版された。「ちばごはん」「ちば日帰り入浴本」は売り切れとなり、特に「ちば日帰り入浴本」は、話題性も高く新聞記事やローカルテレビでも取り上げられている。

■工場改善のスタートは3S活動から
鎌田氏が入社して直ぐに配属となったのが工場となり、最初に感じたのが工場環境や生産効率の悪さだという。このことが、経営方針でもある3S活動に取り組むきっかけとなった。3S活動として工場の中を周り不要なものを見つけ速やかに捨てる作業から始めた。当初、現場では冷ややかな目を感じていたらしいが、モノを減らすことで得られるメリットを感じてもらいたかった。後継者が自ら行動を起こし実践することで3S活動が徐々に社員に広まり、不要なものや汚れている箇所を他部署間でお互いに赤札を貼り合う社員の主体的な活動へとつながっていった。

次に改善活動を推進するための施策として、工場長の斎藤氏と印刷部係長の森川氏の2名を「工場マネージャー養成講座(JAGAT主催)」に派遣した。本講座は全8回に渡り印刷工場マネージャーに必要な資質やスキルを学ぶだけではなく、各受講者の印刷工場を題材に改善ポイントを講師からアドバイスし、それを受講者が実践することを繰り返す。自社の工場で実際に改善活動を行う必要があるカリキュラムのため、教育効果はもちろん、社員が改善活動に取り組まざる得ない状況をつくることに鎌田氏の狙いがあった。

■社員が主体的に動く改善活動
社内では改善に向けたアクションプランを立てPDCAで回していく習慣を身に付けてもらうことから始めた。また、朝礼の場を活かし進捗報告会を行うことで、社内コミュニケーションの強化を努めた。
具体的には5Sを中心にしたアクションプランを立てた。

<主な半年間の取り組み>
・掃除の改善、定期的な床掃除を始める
・ひと目でわかるメンテナンス早見表の設置 
・些細なことでも気軽に意見が出せるポストイットボードの設置
・オリジナルの服装規定表の作成
・紙置き場から手をつけた整理、整頓の取り組み
・写真で見える化、改善のビフォーアフター
・他部署間との連携改善施策
 

■工場マネージャー養成講座受講後も継続的な活動へ
工場マネージャー養成講座修了は次のステージへスタートだ。改善活動の継続が期待される。「簡単なことでもいいのでまずはやってみる。トライアンドエラーを繰り返しながら進めた方が早い。」という前向きな言葉に熱意を感じた。鎌田氏は、トップダウンではなくボトムアップの組織づくりを選択した。粘り強く、仕掛けや仕組みづくりの行動を起こすリーダーシップ鍵を握りそうだ。

(CS部 古谷芸文)

◆5/11(土)開講
第5期「工場マネージャー養成講座」