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【クロスメディアキーワード】プロジェクトとPMBOK

クロスメディアキーワード【第3回】

プロジェクトは、主に組織の戦略計画を達成する手段として実施され、管理手法としてPMBOKが活用される。

組織とプロジェクト

組織において定常業務が継続的・反復的であるのに対し、プロジェクトは独自の製品やサービスを創造するために実施される有期的な業務である。

多くの組織にとってプロジェクトは、その組織における通常の業務範囲内では対処できない要求に応えるための手段である。プロジェクトは組織のあらゆる階層 で実施され、1人から数千人規模の場合もある。アライアンスやジョイント・ベンチャーなどでみられるように、組織の境界を超える場合もある。

プロジェクトの特性

プロジェクトの特性の1つである「有期性」とは、どのプロジェクトにも明確な始まりと終わりがあることを意味している。プロジェクトと定常業務の目的は本 質的に異なり、プロジェクトの目的は、その目標を達成して終結することである。継続的な非プロジェクト型定常業務では、ビジネスを持続させることにあるの が普通である。

さらに、プロジェクトの特性の1つとして、「段階的詳細化」がある。段階的とは、「ステップを追って進め、継続して着実に 内容を追加すること」を、詳細化は、「注意深く詳細に練り上げ、完全に作り込むこと」を意味している。製品やサービスの特性は、プロジェクトの初期段階で 大まかに定義され、プロジェクトチームが成果物をより良く、かつ、より完全に理解することに従い、明確で詳細なものとなる。

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)

PMBOKは、プロジェクト活動を管理するための基本的な考え方、手法をまとめたガイドであることから、ガイドに従うだけでは、様々なビジネスに使用できる具体性はないが、概要を理解することで、プロジェクト管理手法として礎として活用できる。

PMBOKとは、プロジェクトマネジメントに関する知識体系である。アメリカにあるプロジェクトマネジメント関する技法を研究している団体である PMI(Project Management Institute)がまとめている。現在は、PMBOKに従いプロジェクトマネジメントを実施することが、国際標準となっている。PMBOKの内容は、 4年に1回改訂が行われており、2012年に英語版である第5版が公開された。

管理体系の分類とプロセス

PMBOKは、プロジェクト管理体系に関する知識を9つに分類し、さらに、プロジェクトのフローを「立ち上げ」「計画」「実行」「管理」「終結」といった、5つのプロセスに区切り、9×5の中にどのプロセスで何を作成・管理すべきかを定義している。

9つの知識エリアは、日本の製造業において従来から使われてきた3つの管理項目である「品質管理」や「コスト管理」、「納期管理」に対し、「スコープ管 理」、「人的資源管理」、「コミュニケーション管理」、「リスク管理」、「調達管理」といった5つの分類を加え、それらをトータルに管理する「統合管理」 を含めたものである。プロジェクトの請負範囲や成果物が何であるかを定義・計画する分類は、スコープ管理にあたる。

個別の知識エリアにお いて、「コスト管理」では「コスト見積書」、「人的資源管理」では「プロジェクト体制図」や「リソースヒストグラム」といった、計画のアウトプットが作成 される。これらは相互に関連し、統合管理で各計画の整合性を保つ。「プロジェクト計画書」は、他エリアの計画プロセスで作成する計画ドキュメントと重複し ないように配慮する。

また、プロジェクト体制の構築、プロジェクトメンバーの確保、プロジェクトメンバーの育成を行う知識エリアは、「人的資源管理」である。ただし、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーといった中心人物の選任については、スコープ管理の「立ち上げプロセス」の 範疇になっている。

「人的資源管理」のアウトプットは、プロジェクトスタート時に速やかに作成し、受注業務においては、受注側だけでなく、発注側の体制についても明記する。

スコープ定義とWBS(Work Breakdown Structure)

スコープ定義(Scope Definition)とは、プロジェクトの主要な要素成果物を小さなマネジメントしやすい構成要素に分解することである。その目的は、①コスト、所要期 間、資源の見積りの精度を高める、②実績を測定し、コントロールするベースラインを決める、③明確な責任分担を促進する、が挙げられる。適切なスコープ定義は、プロジェクトを成功に導くために極めて重要である。

PMBOKでは、要素成果物によりプロジェクトの構成要素をグループとし、プロ ジェクト全体のスコープを系統立ててまとめあげ、定義したものをWBSという。の各項目には一般に固有の識別子が付けられる。これらの識別子により、コス トや資源を階層により集計する仕組みを表す。特にアーンド・バリュー・マネジメント方式を採用している組織では、WBSの最下位レベルの項目を「ワーク パッケージ」と呼ぶ。この「ワークパッケージ」は、下位のサブプロジェクトにおけるWBSとして、さらに分解されることもある。

リスク識別

リスク識別(Risk Identification)とは、どのようなリスクがプロジェクトに影響を及ぼすかを見定め、その特性を文書化することである。リスク識別はプロジェ クトの全期間で定期的に実施する。またリスクを識別するために、「リスクそのもの」と「トリガー」、「他のプロセスへのインプット」の3つがアウトプット となる。トリガーは、リスクの兆候(リスクの警鐘)とも呼ばれ、リスクが発生した、あるいは発生しようとしていることを示すものである。例として、中間の マイルストーンに遅れることはスケジュールの遅れが差し迫っているということが早期警報である。また、他のプロセスへのインプットで、リスク識別により他 の知識エリアでさらに対策を講じる必要性が明確になる。スケジュールが不完全、論理的でないなどが例として挙げられる。

コンティンジェンシー計画(Contingency Plan)は事前に、プロジェクト計画中に識別したリスクが発生した場合に適用する。前もって計画を立てておくと、リスクが起こったときの対応コストを大きく減らすことができる。

例題

PMBOKにおけるプロジェクトの定義に関する記述として最も不適切なものはどれか[解答群]から選べ。

ア プロジェクトとは、以前に同等のものが実施されたことがなく、新しく行う独自の活動である。
イ プロジェクトチームは、プロジェクトの目的を遂行するために編成され、プロジェクトが終結した時点で解散する。
ウ 1人で実行されるのは業務であり、プロジェクトではない。
エ プロジェクトでは、進行と共に具体性が増すため、初期段階では製品やサービスの仕様は、大まかに定義される。

[解答群]
 ①ア ②イ ③ウ ④エ

[解答]
 ③ウ

※本ページの内容は掲載当時(2013年10月15日)のものです。

【クロスメディアキーワード】ブログ

クロスメディアキーワード【第14回】

個人の情報発信スタイルを支えるブログは、独自のジャーナリズムを可能にし、メディアとして価値を高めている。場所を問わず情報発信が行えるリアルタイム性の強いマイクロブログも登場し、生活者の情報接触時間に大きな影響を与えている。

ブログの登場

ブログが普及する以前、個人がWebコンテンツを公開する場合には、パソコンにインストールされているテキストエディターや、専用アプリケーションを使用 し容易されていた。インターネット上のアプリケーションサービスとして提供されるブログの登場で、個人が、容易に占有的なコンテンツ展開を行えるように なった。

情報発信が容易となることで、文章表現能力やコンテンツ制作能力に優れたブロガーが商業的なメディアと同等の情報発信を行うこと が可能となり、新聞や雑誌の購読率にも影響を与えるようになっている。ポータルサイトやコミュニティーサイトを運営する法人が、メディアとして価値のある ブログを集め、ブログ総合サイトとして運営することにより、ブログジャーナリズムの発展を後押しした。

ブログサービスの種類

ブログサービスには、ブログ専用の有料サービスのほか、独自ドメインがないポータルサイトの無料サービス、レンタルサーバーにアプリケーションをインストールして使用するものなどがある。
アプリケーションサービスとして提供されるブログの利用は、システムに関する特別な知識や技術を求められない。コンテンツ作成については、利用できるデ ザインや機能は限定されるが、ワープロによる文書データ作成と同様で、テンプレートに従い、文章や画像を配置することで、完成させることが可能であり、多 くの人々に利用されている。
一方、レンタルサーバーにインストールし利用するブログは、カスタマイズにより、レイアウトやデザインの変更のほか、様々な機能を追加することができる が、デザインやプログラミング、システムに関する知識が求められる。CMS(Contents Management System)で構築されたWebサイトと遜色ないサイト構築が可能であり、法人が事業活動における情報の受発信手段として、利用することが多くなってい る。

ブログの機能

「トラックバック」は、ブログの代表的な機能の1つである。トラックバックとは、別のブログにリンク を設置した際に、リンク先のブログ運営者に通知を行う仕組みである。発信している情報と関係のある他のブログと、連携や交流が可能になる。また、ブログで 公開されている記事に対し、閲覧者が意見や感想を入力できる「コメント機能」も代表的である。「コメント機能」により、ブログは双方向性のあるコミュニ ケーションメディアとなる。コメント入力者の名前欄に、自身のブログURLやメールアドレスの掲載が可能であり、「誘導」や「情報収集」などが可能である といった、コメント入力者のメリットもある。

有名なブログアプリケーションには、プラグインとして様々な機能がサードパーティーとなる法人や個人から提供されており、短時間かつローコストで、多機能なシステムを立ち上げることができる。

マイクロブログ

Twitterのような文字数に制限があるマイクロブログの登場により、個人の「気付き」や「感想」、「事象」などについて、即時的な情報発信が可能と なった。また、ケータイやスマートフォンなどのモバイル端末の普及や通信環境の充実などにより、場所や時間を問わずに情報の受発信を行える状況を生み、マ イクロブログの普及に貢献した。

高度情報化社会の生活者は、様々な情報への接触時間が長くなる傾向があり、情報の受発信源であるマイクロ ブログは、メディアとしての価値が認められている。マイクロブログからコーポレートサイトやSNS(Social Networking Service)への連携や誘導が可能であることから、話題性の高い情報がマイクロブログに投稿される傾向がある。放送局や新聞社、出版社などといったマ スメディアを運営する組織が、マイクロブログのアカウントを取得し、速報性のある情報配信を行っている。

ブログの問題点

ブログの活用は、「情報発信が容易である」「更新が容易である」「SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)対策も行える」など、様々なメリットがある。

また、様々なデメリットも存在する。ブログにより記事を日々公開すると、トップページの最新記事は、数件が掲載されるが、古い記事は掲載されない。した がって、閲覧者が過去の記事を読む可能性が徐々に低くなる傾向がある。過去の記事が「価値のある情報」であっても、専門的なカスタマイズを行わない限り、 PV(Page View)数は伸びない。

ブログによる情報氾濫

ブログの登場により情報発信が容易になったが、「価値のある情報」が常に発信できるとは限らない。安易な情報発信は、信憑性や公平性を欠く可能性を秘めており、ブランドを傷つける恐れもある。

誹謗中傷ともとれる情報発信を行っていしまった場合、閲覧者の反感を高め、企業が謝罪する事例があった。また、株の取引市場に大きな影響を与え、株価が暴 落する事例もある。さらに、著名人であると偽り、情報発信を行う事例も後を絶たない。検索サイトの検索結果表示では、探している情報が見つけにくくなると いった問題も起きている。

適切な情報発信に向けて

法人が事業活動の一環でブログを活用するのであれば、自己満足的ともいえる安易な情報発信を避ける考えも必要である。

コンテンツとして表現されている事が、全てであると解釈する閲覧者を生むことも考えられ、個人や法人を問わず、意図しない「印象」をブログにより与えてし まう可能性もある。「ブログ」で表現するコンテンツは、全ての情報の中で、インターネット上にあるごく一部であり、表現する内容については、十分な検討を したうえで、公開することが望まれる。

例題

次の文中の空欄[A]~[D]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。

新聞や雑誌、ポータルサイトなど、商業的なメディアへの執筆経験者が、ブログを活用し情報発信を行うことから、新聞や雑誌に匹敵するブログジャーナリズムが生まれた。ブログの著者は[A]と呼ばれることがある。

ブログツールは、HTMLコーディングを行い、FTPによりサーバーへファイルをアップロードするWebサイト構築と比べた場合、コンテンツ更新の容易さ や、複数ので編集が可能であるという点で[B]としての側面がある。利用者の多いブログツールは、様々な拡張機能(プラグイン)がサードパーティーから提 供され、HTMLコーディングを行った場合に対し、比較的に短期間、ローコストでWebサイトを構築することができる。内容的に関連した記事コンテンツに 対し、自身の記事コンテンツへリンクを掲載する[C]機能や、RSSデータを自動生成し、訪問者のRSSリーダーに[D]を自動的に通知する機能を備えた ものもある。

[解答群]
①A:ブロガー B:CMS C:トラックバック D:更新
②A:コメンテーター B:CMS C:トラックバック D:削除
③A:ブロガー B:EDI C:トラックバック D:更新
④A:コメンテーター B:EDI C:トラックバック D:削除

[解答]
①A:ブロガー B:CMS C:トラックバック D:更新

※本ページの内容は掲載当時(2014年5月9日)のものです。

【クロスメディアキーワード】ソーシャルメディア

クロスメディアキーワード【第16回】

SNS(Social Networking Service)は、インターネット上のコミュニケーションツールとして普及し、非常に多くの会員(利用者)を有している。情報の伝達力は、マスメディア に匹敵するほどのメディアとなり、媒体価値を高く評価されるようになり、様々な事業を考える上で欠かせないツールとなった。

SNSの歴史

利用者を限定したコミュニティー型情報サービスは、1980年代のニューメディアといった言葉が使われていた頃から存在していたが、 IT(Infomation Technology)の発展により、パソコン通信からインターネット上へと移行した。日本では、ケータイの普及に伴い、ケータイSNSも発展した。

パソコン通信により利用されていた掲示板(BBS:Bulletin Board System)のようなオープンサービスでは、情報発信者の意図とは別に非難や批判が殺到する「炎上」につながる事象もあり、継続的に発展するコミュニ ケーションの妨げとなることも多かった。その後、情報発信者が、他者によるレスポンス情報の公開をコントロールできる「ブログアプリケーション」のような 機能を実現することで、コンテンツの質もコントロールできるようになった。

当初のブログは、専門知識を有する人物の情報発信を中心に、アメリカで使用されていた。しかしながら日本では、個人的な日記を公開するために使用され始め、関係者同士のコミュニケーションツールとして急速に発達した。

ブログの目的は、インタラクティブコミュニケーションではなかったことから、閲覧者の管理もコントロールできるツールとして、SNSは登場した。

利用方法の変化

このような背景の中、Facebookは実名登録を原則とし、登録者からの招待がない限り、利用することができなかった。Facebookは大学内の利用 から始まり、パーティーに参加することで、面識のない人物との出会いや、友人の紹介など、個人から集団へ向けた利用に関する機能を拡張することで、若者の 間から定着した。

日本のmixiでは、大学のゼミやサークルなどで、交流のために多く利用された。その後、多くのSNSは登録制となり、次第に招待が無い場合でも登録可能なサービスとなった。

登録制になってからもSNSの特徴は保たれ、発信した情報に対し誹謗中傷をされにくく、不快感や不安感の少ないコミュニケーションツールとして普及してい る。匿名でのレスポンス情報発信が可能であった掲示板とは異なり、SNSは安心と信頼ができる要素が向上したコミュニケーションツールであると考えられ る。

SNSとマーケティング

Webクローリング技術を活用することで、ソーシャルメディア上で人々が日常的に交わして いる情報や行動に関するデータを収集し、調査や分析を行うことで業界動向把握やトレンド予測、組織、ブランド、製品またはサービスなどに関する評価や評判 の理解を深め改善に活かす「ソーシャルリスニング」活動も行われており、重要視される傾向がある。

また、SNSは同様な嗜好を持つ人々の 集団と捉えることが可能であり、マーケティングの観点から、「口コミ」効果を期待したマーケティング戦略ツールとしての利用が盛んになっている。そのた め、SNSを利用する人々の相関関係をマーケティングデータとして活用するために、「ソーシャルグラフ」といった概念が生まれた。

「ソー シャルグラフ」へのアプローチは、生活者の嗜好が多様化し、大きなセグメントに対する傾向分析では、需要の発見や対応が難しくなってきた社会環境によると ころが大きい。経済が成熟した環境では、消費者行動は多様化する傾向がある。マスメディアによる品質や価格の訴求だけでは購買意欲の刺激が難しくなってい る現状も、「ソーシャルグラフ」に寄せられる期待感を後押ししている。

「ソーシャルグラフ」での話題は、消費行動に影響を与える可能性が 高い。知人からの「口コミ」情報は、マスメディアからの情報と比較した場合、倍近く信頼するといった発表もあった。小さなセグメントを対象とするマーケ ティング戦略には、「ソーシャルグラフ」の活用が重要視される傾向があり、緻密な生活者に対するマーケティング施策の重要性は、高まっていくと考えられ る。

企業によるマーケティング活動では、「多くの生活者から共感を得るようなメッセージやコンテンツ」だけではなく、「少数の嗜好を共にする集団で話題となるメッセージやコンテンツ」といった情報発信の重要性が増している。

SNSのビジネスモデル

 一般的に大規模SNSは、広告収入で運用することで、生活者に無料でサービス提供されることが多い。利用目的を特定した、会費制SNSも存在するが、大規 模であっても利用者の格付けを行い、SNS上でバーチャルグッズ売買が可能なプレミアム会員を有料とした、収益モデルの確立も行われている。

利用者にとって、安全性の高いSNSでは、ゲームやアプリケーション、写真などの共有について、信頼性を担保しつつ実現できるため、SNS内での課金サービスについても利用者は増えている。

例題

次の文中の空欄[A]~[C]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。

現代社会において、SNS(Social Networking Service)は、社会的なネットワークを構築できるWebサイトを指すことが多い。初期のSNSは利用者が参加する仕組みとして、招待制のシステムを 採用する事業者が比較的多かったが、昨今では[A]が多くなった。その理由として、招待されずにSNSに参加した場合においても友人や知人を見つけやすく なったことや、招待制SNSの参加者数増加の[B]などが挙げられている。

サービスが登場した当初は、友人や知人との間で利用され、趣味や嗜好などの共通事項で関係する余暇の要素が大きかった。現在は、組織内の構成員による[C]を活性化させ、業務を円滑に遂行させるためのツールとしても活用されている。

[解答群]
①A:登録制 B:抑制 C:コンフリクト
②A:指名制 B:限界 C:コンフリクト
③A:登録制 B:限界 C:コミュニケーション
④A:指名制 B:抑制 C:コミュニケーション

[解答]
③A:登録制 B:限界 C:コミュニケーション

※本ページの内容は掲載当時(2014年5月26日)のものです。

【クロスメディアキーワード】シングルサインオン

クロスメディアキーワード【第18回】

シングルサインオン(SSO)は、認証を実現する技術の一つであり、EC(Electronic Commerce)サイトやポータルサイトで、閲覧者のアクセスコントロールを目的に利用されている。

関連する規格もあり、セキュリティーの確保を前提としたWebサイトを活用するクロスメディア展開では、必須の知識である。

クラウドコンピューティング

シングルサインオンはと関連する技術の一つとして、クラウドコンピューティングをあげることができる。

クラウドコンピューティングとは、特にインターネット経由でアプリケーションやストレージといったサービスを利用する形態を指す。

このようなサービスでは、個人に紐付くさまざまなデータがインターネット上に保存されるため、サービスを利用する際には、ユーザーIDやパスワードが必要不可欠となる。

ユーザーID(IDentification)とパスワードにより認証を行い、ログインすることでサービスを利用できる仕組みが一般的であったが、複数のサービスを利用する場合、複数のユーザーIDとパスワードを管理する必要がある。

さらにセキュリティーを考慮すると、定期的なパスワードの変更が必要な場合もあり、利用者の負担が高かった。

シングルサインオンの普及

シングルサインオンとは、従来、個別のユーザーIDとパスワードで管理されていたサービスを統合し、ユーザーIDとパスワードを一度入力することで、さまざまなサービスを横断的に使用できる機能である。

シングルサインオンにより、利用者の負担は軽減され、安全性を保つ認証が実現される。

Yahoo!や楽天などにより提供されるECサイトの認証で採用されているほか、一部のOS(Operating System)でも採用されている。

昨今は、インターネット上の複数サービスを利用する生活者が増えてきたことから、シングルサインオンが普及している。

シングルサインオンを実現するサービスは、様々なものが有償または無償で提供されている。

OpenID

シングルサインオンを実現するサービスの中で、日本国内で標準規格として普及してきているものとして「OpenID」をあげることができる。

「OpenID」は、米国のOIDF(OpenID Foundation)を代表とする団体により普及促進が図られている規格であり、利用者を問わずインターネット上で活用することができる。

発行される「OpenID」は、URL(Uniform Resource Locator)形式により構成される。

そのため、スパムメールや不正アクセスなどのリスクが少なく、認証することができる。

URL形式の「OpenID」は、専用のサーバーで管理されおり、1つの「OpenID」により、対応する全てのインターネット上のサービスで認証を受けることができる。

例題

次の文中の空欄[A]~[C]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。

インターネット上で利用者に個別のサービスを提供するために、WebサイトごとにユーザーIDとパスワードが発行されるが、利用者の管理上の不便さからサ イト利用率の低下を招くことがある。この管理から利用者を解放するシングルサインオンの方法として、一部のベンダーによりサービスが提供されたが、ユー ザーIDの認証や情報をそのベンダーのみが管理することで、他のベンダーによるサービスが取り入れられない制約があった。

その後、サイト 間での相互のシングルサインオンを実現するものとして[A]が登場した。国内においても大手ベンダーが[A]を発行し、複数のベンダーが[B]サイトを提 供している。初期の段階から複数の大手ベンダーが推進団体に加盟しており、世界で1万以上のサイトが対応している。

利用者は、[A]対応サイトを利用することで、新たにユーザーIDとパスワードを取得する必要がなくなる。
この認証技術は、対応サイトで共通して利用できるユーザーIDを持ち、[C]形式で表す。[C]形式に定められた長所の一つは、よく使われるメールアドレスの場合、アドレスの不正利用や、「盗聴」によるスパムメールが増加の心配がないとされている。

[解答群]
 ①A:OpenID B:ログイン対応 C:URL
 ②A:CommonID B:ログイン対応 C:アカウント
 ③A:CommonID B:セッション対応 C:URL
 ④A:OpenID B:セッション対応 C:アカウント

[解答]
 ①A:OpenID B:ログイン対応 C:URL

※本ページの内容は掲載当時(2014年5月28日)のものです。

【クロスメディアキーワード】コンピューター言語とデータフォーマット

クロスメディアキーワード【第8回】

コンピューター言語

コンピューター言語とは、ソフトウェアを開発するために 人工的に設計された言語で、プログラムとデータを記述する構文と語彙で構成される。コンピューター言語は、コンピューターハードウェアの登場と共に始ま り、約半世紀にわたりコンピューターとその応用の進展につれ、夥しい種類が考案されてきた。

プログラム記述の言語

1960年代までは、FORTARN、COBOL、アセンブリ言語といったプログラミング言語が主流であったが、スパゲッティ状態の(制御が乱雑で保守し にくい)プログラムが作られやすい文法であったため、それらに対する保守コストの増大が「ソフトウェア危機」として問題視されるようになった。問題解決の ために「構造化プログラミング」が提唱され、以降に開発された新たなプログラミング言語は、その考えを反映するようになった。

また、「ソ フトウェア危機」では、大規模で複雑なプログラム開発コストの増大も問題になった。そこで、プログラムの部品化と再利用が提唱された。1970年代から は、部品化と再利用が実現できるSmalltalk、C++、Objective-Cといったプログラミング言語が次々に開発され、「オブジェクト指向プ ログラミング」が提唱された。これらの言語では、オブジェクトを部品として記述できる。具体的には、データの型やそれに対する処理を抽象化し、その検査を 行うことで安全な実現を可能にしている。

しかし、構造化プログラミングやオブジェクト指向プログラミングは、プログラミングの考え方をプ ログラマーに示唆する「パラダイム」に過ぎず、その言語を用いても「ソフトウェア危機」問題が解決するわけではない。現在では、「フレームワーク」という 形で、目的とするプログラムが容易にかつ確実にできるようにするために制約的なプログラミングが行われている。

現在、代表的なプログラム記述の言語は、次のような種類がある。

  • C++、Objective-C、Java:汎用アプリケーションの記述
  • Perl、PHP:WebにおけるCGIの記述
  • JavaScript:Webクライアントプログラムの記述
  • XSLT:XMLボキャブラリ変換の記述
  • SQL:データベースに対する問合せの記述
  • Microsoft .NET Framework、JavaServer Faces:アプリケーション記述のためのフレームワーク

データ記述のための言語

データに関わる記述は、もともとプログラミング言語の一部であったが、1960年代のデータベースシステムの登場により、データの変更を容易にし、プログ ラムへの影響を極力少なくするために、データ記述を「スキーマ」としてプログラムから切り離す「データ独立」の動きが起きた。そうした動きの当初は、デー タベース関連にとどまっていたが、その後、データとそれに対する処理をオブジェクトとして扱うオブジェクト指向プログラミングとあいまって急速に広まっ た。

1980年代に登場したSGML(Standard Generalized Markup Language)は文書のデータ型を定義する「メタ言語」である。データ型は、データ記述の構文と語彙であり、要素の順序や階層関係、要素名(タグ)と 属性名で構成され、それに基づいて具体的なデータをマークアップするHTML、MathML、SVGなどといった言語が定義される。現在では、データ記述 のための言語の定義は、SGMLの後継であるXML(Extensible Markup Language)に集中するようになっている。

現在、XMLで定義された代表的なデータ記述の言語としては次のような種類がある。

  • XML Schema、RELAX、RELAX NG:文書のデータ型の記述
  • XHTML、MathML、SVG:Webコンテンツの記述
  • XAML、XUL:ユーザー・インターフェイスと関連データの記述
  • IDL:ソフトウェアコンポーネント(部品)間のインタフェースの記述

データフォーマット

コンピューター間やアプリケーション間などの情報交換で用いられるデータの形を「データフォーマット」と呼ぶ。その表現はコンピューターの内部表現と異な り、直列化される。データがプログラム内で記述されていた頃は、プログラムごとの暗黙的な形式が採用されていたが、データ独立が指向されるようになると、 ファンクションコードやタグによる構文や語彙が明示的になった。

XMLに基づくデータはテキストデータで表され、そのフォーマットの構文 と語彙は明示的な自己記述である。一方、画像や音楽を表わすデータの多くはバイナリーデータで表され、そのフォーマットの構文と語彙は暗黙的であり、デー タ量をなるべく小さく抑えるために圧縮されることが多い。

EPUBでは、XHTMLデータと画像データなどから構成されているが、書籍そ のものの取り扱いを容易にし、かつデータ量をなるべく小さく抑えるために圧縮されている。また、PDFでは、テキストデータとバイナリーデータが混在し、 部分的に圧縮された表現形式が採用されている。

例題

コンピューター言語に関する記述として最も適切なものはどれか[解答群]から選べ。

ア COBOL、FORTRAN、PL/I、Pascal、C言語は、コンピューターに処理を実行させる問い合わせ言語である。

イ SQLやXQueryなどは、データ記述言語と呼ばれ、主にデータベースからのデータ取得に対する記述をするものである。

ウ XMLは、文書の表示や印刷を行うたのデータ項目を文書構造に合わせて取得することに、困難を伴う言語である。

エ UMLは、ソフトウェア開発においてシステムの構造を表現するためのモデリング言語である。

[解答群]
 ①ア ②イ ③ウ ④エ

[解答]
 ④エ

※本ページの内容は掲載当時(2013年12月9日)のものです。

【クロスメディアキーワード】コミュニケーション支援とメディア

【第2回】メディアデザイン
メディアによる生活者とのコミュニケーション支援を実施するには、様々なメディアに関するリテラシーが必要になる。

技術のコモディティー化

IT(Information Technology)の発展により、コンテンツの制作に関する技術がコモディティー化することで、アプリケーションの操作技術だけでは、コンテンツの制 作に関わる業務としての付加価値が保ちにくい。様々な生活者に技術が移行することで、本質的なデザインや編集を行わない業務の価値は、データのフォーマッ ト変換程度の価値だけになりかねない。

ITが発展する前のコンテンツの制作に関する技術は、完成品の状態から逆算し、業務を行い、知識や 技術などのノウハウを蓄積してきた。しかし、情報のデジタル化によりコンテンツは、出力するメディアに合わせ、多様性や柔軟性を求められると同時に、さら に自動化へと向かっている。コミュニケーション支援で重要なことは、コンテンツの内容に近づくことであり、様々なメディアの特性を理解しなければならな い。

コンテンツデータの管理

現在、市場に普及しているパソコンは、過去には想像できなかったような、様々なデータの管 理機能を備えている。しかし、コンテンツデータの活用を主眼にすると、データの管理方法に関する知識が求められることもある。コンテンツデータの管理で は、メタデータ管理が重要視される。写真で例えれば、何時、何処で、誰が撮影したかなど、属性情報が管理されることで、写真は様々なコンテンツで利用しや すくなる。組織のメディア戦略では、コンテンツデータを資産として管理することも重要であり、情報発信のためのコンテンツデータ管理は、組織にとって欠か せない課題であるといえる。

メディアリテラシー

コミュニケーション支援ビジネスでは、「メディアリテラシー」を意識する必要もある。情報の発信者と受信者に与える影響を配慮することで、様々なメディアの文化的背景を乗り越え、効果的なコミュニケーションを実現できる。

コミュニケーション支援

マーケティング、ユーザーインタフェース設計、コンテンツ管理、サーバー技術、ネットワーク技術などの要件を踏まえた「メディアデザイン」が重要になる。社会を支えるコミュニケーション支援を行うために、「メディアデザイン」を考慮したロードマップが必要である。

公益社団法人 日本印刷技術協会
教育コンサルティング部
チーフコンサルタント
小林 祐一

 

※本ページの内容は掲載当時(2013年12月2日)のものです。

【クロスメディアキーワード】オープンソース

クロスメディアキーワード【第11回】

オープンソースは、無料でソースコードやプログラムが入手できるということを意味しているだ けではない。オープンソースに関する定義は、Open Source Initiative(OSI)により策定されている。OSI認定を受けるためには、以下の頒布条件が定められている。

1. 再頒布の自由

「オー プンソース」であるライセンス(以下「ライセンス」と略)は、出自の様々なプログラムを集めたソフトウェア頒布物(ディストリビューション)の一部とし て、ソフトウェアを販売あるいは無料で頒布することを制限してはならなない。 ライセンスは、このような販売に関して印税その他の報酬を要求してはなららない。

2. ソースコード

「オープンソース」 であるプログラムはソースコードを含んでいなければならず 、コンパイル済形式と同様にソースコードでの頒布も許可されていなければならない。何らかの事情でソースコードと共に頒布しない場合には、 ソースコードを複製に要するコストとして妥当な額程度の費用で入手できる方法を用意し、それをはっきりと公表しなければならない。方法として好ましいのは インターネットを通じた無料ダウンロードである。ソースコードは、プログラマがプログラムを変更しやすい形態でなければならない。意図的にソースコードを 分かりにくくすることは許されず、プリプロセッサや変換プログラムの出力のような中間形式は認められない。

3. 派生ソフトウェア

ライセンスは、ソフトウェアの変更と派生ソフトウェアの作成、並びに派生ソフトウェアを元のソフトウェアと同じライセンスの下で頒布することを許可しなければならない。

4. 作者のソースコードの完全性(Integrity)

バ イナリ構築の際にプログラムを変更するため、ソースコードと一緒に「パッチファイル」を頒布することを認める場合に限り、ライセンスによって変更された ソースコードの頒布を制限することができる。ライセンスは、変更されたソースコードから構築されたソフトウェアの頒布を明確に許可していなければならない が、派生ソフトウェアに元のソフトウェアとは異なる名前やバージョン番号をつけるよう義務付けるのは構わない。

5. 個人やグループに対する差別の禁止

ライセンスは特定の個人やグループを差別してはならない。

6. 利用する分野(Fields of Endeavor)に対する差別の禁止

ライセンスはある特定の分野でプログラムを使うことを制限してはならない。 例えば、プログラムの企業での使用や、遺伝子研究の分野での使用を制限してはならない。

7. ライセンスの分配(Distribution)

プログラムに付随する権利はそのプログラムが再頒布された者全てに等しく認められなければならず、彼らが何らかの追加的ライセンスに同意することを必要としてはならない。

8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止

プ ログラムに付与された権利は、それがある特定のソフトウェア頒布物の一部であるということに依存するものであってはならない。プログラムをその頒布物から 取り出したとしても、そのプログラム自身のライセンスの範囲内で使用あるいは頒布される限り、プログラムが再頒布される全ての人々が、元のソフトウェア頒 布物において与えられていた権利と同等の権利を有することを保証しなければならない。

9. 他のソフトウェアを制限するライセンスの禁止

ライセンスは、そのソフトウェアと共に頒布される他のソフトウェアに制限を設けてはならない。例えば、ライセンスは同じ媒体で頒布される他のプログラムが全てオープンソースソフトウェアであることを要求してはならない。

10. ライセンスは技術中立的でなければならない

ライセンス中に、特定の技術やインターフェースの様式に強く依存するような規定があってはならない。

例題

オープンソースにおけるOSI認定の頒布条件に関する記述として最も不適切なものはどれか[解答群]から選べ。

ア オープンソースソフトウェアとともに頒布される他のソフトウェアについては、すべてオープンソースソフトウェアでなければならない。

イ ライセンスは、ソフトウェアの変更と派生ソフトウェアの作成、並びに派生ソフトウェアを元のソフトウェアと同じライセンスの下で頒布することを許可しなければいけない。

ウ ライセンスはある特定の分野でプログラムを使うことを制限してはいけない。例えば、プログラムの企業での使用や、遺伝子研究分野での使用を制限してはいけない。

エ プログラムに付随する権利は、そのプログラムが再頒布された者すべてに等しく認めなければならず、追加的ライセンスに同意することを必要としてはいけない。

[解答群]
 ①ア ②イ ③ウ ④エ

[解答]
 ①ア

※本ページの内容は掲載当時(2014年1月6日)のものです。

【クロスメディアキーワード】クローラーと情報アーキテクチャー

クロスメディアキーワード【第15回】

Webサイトの構築を行う際には、情報アーキテクチャーを考慮することで、利用者を意識した情報サービスの提供が実現できる。

クローラー

クローラーとは、サーチエンジンがインターネット上の情報を収集するプログラムである。定期的にインターネット上のHTML(HyperText Markup Language)文書からリンク情報(href属性値に指定されたURL)を辿り、あらゆる情報を収集する。スパイダーやWeb巡回プログラム、検索ロ ボット、ボットなどとも呼ばれる。

インターネット上の検索サイトでは、検索結果の順位を決める方法として検索アルゴリズムによるものが多 く、利用者の探している情報を的確に探し出せるかが重要となる。検索アルゴリズムは日々進化しており、サービス提供企業ごとに方法が異なり、いずれも非公 開とされている。

クローラーは、サーチエンジンの検索結果に利用される情報の収集の他、目的を持たせ特定の情報収集に利用される。目的や特定の情報とは、一般企業や団体などによる商品情報の収集や統計調査などがあげられる。

クローラーには幾つもの種類があり、PC向けWebサイトの情報収集に用いられるものや、モバイル端末向けWebサイトの情報収集に用いられるものがある。また、ブログ検索サービスのように、情報の性質や状態を考慮した検索サービスも提供されている。

ブログの内容は、更新の容易さや個人の嗜好が反映されやすいことから、企業などが用意するWebサイトとは性質の異なる情報が多く含まれている。ブログ検 索サービスによっては、更新情報を配信するためのRSSフィードやAtomフィードのある全てのブログを検索できるようにすることを目標としているものが ある。

セマンティック・ウェブ

広く普及しているインターネット上の情報を収集する方法は、一般的に使用される文章検索に関する方法を利用している。言い換えれば、自然言語による検索方法である。これは、人間の持つ言葉の多面性や曖昧さから、正確に目的とする情報を得ることが難しいとされている。

また、自然言語による検索のほか、W3Cのティム・バーナーズ=リー氏によって提唱されたセマンティック・ウェブに対する検索技術の研究が行われている。

セマンティック・ウェブでは、HTMLで記述された文書を使用せず、XML(Extensible Markup Language)により記述した文書に対し、RDF(Resource Description Framework)やOWLを記述したものを使用する。RDFは、インターネット上のリソースを示すために用いられ、OWLは、意味を持った情報を形式 化して記述することに用いられる。自然言語の検索による曖昧な検索方法に対し、正確な意味を持った情報に対する収集や分析が可能になると考えられている。

ウェブマイニング

ウェブマイニング(Web Mining)とは、Webサイトの構造やインターネット上の情報を利用し、統計学、パターン認識、人工知能等のデータ解析の技法により、膨大なデータを 網羅的に適用し、傾向やパターンなどの情報を取り出す技術である。セマンティック・ウェブの実現により、インターネット上の膨大な情報に対し、解析技術を 用いた情報抽出が可能になることが期待されている。

情報アーキテクチャー

情報アーキテクチャーとは、わかりやすさのデザインともいわれ、「利用者に情報をわかりやすく伝え、受け手が情報を探しやすくする」ための表現技術である。

情報アーキテクチャーを意識したWebサイトの構築する際は、デザイン性だけではなく、検索性や各コンテンツへのナビゲーションも考慮することが必要であ る。そのため、設計段階からこれらを意識し、構造化や最適化を行うべきである。こうした配慮によって、利用者にとって使い勝手の良いWebサイトの提供が 行える。

SEO対策

SEO(Search Engine Optimization:サーチエンジン最適化)対策と呼ばれる検索サイトでの上位表示をさせるための手法についても、その仕組みを理解し、情報アーキテクチャーを意識したWebサイト構築を行うことが望ましい。

インターネットにおける大手検索ポータルサイトのサーチエンジンでは、キーワードを上位に表示させるためには、利用されているクローラーに対象とされるようなサイト構造にしておく必要がある。

サーチエンジンは、Webサイトの構造から情報を収集し、情報の内容を判断して順位付けを行っている。そのため、サイト設計段階から、サイトの目的に応じた要素を分類し、構造化していくことが重要となる。

例題

次の文中の空欄[A][B]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の解答群から選べ。

クローラーは、「Web巡回プログラム」や「ロボット」と呼ばれるインターネット上の情報を検索するプログラムである。クローラー技術は、検索サービスに対してだけではなく、商品情報の収集や統計調査など、特定の目的のもと[A]で利用されている。

ブログ情報、商品情報などといった、求められる情報の性質に特化した検索サービスやモバイル端末向けの検索サービスも登場している。

今後、より的確な情報を得るために、自然言語による検索条件の指定に加え、セマンティック・ウェブやウェブマイニングなどを組み合わせた検索技術が求めら れる可能性がある。セマンティック・ウェブは、XMLにより記述された文書に[B]やOWLを用い、意味を記述したタグを付け加える。そのタグが文章の含 む意味を形式化することになる。将来、タグを付けていないインターネット上のコンテンツは、次第に検索結果の表示順位が低くなる可能性があり、SEOの観 点からも対応が迫られることも予想される。

[解答群]
①A:一般的分野 B:CSS
②A:専門的分野のみ B:RDF
③A:一般的分野 B:RDF
④A:専門的分野のみ B:CSS

[解答]
③A:一般的分野 B:RDF

※本ページの内容は掲載当時(2014年5月22日)のものです。

 

【クロスメディアキーワード】コミュニケーション手段の変革

インターネット広告が台頭したことで、マスメディアによる広告がシフトするといった発想は成立しない。テレビコマーシャル用に制作された映像をイ ンターネットで配信するといった、マスメディアによる広告と同様の情報発信は、認知度の向上には寄与するが、コミュニケーション手段の変化に対応している とは限らない。

コミュニケーション手段の変革

事業を拡大させるために、広告だけに頼ることは考え難いが、インターネットだけを頼る行為も不完全である。IT(Information Technology)の発達が、事業活動に及ぼす影響を理解することが重要である。

クロスメディアエキスパート認証制度のカリキュラムでは、ITによる経営や商取引などの変化を取り上げているが、単なるWebサイト構築や販促物の制作にとって、直接的な関係性を感じにくい。

クロスメディアエキスパートの人物像は、「メディア戦略のコーディネーター」となるディレクターやプロデューサーを想定しているが、「メディア戦略のコー ディネーター」は、事業展開の核心と強い関係性を持つと考えている。下図の左側は事業主である顧客や自社であり、事業主の中には経営革新を推進する人物が おり、その人物はメディア戦略に着目している。

事業の変化に伴い、メディア活用に助言することが、クロスメディアエキスパート認証制度で示すディレクターやプロデューサーの役割である。

事業構造の変化は様々であり、SCM(Supply Chain Management)については、様々な製造業で業界横断的に進行し、「現場」では一般的なものとなっている。山間部に住む高齢者が、山で様々な「葉」 を採取し、料亭に卸すビジネスモデルがテレビ放送で取り上げられていた時期があったが、その後は、書籍まで出版された。インターネットを活用することで、 料亭は地産の材料調達が容易になった。

求められるメディア戦略のコーディネーター

様々な事業活動では、 CRM(Customer Relationship Management)による効率化だけでなく、マーチャンダイジングや需要予測などが変化した。クロスメディアを前提としたメディア戦略の立案では、 様々な生活者とのコミュニケーション手段として、デジタルメディアの存在が不可欠となる。 事業者はグループウェアを導入し、利害関係者との情報共有を行 い、オープンなコミュニケーション手段の確立を目指す。コミュニケーション手段を確立するツールは、インターネットに接続するパソコンに留まらず、ケータ イやスマートフォンなどのモバイル端末が利用され、クラウドやSNS(Social Networking Service)などのサービスが活用されている。

クロスメディアエキスパートの領域では、全体最適を考慮したコミュニケーションシステ ムの構築が求められる。メディア戦略とデジタルメディアの関係は、感覚的なものではなく、技術革新が事業構造に影響を与える。プロモーションだけではな く、コストを勘案した改善施策が求められる。改善施策の実行は、結果としてクロスメディアによる生活者との効率的コミュニケーションシステムを実現するこ とにつながる。事業戦略を支えるメディア戦略をコーディネートする人材の育成をクロスメディアエキスパート認証制度は目指している。

資格制度事務局

 

※本ページの内容は掲載当時(2013年10月)のものです。