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【企業インタビュー:あかつき印刷株式会社】組織で取り組む 提案力向上

クロスメディアエキスパート認証試験合格者に聞く

あかつき印刷株式会社 村田 麻里氏 第一営業部 部長
豊留 拓史氏 第一営業部1 課 係長

あかつき印刷株式会社は東京都の千駄ヶ谷に拠点を置く、新聞印刷を中心とした企業である。その他、冊子、グッズ、ポスター、チラシなどの商業印刷、電子文書やホームページ
の作成のような幅広い分野までカバーしている。営業部門の社員教育の一環として、以前から積極的にDTPエキスパート、クロスメディアエキスパート(以下、CME)試験に取り
組んでいる。同社第一営業部部長の村田麻里氏と同一課係長の豊留拓史氏に話を聞いた。

現在、どのような業務を担当していますか。

豊留 入社して以来営業を担当しており、今年で7 年目です。お客様は建設関係の労働組合のお客様がメインで、組合員向けの月刊の機関紙(新聞)や組合員拡大のための広告チラシなどを受注しています。

DTP エキスパート資格を取得していますが、どのような経緯で受験したのですか。

豊留 配属されると、営業部内では1 年目からDTP エキスパート資格を取得することが目標の一つにありました。入社1 年目の3 月には試験を受けることになっていたので、配属されてからは個人でも勉強は続けていました。

村田 社内でDTP エキスパート受験者向けの講習会を開催しています。すでに資格を取得し、更新を続けている社員が講師になって、次回の受験予定者に講義をしています。土曜日1 日を使って、試験までに10〜12回ほど開催しています。そのほか、テキストを用意し、各自で勉強しています。

具体的にはどのように勉強しましたか。

豊留 講義は事例やサンプルを使うなど工夫されており、分かりやすいものでした。さらに、前回のおさらいとして毎回小テストがあるので、各自勉強しないといけないような仕組みになっていました。点数が悪いと周囲の目も気になりますから、これでモチベーションを保つことができました。結果的にDTP エキスパートは1 回の受験で合格できました。営業として日常的に制作現場とのやり取りを行うので、専門的な用語も使うし、知識がなければ対応できません。DTP エキスパートの勉強を通じて、実務的な知識の幅も、深さも格段に進歩しました。

村田 営業部門では、新入社員にDTP エキスパートの教育を行い、2 年目に受験します。名刺にDTP エキスパートという文字があることで、確実に得意先の信頼感はプラスになります。

クロスメディアエキスパート(以下、CME)にも取り組むのはどのような必要性からですか。

村田 経営層の危機感が反映されています。クロスメディア関連の引き合いがあっても、提案力が弱いので受注できないということがありました。他社は資格受験を通じて理論武装し、いろいろな提案を仕掛けてくる。何もしなければ、どんどん遅れてしまうだけです。
CME に挑戦することで、勉強し、知識を得て自信が持てるようにしたかったのです。社内ではCME の講師役がいないため、JAGAT の講師の影山史枝先生に依頼しました。印刷業界の最新情報や関連知識、論述試験対策である提案について徹底的に指導を受けました。講習会を通じて、レベルアップすることができ、合格者を増やすことができました。

CME 試験に挑戦し、取得したことはどのように役立っていますか。

豊留 CME の論述試験、提案書の勉強は非常に役に立ちました。実務では提案書を書いたことがなかったため、初めて教わるようなことばかりでした。学科(選択式)試験は、試験分野の幅も広く最新知識が求められますが、身近なメディアに関することを改めて勉強する機会となりました。講習会を通じて、プレゼンテーションの方法も一から勉強できました。それまでは自己流で対応していましたが、クロスメディアの提案内容を考える際には論理の一貫性や裏付けを明確にすることが重要なのだと学びました。また現状分析やそれを受けて課題を設定するような手法を学ぶことができました。例えば「こういう問題があってこれを解決してほしい」と言われたときに、単にそれを解決するだけではなく、「問題の本質はこういうことではありませんか?」「もっとこうした方が良いのではありませんか?」のような話や提案ができるようになったことが成果です。

村田  ウェブやスマホなどのデジタルメディアの仕事は情報システム部門が中心で、今は規模も小さく、相談を受けてそれに応えるような形でしか機能していません。ただし、ウェブサイトのスマホ対応やレスポンシブ対応を実現するなど、やはり仕事は広がっています。お客様もいろいろと情報を仕入れて「こういうこともできるはず」とお話をいただきます。つまり、現状は、お客様からの要望があって初めて対応はします。そうではなく、こちらから紙媒体とデジタルメディアを連動するとこんな効果が見込めますなどの提案でビジネスに結び付けることが、今後の課題です。CME の試験は、まさにそのための勉強であり、役に立つと思っています。

CME 資格を取得して、何か変わったと感じることはありますか。

豊留 以前であれば、何か相談されても「ちょっと調べておきますね」という具合だったのが、その場で「それは私も注目しており、今勉強しています」のように答えられると、それだけでも「何かあったら、あかつきさんに相談すれば何とかなる」と思ってもらえるようになりました。そのため、最新の動きについては、もっと勉強しようと思っています。他社も、紙媒体と電子メディアの連動を提案し始めていますから、遅れを取るわけにはいきません。

会社全体のCME 取得状況や方針をお聞かせください。

村田 外勤の営業は約30 名で、約7 割がDTP エキスパートを取得していますが、新入社員を含め全員取得を目指しています。CME については45%が取得済みで、最終的には7 割程度を目指しています。価格ではなく、デジタルメディアや印刷を活用した、より魅力的な提案で競争を勝ち抜いていきたいと考えています。そのための最低限の知恵や知識を持つのがCME だと思っています。

豊留 すべてのお客様がデジタルメディアと印刷の連動を意識しているわけではありません。とはいえ、営業なら「もしかしたらお客様が気付いてないだけで、実はクロスメディア的なアプローチによって解決できるかもしれない」という視点を持っていなければいけないと考えています。依頼されたことだけを行うのではなく、こちらがお客様の問題点に気付いて提案することが重要だと思います。

村田 例えばお客様の担当者の年齢が高いと、どうしても従来どおりの紙での情報発信を中心に考えてしまいがちです。しかし、若い人にアピールするにはデジタルメディアは欠かせません。ウェブサイトやSNS の活用は進んでいないので、そのようところに当社がサポートできるようにしていく必要があると考えています。
そういう意味で、印刷物製造業としての設備投資も重要ですが、これからは人材教育に力を入れないとお客様のニーズには応えられないし、それは会社の業績に直結するという危機感を、経営側が持っています。CME 取得をはじめ将来の人材育成のために、人材ならびに人材教育に対しても投資していくという方針です。

(聞き手:CS 部 千葉 弘幸)
JAGAT info 2016年7月号より転載

DTPエキスパートカリキュラム改訂第12版公開

DTPエキスパートカリキュラム最新版(改訂第12版)を公開しました。
下記よりご覧いただけます。

DTPエキスパートカリキュラム第12版

次期第47期試験は、第12版を基に実施します。
第47期DTPエキスパート認証試験 受験案内

カリキュラム第12版改訂ポイント解説を含めた試験対策セミナー

【2017/1/18東京開催】「DTPエキスパートのポイント解説」認証試験・学科/課題制作対策講座
【2017/1/19大阪開催】「DTPエキスパート学科・課題制作対策講座」

コミュニケーションをデザインするエキスパート像

【有資格者寄稿】DTPエキスパートへの挑戦

広告・プロモーション関連会社勤務 佐々木 秀昭(第43期試験合格者)

現場への想いと資格取得の決意

私がDTPエキスパート認証試験を受験しようと思い立ったのは、昨年の1月半ばの事である。受験申請は既に始まっていたが、転職直後であり準備の時間もあと僅か。正直、迷いも不安も多かった。私は直前の12月に転職を果たしていた。どうしてもやりたいと思った事があった。それは『もう一度現場で技術を学びながら伝えたい』という想いだ。現場に戻り物作りに携わろうと思ったのだ。私の経歴は、商業印刷の製版に20年程携わっており自負出来るものだが、それを資格として裏付けるものとして業界でも名高い「DTPエキスパート認証試験(第43期)」を選んだ。そうして、会社からの有資格者歓迎という熱い要求も後押しとなり受験を決意したのである。

試験対策の模索と試験当日までの道のり

受験を決意したものの、どんな勉強をすれば良いのか?どんな対策を講じればよいのか?迷いに迷った。そこで、まずは直近に行われるこの業界のイベント「page2015 DTPエキスパート最新情報ガイダンス(無料)」に参加し話を聴いた。今回から軌道を修正して元の合格基準にするとのアナウンスと試験についてのポイントを知る事が出来た。ガイダンスの終了後に、講師の方にどんな対策があるかを尋ねると「有資格者とコミュニケーションをとるのが一番良い。受験する側と受験させる側では捉え方が異なる。」という大きなヒントを得られた。ガイダンスの中でもコミュニケーションの重要性は何度も取り上げられていた。幸いにも私の周囲には、DTPエキスパート有資格者が多く比較的相談し易い環境があった。だが、試験までの時間はあまり残されていない。内心で焦りながら、私は有資格者の先輩達に試験勉強対策を教えて欲しいとアドバイスをお願いした。すると、一番多く返って来た返答は「とにかく過去問題をやりぬく事」であった。

本を読んだりするよりも圧倒的に効果的だと私も思う。当時、ベテランの有資格者に拝借した「DTPエキスパート認証試験スーパーカリキュラム 第10版準拠」の巻末の模擬問題に挑戦した所、惨憺たる結果となり絶望の淵に追いやられたのである。一番の要因は問題数が多く、解答し切れないという事実がそこに大きく立ちはだかった。
前半200問、後半200問。各2時間で解かなければならない――。ベテランの彼らの代では前後半共に各350問だったと聞き、少しだけ安堵したのを覚えている。残り一カ月でこの問題数をこなすスピード感が重要だという事を思い知ったのである。幸いにも私は有資格者の先輩方から、過去問題集を拝借する事が叶い数回分の模試が可能となった。あとは受験日までの勝負である。時間を計り問題数をこなす。マーカー式なので、なるべく早く塗りつぶせるように濃いめで芯のやわらかい鉛筆を使用するという事も対策の一つとなった。塗っている間のストレスが軽減されること請け合いである。
ある程度のスピード感が備わり試験まであと数日と差し迫った頃、有資格者の先輩から解答率のバランスチェックについて指摘があったのを覚えている。苦手分野のチェックである。確かに毎回似たような問題を間違えたり勘違いしていたりで苦手な項目を見直す事となった。折角の答え合わせをしていながらグラフを作っていなかった事で、曖昧にしか見えていなかった事が響いた。本番では過去問題以外の問題も新設されるのだ。試験直前の数日間は間違えやすい問題を入念にチェックした。出来ればもっと早く対策したかったものである。
こうして、短期間の中でも有資格者の先輩方の協力のもと、反省しきりではあるが筆記試験は対策を講じる事がかろうじて可能になり、試験当日は全てのマークを埋める事が出来たのである。

現場でのフットワークを活かして実技試験に臨む

筆記試験直後は、頭に残る結果での自己採点ではあまり良く無く、実技試験へのやる気が起きなかった。だが、有資格者の先輩方から「課題を提出しない限り合格は無い。」と幾度となく叱咤激励を頂いた。協力してくれる先輩方に朗報を届けたいと奮起し直し、課題に取り組んだ。制作系は比較的得意ではあったが、その仕様や指示書は作った経験が殆どなかった。そこで、考えられる現場を想定して必要なものを用意する事にした。現場には現場である。各工程に携わる方々がどのようにスケジュールを組み、手配し、制作しているのか?有資格者の先輩方以外の声も指示書に落とし込んでいった。まとめ方は「課題制作の手引き」に従い、自己流ながらまとめていった。制作物も指示書も自分なりに納得できるものとなったのは、提出期限の前日であった――。

エキスパート認証者として決意を新たに

合格発表までは非常にもやもやした日が続き居心地がよく無かった。速報での確認は昼休みとなった。受験番号を確認しホッとしたのと同時に、今後の責任を感じ現在に至っている。その責任とは、社内は勿論だが社外においてもである。
良い印刷物を作り、その技術を共に学び伝え、もっと良くなる方法を現場全体で考えるチーム作りの一員としてのDTPエキスパートでありたいと私は願ってやまない。

【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[情報システム]4-11 デジタルメディア環境とビジネスモデル

デジタル技術とネットワークを組み合わせて、顧客に新たな利便性を提供する動きが活発化している。小ロット多品種化が急速に進む中、営業効率を上げるための手法としても有効である。例えば、Webを活用した入稿、プリフライト、画面校正、修正前後のデータ比較、などの機能を備えたWeb校正システムが普及しつつある。こうしたツールを利用しつつ、独自のサービスやビジネスモデルが生まれてきている。

4-11-1 Web to Print

  • Web to Printとは、Webブラウザーからデータエントリーや印刷指示を行い、印刷物を制作・納入するシステムや仕組み、およびビジネスの総称である。Web to Print を活用したさまざまなビジネスは世界各国で成長しているほか、国内でも急増している。
  • 代表的なモデルとして次のようなものがある。
    1) 印刷発注者がWebブラウザーからデータ入稿と印刷発注を行い、印刷物を制作するという形式のもの。
    印刷通販やデジタル印刷ビジネスの基盤として普及している。
    名刺や製造マニュアルなどのリピート発注において、発注側、受注側双方で大きな効率化が実現できる。
    2) 印刷発注者が、あらかじめ用意されたデザインテンプレートの中から気に入ったものを選択し、テキストや画像など自分の情報をオンラインで編集し、オーダーするというもの。はがき・年賀状、フォトアルバム、ブログ出版など対象はさまざまである。自動組版の機能を提供するサービスもある。

【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[情報システム]4-10 デジタルサイネージ

  • デジタルサイネージとは、ディスプレイやプロジェクターなどの装置を使用して表示や通信を行う電子看板システムの総称である。用途によって電子ポスターや電子POP、デジタル掲示板と呼ばれることもある。
  • 従来の看板やポスターとの最大の違いは、文字や静止画像だけでなく音声や動画を使用できること、また秒単位で表示内容を切り替えられることである。そのため、場所や時間に応じて、対象を絞った広告や告知、またリアルタイムの情報発信も可能であり、高い広告効果が期待できる。紙などの広告物やポスターと違い、貼り替えなどのコストや手間も発生しないというメリットもある。
  • ビルの壁面やショッピングセンター、駅、空港など、さまざまな場所に設置され活用されている。また、JR東日本のトレインチャンネルのような電車内広告ディスプレイとしての使用例もある。列車の運行情報を表示する画面と広告画面を並べ、認知度を高めている。時間帯に応じて広告内容を変更することや特定の駅に関する情報を発信することが可能であり、電車内広告はデジタルサイネージの適性が高いと言える。

【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[情報システム]4-9 デジタルデバイス

マルチデバイスの時代では、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などスクリーンデバイスの数が増え、複数のメディアを同時に利用するマルチスクリーン利用者が増えている。テレビやスマートフォン、タブレット端末などを複数併用しているため、同じコンテンツをさまざまなデバイスで見る機会が増えている。表示解像度がデバイスごとに異なるため、ブラウザーの横幅に対応して、表示レイアウトが変わる「レスポンシブWebデザイン」という考え方がある。

4-9-1 電子書籍

  • 電子書籍の表現方法を大別するとリフロー型、固定レイアウト(フィックス)型、プログラム型がある。リフロー型は端末サイズや文字サイズによって文字がリフローする方式である。
  • 固定レイアウト(フィックス)型は固定した誌面を元にしたものである。レイアウト重視の雑誌などを電子書籍化する方法として、普及している。
  • プログラム型はAppleのApp Storeで販売されるようなアプリケーションに準拠した形式を指す。著作権管理や課金が比較的容易であるという特徴を持つ。

4-9-2 スマートフォン

  • インターネットとの親和性が高く、パソコンの機能を併せ持つ携帯電話はスマートフォンと呼ばれている。
  • 2016年時点の代表的な機種には、iOSやAndroidなどのモバイルOSが搭載されたものがある。利用者自身がソフトウェア(アプリ)を追加することで、自由にカスタマイズできることが特徴である。
  • 一般的なスマートフォンでは、通信回線や無線LAN(Wi-Fi)を通じてインターネットに容易にアクセスすることができ、また比較的大きな画面やカメラ、ソフトウェアキーボードなどを搭載しており、電子メールの送受信、Webブラウザー、写真・ビデオ・音楽の撮影や再生、ゲームや電子書籍などさまざまな機能を利用することができる。また、GPSを搭載した機種では、地図ソフトや経路案内などの位置情報サービスを利用することもできる。
  • 2016年時点において、国内では幅広く普及しており、携帯端末の大半を占めるようになっている。
  • スマートフォンの普及によって、誰もが、いつでもどこでもインターネットにアクセスできる環境が成立した。そのため、ネットショッピングの拡大やSNSやソーシャルゲームの流行、電子書籍の普及、ビジネスでの活用など社会生活全般への影響も大きくなっている。

4-9-3 タブレットPC

  • タブレットPC(タブレット端末)とは、板状のオールインワン・コンピューターを表す名称である。スレートPCと呼ばれることもある。
  • 2010年、AppleはモバイルOSであるiOSを搭載したiPadを発売した。スマートフォンのように小型画面ではなく10インチ前後の画面を持っていること、スマートフォンから電話機能を取り外したものとなっている。PCと違い起動が早いこと、通常のPCより低価格で通信まで可能な一体型であること、さらにタッチパネルを搭載し、直感的なUIを持つことから、幼児や高齢者にも簡単に利用できることが特徴である。
  • Webブラウザーや動画などデジタルメディアプレーヤーとしての位置付け、ネットブックなどの小型PCに置き換わるもの、ゲーム端末、電子書籍(雑誌)リーダーなどの利用が進んでいる。ビジネス用途でも携帯可能な電子カタログやプレゼン端末
  • 、電子マニュアルなどの利用が急速に普及している。電子教科書や通信教育などの教育分野でも注目されており、さまざまな利用方法が模索されている。

  • 電子カタログやプレゼン端末、電子マニュアルなどを目的に企業内で一括導入されるケースも増えている。
  • 世界のPC出荷台数は2012年頃から減少傾向となっており、主な要因としてタブレットやスマートフォンとの競合の影響と指摘されることが多い。

【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[情報システム]4-8 コンテンツ管理

Webや電子書籍への転用など、印刷物で使用するコンテンツの複数メディアへの展開を当初より想定したデータ管理やワークフロー設計の重要性が増している。今後は、さらに動画、音声などの要素も含めて一元的に扱うマルチメディア対応などが想定される。

4-8-1 ワンソースマルチユース

  • 印刷用データを基に、各種記録メディアやインターネットメディアといった異なるメディアへのコンテンツ展開が行われる。
  • 印刷用に加工されたデータを他媒体へ展開するには、データの再加工を行わなければならず、工数の増大につながる。
  • 印刷用データにおけるサイズや書体指定のような情報を保持せず、印刷メディアやインターネットメディア向けといった、複数メディアへの出力を想定した共有または共通データの作成を求められることがある。
  • 最終的に出力されるメディアを構成する情報をデータベース化し、出力メディアに合わせた検索を行い、データ抽出後に自動的にレイアウトするマルチメディア対応のデータベースが活用されている。
  • 共有または共通データのデータベース化は、情報のメディアミックス展開の際にも有効な資産となる。

4-8-2 CMS(Contents Management System)

  • CMSとは、コンテンツを管理するシステムを指す。
  • 広義では、組織で使用する文書を効率的に管理するためのシステムやソフトウェアを指す。
  • 狭義では、Webコンテンツを構成するテキストや画像、音声、動画などのデジタル素材を体系的に管理し、配信処理などを行うシステムの総称を指す。
  • コンテンツのテンプレートをデータベースに登録し、条件に従いXMLやCSS、XSLなどを用い、テキストデータや画像とともにWebサイトや紙メディアのページを自動生成する仕組みを構築することが可能である。