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【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[DTP]1-3 印刷物

1-3-1 企画

  • 印刷物を制作するにあたっては必ず目的と用途がある。これらに基づいて制作のプロセスが進行する。

➢ 設計

  • レイアウトの基本設計は企画コンセプトによって決定される。コンセプトに基づいて全体の構成や写真の配置、色使い、見出しや文字の大きさ、書体などを決めていく。また、組版の禁則処理や校正など、印刷物を製作するにあたって必要なルールを知っておく必要がある。

1-3-2 原稿

  • 原稿には大きく分けて、写真などの階調原稿と、文字・図版などの原稿がある。

1-3-3 印刷物のサイズと用紙

  • 印刷用紙のサイズには、「原紙寸法」と「紙加工仕上り寸法」の2つがある。
  • 原紙は、印刷や製本を経た後に、仕上りサイズに加工される。
  • JISの規格となっている「原紙寸法」には、
     ・四六判(788×1,091mm)
     ・B列本判(765×1,085mm)
     ・菊判(636×939mm)
     ・A列本判(625×880mm)
     ・ハトロン判(900×1,200mm)
    の5つがあり、名称についてはJISにより規格化されている。
  • 原紙サイズを1/2(半裁:はんさい)、または、1/4(四裁:よんさい)に裁ってから印刷することもあるため、元のサイズを便宜上「全判」と呼ぶのが一般的である。
     ・A列本判=A全判
     ・B列本判=B全判
     ・菊判=菊全判
     ・四六判=四六全判
    また、JIS規格ではないが、A倍判やB倍判などといった、大きなサイズの原紙もある。
  • 仕上り寸法がA列の場合は、「A列本判」や「菊判」の原紙を使用することが多い。B列の場合も同様に、「B列本判」や「四六判」の原紙を使用することが多い。原紙サイズで印刷した後に仕上げ段階で余分な部分を断裁して仕上げるのが一般的である。
  • 印刷物のサイズは仕上り寸法であり、A1のサイズは841×594mm、B1のサイズは1,030×728mmである。一般的には印刷物の仕上りサイズは、倍判や全判の長辺を何度か2分割したものとするのが原則である。短辺と長辺の比率は、1:√2の関係である。A5は原紙を4回分割したもの(サイズは、210×148mm)であり、原紙から16枚とれる。
  • 規格外の仕上り寸法が使用されることも多く、新書のサイズは182×103mmであり、B列本判から40枚とれる。AB判のサイズが257×210mmであるように、特殊な寸法は紙の無駄となる考えから、変形サイズであっても原紙や印刷を考慮して定められたサイズが使用されることが多い。このほか、148×100mmのハガキや、他の規格、慣例的に定められたサイズに則り、印刷物は設計される。

1-3-4 印刷用紙の選択

  • 印刷物の品質は、印刷方式や用紙などの条件により、大きく左右される。
  • 発色については、紙質の影響を受ける。印刷面に光沢をもたせるときは、塗工紙であるアート系やコート系の用紙を使用する。アート系やコート系の用紙は、カラー印刷物の場合、濃度が高くなり、彩度が高く感じられる。表面が粗く、乱反射を起こす用紙は、濃度が低くなる可能性が高い。また印刷物の発色には、紙の白色度が大きな影響を与える。

➢ 上質紙

  • 上質紙は四六判で55~90kg程度のものが本文用紙として使用される。
  • 紙質として淡いクリーム色の上質紙は、「裏ヌケ」が目立たず好まれる傾向がある。
  • 色上質紙は、「扉」や「見返し」に使用されることが多く、名称が同一であっても製造元によって色合いが異なる。
  • 色上質紙を分類する厚さの種類は、「特薄」や「特厚」といった名称で呼ばれ、連量表示とは異なる。

➢ ファンシーペーパー

  • 表紙用として、装飾性のある「ファンシーペーパー」が使用されることがある。
  • 「ファンシーペーパー」は、四六判のみが提供されているものが多く、連量も限定されている。

1-3-5 印刷用紙と光源

  • 光源は種類により、含まれる波長とエネルギーが異なる。したがって、用紙上の色材の色の見え方に影響を与えることがある。印刷の色評価を行うためには標準光源の下で観察することが求められる。
  • 用紙上の色材の色は、用紙自体の色、平滑性、吸油度、蛍光物質などの塗工材特性の影響を受ける。

【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[DTP]1-8 画像

連続的に濃度が変化する画像や線画などの図版のデータ形式や扱い方などについて理解する。

1-8-1 デジタル化

  • 連続的に濃度が変化する画像をデジタル化する場合、画像を一定の間隔で最小の単位(画素=pixel)に分割し、各画素に対する平均の濃度を求める。これをサンプリング(標本化)という。
  • 各画素あたりの濃度の情報は、本来連続的に変化しているものを、一定数の段階に分けて処理する。これを量子化という。10ビットなら1024段階、8ビットなら256段階で量子化が行われる。
  • dpiとはdot(s) per inchの略で、レーザープロッターなどラスターイメージをドット単位で出力する際の露光の密度を表す。
  • ppiとはpixel (pels) per inchの略で、スキャナーでアナログの画像をデジタル化する際の画素のサンプリング密度を表す。
  • lpiとはline(s) per inchの略で、アナログのfaxのようなラスター信号を扱う場合やスクリーン線数を表す。

1-8-2 ビットマップデータ

  • ビットマップデータとは、ピクセルの集まりで構成されたデータのことで、ソフトウェアによりビットマップを生成し、そのビットイメージをディスプレイや出力装置に送り、画面表示や出力を行う。

➢ デジタルカメラ

  • 写真原稿の入稿はデジタルカメラ撮影によるデータ入稿が主流となっている。
  • デジタルカメラによる撮影では、事前に品質保証や要求品質にどのように応えるかなど、画像の要求仕様を整理しておくことが重要である。
  • デジタルカメラの撮影では、ピントさえきちんと合っていれば後工程でPhotoshopなどを使った画像処理で好みの画像に修正する自由度がアナログカメラなどよりは高い。ただし、色作り絵作りなどはアナログにはないデジタルカメラ独特の構造に依存するものもあるので注意が必要である。
  • デジタルカメラのデータ形式は、規格化されたフォーマットのデータと、CCD/C-MOSなどから出力された生のデータであるRAWデータがある。RAWデータとは、未現像の生フィルムのようなものであり、現像処理結果はソフトウェアにより異なるため、印刷原稿としては適していない。色演出一切を任されているカラーコーディネーターやフォトデザイナー(通称レタッチャー)への入稿の場合に、RAWデータが使われることがある。

➢ スキャニングデータ

  • 写真原稿などをDTPで扱う場合、スキャニングしてデジタルデータ化する。
  • スキャナーで入力する原稿は大きく分けて透過原稿と反射原稿がある。透過原稿の多くはカラーリバーサルなどポジ原稿であるが、反射原稿はカラーの印画紙をはじめ各種イラスト原画、印刷物、プリンター出力物など多岐にわたる。

➢ 解像度

  • 画像システムがどれだけ詳細に画像を再生できるかを表すのが解像度である。解像度が高ければ、再生される画像は細密になる。
  • 本来の解像とは、万線がベタにならない状態を指すが、デジタルシステムではピクセルの配置密度と同義に使われる。
  • デジタル画像は必要以上に精細にデータ化すると、作業効率が落ち、逆に出力に対して粗い設定になると、品質が著しくそこなわれる。そのため一般に出力に必要な大きさや解像度から逆算してスキャニングする。カラー画像をスキャニングする際に、仕上がりの画像で、解像度が300~350dpiあることが望まれる。

➢ 画像フォーマット

  • 濃度変化のある画像をデータ化するには、濃度レベルの段階数とその表現方法、記録する方向、画像の大きさその他の形式を決定しておく。
  • 画像データをファイルに書き出す場合には、画像データの形式とファイルフォーマットを選定する。
  • 図形と画像のフォーマットは、パソコンのようなプラットフォーム側が定めたPICTや、アプリケーションソフトが定めたTIFF、出力側が定めたPostScript / EPS、情報規格であるJPEG、そのほかそれぞれの分野での主流のものなどが混在している。

➢ レタッチ

  • 画像の調子や色調、ゴミやキズなど不要物の除去などを部分的に修正することをレタッチという。スキャナーで画像をデータ化するときに失われた情報やデジタルカメラで再現領域の狭い撮影モードで撮影して失われた領域外の情報は、後のレタッチでは回復できない。しかし、豊富に情報をもった画像データに対しては、色変更、シャープネス、ボケ、合成などの加工ができる。写真に対する基本的な調子や色調の修正と、絵柄ごとに常識的な色演出の方法があることを理解しておく。
  • よく見受けられる代表的な絵柄については、それらしい色や調子として認知されている記憶色(あるいはプリーズカラー)を意識してレタッチする。
    ・ガンマ補正:
    ガンマ曲線つまり入出力の関係を変化させて画像の濃淡を修正することにより、明るさ、調子、色のバランスなどを調整する。
    ・トーンカーブ:
    画像のどの濃度域に階調を豊富にもたせるか、どの濃度域を圧縮するかなどの調整をする。
    ・濃度ヒストグラム:
    濃度域の最少から最大を軸として、サンプリングされた画素の数を棒グラフ上に示した濃度ヒストグラムを用い、画像タイプを把握し、レベル補正やハイライトポイント、シャドーポイントなどを調整する。
    ・フィルター処理:
    画像データを構成する個々の画素に、周辺の画素との間で演算を行って、画像にぼかしやシャープネスなどの特殊効果を与える。
    ・合成:
    写真類や色面などを隣り合わせに配置するとき、境目がないようにぴったりくっつけてレイアウトすることを指す。
    色文字と色の図版が重なる場合、色文字を上に乗せる「ノセ」にせず、下の色を文字の形にくり抜いてから乗せる、抜き合わせ(ノックアウト)を髪の毛ほどの隙間もないほど正確に合わせることから「毛抜きあわせ」と呼ぶ。
    対して墨文字などの場合は、下地はそのままにして墨文字を重ねる墨ノセ(オーバープリント)が行われる。

1-8-3 ベクターデータ

  • ベクターデータとは、座標値と直線・曲線を定義する式から構成されるデータである。自由曲線の定義方法にはスプライン、ベジェなどがある。図形データのフォーマットには、WMF、EPS、DXF、SVGなどがある。

➢ スプライン曲線

  • スプライン曲線とは、指定した点をスプライン(自在定規の意味)関数を使って滑らかな曲線で結んで曲線を表現する。作図で用いられるものは、主に二次あるいは三次のスプライン曲線である。二次と三次は制御点を通らず、避けるようにして曲線を作り出すのを特長とする。
  • ベジェ曲線ほど操作の自由度は高くないが、すべての点が曲線上に位置するため、ベジェ曲線よりはコンピューターの演算処理が簡単になる。

➢ ベジェ曲線

  • 三次ベジェ曲線では、始点と終点およびその間に2つの制御点を指定する。制御点は曲線の外側にあり、これを移動させることにより曲線を変化させられる。任意の自由曲線が制御点の移動で描け、また一度描かれた曲線の変更が容易であるのが特徴である。
  • PostScriptでは、文字と図形の基本を直線と三次ベジェ曲線で表している。

【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[DTP]1.2 環境

1-2-1 ハードウェア

  • DTPで最低限必要なハードウェアは、入力機器および編集機器、出力機器である。入力機器としては「キーボード」、「マウス」、「カメラ」、「スキャナー」、編集機器としては「コンピューター(パソコン)」、出力機器としては「ディスプレイ」や「プリンター」が挙げられる。作業環境により、さまざまな組み合わせが想定される。

1-2-2 ソフトウェア

  • コンピューターでさまざまなアプリケーションを動作させるには、Appleの「OS X」やMicrosoftの「Windows」など、OSが必要になる。
  • さらに、印刷物の素材である「文字」、写真や図表などの「画像」を処理するソフトウェアや、素材のレイアウトを行うソフトウェアが必要である。
  • 「文字」については、テキストデータ作成が基本となるため、OSに付属している「テキストエディット」や「メモ帳」のほか、さまざまなテキストエディターやワードプロセッサーなどのソフトウェアが利用される。
  • 代表的なソフトウェアとして、画像処理(ビットマップデータの処理)ではAdobeの「Photoshop」、イラストや図表といったベクターデータの作成や、端物のレイアウトでは、Adobeの「Illustrator」、頁物のレイアウトでは、Adobeの「InDesign」や、Quarkの「QuarkXPress」などが挙げられる。
  • このほか「フォント管理」や「データ圧縮解凍」、「PDFデータ作成」など、さまざまなソフトウェアが利用されている。

1-2-3 システム構成

➢ DTPシステム

  • DTPは、オープンなシステムとして発展した。さまざまなハードウェアやソフトウェアを利用するため、操作方法やデータ交換方法、業務効率、品質などに配慮し、システム設計を行うことで、個々のハードウェアやソフトウェアが持つ機能を有効に活用できる。
  • DTPシステムでは、ハードウェアやソフトウェアの選定、周辺機器とのインタフェースやネットワークへの接続、データベースの構築などが行われることがある。さらに、他のシステムとの連携が必要になる場合もある。

【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[DTP]1-7 文字

文字データを異なるプラットフォームで出力すると、文字化けではないが文字の形状が一致しない場合がある。「書体」「フォント」「字種」「字体」「字形(グリフ)」の区別など、文字の同異判定の基準を理解する。

1-7-1 書体

  • 書体とは、統一的な理念に基づいて制作された1組の文字、または記号のデザインであり、タイプフェース(typeface)と同義である。ある書体における文字の太さ、字幅、傾きなどのバリエーションの集合を書体ファミリーという。
  • 欧文書体は、中世後期のグーテンベルクの活字から、その後ローマ時代に作られたローマン体を活字に置き換えた書体を経て、今に至っている。印刷技術や出版の発展に伴って、また印刷物の用途に合わせて可読性、美術性、新規性などを工夫し、多くの書体が開発されている。
  • 和文書体は、中国の伝統的「書」に由来する筆書系、伝統的活字書体、庶民文化に由来する江戸文字、写植以降非常に増えたディスプレイ書体、日本独特の仮名書体など、多様な起源を持つ。

1-7-2 字体

  • 文字は、何らかの意味を表すものであり、その意味によって字種に分類される。異なる字種は、原則としてそれぞれ異なる字体を有する。しかし、異なる字種が同一の字体を有する場合も稀にある。これらは同形異字と呼ばれ、視覚的には区別することができない。
  • 1つの字種に複数の字体が併存していることがある。それらの字体はそれぞれ異なる字源から成立している場合もあるし、同じ字源から発生しながらその表現が歴史的・地理的に変化していった場合もある。字義、字音が等しい同一の字種でありながら、互いに異なる字体を有する文字を異体字と呼ぶ。異体字のなかで、規範として選ばれている字体を正字体と呼ぶ。

1-7-3 字形(グリフ)

  • 字形(じけい)とは文字の具体的な形状であり、書体やデザインの違いなど文字の視覚的な差異はすべて字形の違いとして捉えられる。図形文字、グリフ(glyph)と呼ばれることもある。

1-7-4 タイポグラフィー

  • タイポグラフィーは、古くは活版術のことであるが、広く印刷における文字組の視覚効果や体裁の総称として用いられている。
  • タイポグラフィーは、グラフィック素材としてテレビや映像メディアにも活きる技法である。欧米では、タイポグラフィーには書体の歴史的な発達や書体デザインの知識も含む。日本でも、縦/横組、和欧混植、かな混植など伝統的慣習的なスタイルが確立している。もともと正方形の漢字書体を縦にも横にも組むものとして日本のタイポグラフィーは発展した。

1-7-5 符号化文字集合

  • コンピューターは、文字をコード(符号)化して、その値で識別している。文字コードとは、たとえば日本語のある文字の範囲(文字セットという)の文字の1つずつに識別番号を割り振ったものであり、その一式を符号化文字集合という。
  • 異なるコンピューターシステム間での文字データの交換を可能にするために、基本となる文字セットの文字コードは標準化が行われている。文字コード系が異なれば、コード化している範囲もコード番号も異なる。
  • 入力や編集の各段階で、文字データを受け渡しする場合は、どのような文字コードを使用して作成されているかを慎重に確認する。
  • 標準化された主な文字コードには、ASCIIコード、JISコード、シフトJISコード、Unicodeなどがある。
  • JIS X 0208は情報交換用の2バイト符号化文字集合を規定する日本工業規格で、6,879図形文字を含んでいる。1978年にJIS C 6226として制定され、1983年、1990年および1997年に改正された。
  • JIS X 0213は、JIS X 0208:1997を拡張した日本語の符号化文字集合を規定する日本工業規格である。2000年に制定、2004年、2012年に改正された。
  • JIS X 0213は、JIS X 0208を拡張した規格でJIS X 0208の6,879字の図形文字の集合に4,354字が追加され、計11,233字の図形文字を規定している。JIS X 0208を包含し、第三・第四水準漢字などを加えた上位集合である。

➢ フォント

  • フォント (font) は、本来「同じサイズ、同じ書体デザインの一揃いの活字」を指す言葉であったが、現在ではコンピューター画面に表示したり、紙面に印刷するために利用される字形データの一式を意味している。金属活字と区別して、デジタルフォントと呼ばれることもある。
  • また、書体という言葉は、現在ではフォント(の使用ライセンス数)を数える単位としても用いられている。
  • フォントフォーマットの代表的なものにTrueTypeとOpenTypeがある。TrueTypeは、AppleとMicrosoftが共同で開発したフォントフォーマットで、パソコンOS側がラスタライズ機能を備え、画面表示やプリント出力を行う。その後、AdobeとMicrosoftが共同で開発したのがOpenTypeであり、異なるプラットフォーム間でのフォント利用やフォント管理の効率化が実現されている。
  • ラスタライズとは、アウトラインフォントを出力するときに、文字の描画線を定義したデータを、指定された文字サイズにして補正し、出力機器の解像度に合ったビットイメージに変換する処理を指す。

1-7-6 文書データ

➢ テキストデータ

  • 目に見える文字以外はスペースや改行、タブコードだけを使って構成されたファイルをプレーンテキストという。
  • プレーンテキストは異なるコンピューター環境や、異なるアプリケーションでも文字コンテンツが変わらないので、文章原稿データの整理の段階や原稿データの保存に使われているが、実質的にシフトJIS相当の字種しか扱えないという問題がある。

➢ PDF

  • PDFはPortable Document Format(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)の略称で、電子上の文書に関するファイルフォーマットである。特定の環境に左右されず、表現の再現性を確保しつつデジタル化された文書データとして利用することができる。
  • AdobeはPDF仕様を1993年より無償公開していた。2008年7月、国際標準化機構によってISO 32000-1として標準化された。
  • PDFはフォントの埋め込み(エンベット)、ICCプロファイルの埋め込みやプロファイルを参照した色変換を行うことができる。
  • PDFには、電子署名機能、コメント記入などが行える注釈(annotation)機能、パスワードと128ビット暗号化によるセキュリティ機能などが装備されている。
  • PDF/Xは、国際標準化機構によって規定されたグラフィックデータ交換を目的としたPDFのサブセットである。PDF/Xによるデータ入稿のもっとも大きな利点は、カラースペース、フォントや画像に関する規定が明確になっていることで、出力に関するトラブルを回避し信頼度が向上すること、またフォントやOS、アプリケーションのバージョン等、出力側の環境に依存しないことである。PDF/Xには、規格内容の追加により、PDF/X-1a、PDF/X-3、PDF/X-4など複数のバージョンがあるので、各バージョンの規格内容を把握し、印刷用データ受け渡しの際にどのバージョンに準拠したデータであるのかを確認する必要がある。
  • PDF/Aは、電子文書を長期保管用に作成、表示、および印刷するための仕様をISO規格として標準化したものである。またインタラクティブな交換に使用されるPDF/Eがある。

1-7-7 文字組版

  • 文章読解の妨げにならないように文字を配列する技術が組版である。DTPでは、ワープロに比べて、紙面設計の自在さや使用フォントの使い分けなどにより多様な組み方ができるため、紙面に表情をつけることができる。
  • 文字組版の要素には、組み(縦組み・横組み)、文字サイズ、書体、字送り、字詰、行間があり、それに加えて禁則処理、約物処理などを考慮して行う。
  • 日本語組版の基本的アルゴリズムは、JIS X 4051:2004「日本語文書の組版方法」に規定されている。
  • また、W3C(World Wide Web Consortium)は、2012年4月Requirements for Japanese Text Layout(日本語組版の要件)という技術ノートを英文、および日本語で発行した。JIS X 4051:2004の平易で実用的なガイドとして、世界的に参考にされている。

➢ 欧文組版

  • 欧文文字は、文字によって高さや幅が異なる。高さはいくつかの基準線に揃えられているが、各文字の幅は異なる。そのため、一定の字間で組むだけで、プロポーショナルな組版ができる。
  • 欧文では、文字はベースラインに揃うように設計され、また、アセンダライン、キャピタル(キャップ)ライン、ミーンライン、ディセンダラインという基準線をもつ。
  • 欧文組版では、ジャスティフィケーションは、①単語と単語の間のスペースを1行中で調整する、②1つの単語の字間をベタ組みではなく少し空けて調節する、③ハイフネーション処理をする、の順序で行う。ハイフンの位置はどこでもよいわけでなく、各国語別に異なるので各国語の辞書を参照する。
  • 欧文組版形式のひとつに、ジャスティフィケーションを行わないラグ組みがあり、一般的に本文組みの場合は、左揃えまたは右揃えの形式がある。

➢ 和欧混植

  • 和文ではフォントはセンターラインしか基準線がなく、一方欧文フォントはxハイトやディセンダが一定しないので、バランスのとれた書体選択に留意する必要がある。
  • 和文と欧文の間が接近しすぎるとき、また欧文のセット幅が異なるため行長に端数が生じる。

【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[DTP]1-5 グラフィックデザイン

  • グラフィックデザインとは、印刷物制作における視覚表現の計画および技術をいう。企画および編集方針に従い、一貫した外装および内装の視覚演出構成を行う。
  • グラフィックデザインは、1つのページの紙面だけでなく、前後のページとのつながりを含めた表現を扱うものであり、Webページなど紙メディア以外のメディアのコンテンツ構成やデザインにもつながる基本技能である。

1-5-1 エディトリアルデザイン

情報やメッセージを他者に伝えるためには、人間の感覚による認識の多くを占める視覚に訴えることが有効である。情報をより正確かつ効果的に伝えるために、情報の視覚化をさまざまな素材や手法を駆使して具現化することがエディトリアルデザインである。

➢ レイアウトデザイン

  • レイアウトデザインの役目は、文字や図版など要素の配置、組み合わせによってある印象を演出することである。
  • レイアウトデザインは、誰に向けてどのような情報を伝えるためにどのように視線を誘導するかという意図をベースに行い、偶然に頼るのではなく、グラフィックデザインの系統的な展開法を学んで活用する必要がある。

【代表的レイアウト手法】

  • シンメトリー:左右対称な構図はバランスのとれた安定感のある印象を与える。
  • アシンメトリー:非対称の構図をあえて採用することにより、斬新な印象になる。
  • ムーブマン:静止している平面の中に動きを感じさせる表現のことであり、方向性が備わっている要素を用いたり、遠近や時間経過をイメージさせる配置をしたりすることで効果を演出する。
  • 整列:複数の要素をある基準線を設けて揃えて配置することにより、視線を誘導し情報を認識しやすくするとともに、統一感・安心感を与える。
  • バランス:要素の大きさ、配置、色などにより、紙面上の均衡を保つ。
  • リズム:要素の連続・繰り返しにより軽やかで心地よいテンポを感じさせる。
  • 破調:一定のリズムやバランスがとれている状態の一部をあえて破壊する、またはアクセントをつけることにより、メリハリや深みを演出し、視線を惹きつける。
  • 量感:色や写真、字形や書体などの複合的要素により、体積や容積、重さから実在感、立体感などを感じさせる。
  • 黄金比:約1対1.618の比率で描かれた長方形は、そこから正方形を除いても常に同じ縦横比となる。この比率は最も安定した形状を作るとされる。
  • ルート比率・白銀比:辺の長さが1対√2の比率の長方形は、長辺を半分に分割しても常に同じ縦横比になる。A判、B判の用紙はルート比率になっている。
  • ホワイトスペース:デザイン的必然性を持って設けられる紙面上の何もコンテンツの置かれていない部分をいう。
  • ジャンプ率:紙面を構成する要素の大小差のことをいい、メリハリや訴求効果、平易で落ち着いた印象などをコントロールする。
  • 配色:目的に合わせて色を配置することであり、紙面デザインにおいては、ターゲットと内容を理解し、色のもつ心理的効果なども踏まえて効果的に用いる。色合いを示す「色相」、鮮やかさを表す「彩度」、明るさを表す「明度」の三属性を人間の感覚で等間隔に分割し表現したマンセル表色系などを用いて調整を検討する。
  • 視線誘導:情報を効果的に伝えるためには、読み手の「目の流れ」を意識する。目の流れの原則は、横組みの場合は左上から右下へ、縦組みの場合は右上から左下へという流れが大原則となる。
  • アイキャッチ:誘目性の高い素材により読み手に興味を持たせる。またどの素材から視線を誘導したいか、情報の優先順位をつける役割として用いる場合もある。

➢ グリッドレイアウト

  • 活版印刷時代の画一的な紙面レイアウトに対して、非対称なグリッドをベースにした印刷紙面制作の考え方がバウハウスとともに出現し、デザイナーが最初にレイアウトを作成するという流れが生まれた。
  • グリッドはデザインを簡単に反復できる機能をもち、作業者が異なったり、作業する時間が異なったりしていても複数の紙面を同じように見せることができる。
  • 同じ考えのグリッドをベースにすれば、サイズや印刷様式、色などが異なる多様な印刷物において、例えば1つの会社の「コーポレートアイデンティティー」といった様式や意匠を維持させることができる。
  • グリッドをベースに、本文テキストとイラストや写真、見出し文字を整列させてかっちりしたイメージにすると同時に一部を強調することで読者の理解の一助となる。

➢ ユニバーサルデザイン

  • ユニバーサルデザインとは、すべての人のためのデザインを意味し、国籍や年齢、障害・能力の如何にかかわらず利用できるようなデザインを目指すものである。
  • ユニバーサルデザインは、(1)公平性(2)自由度(3)単純性(4)わかりやすさ(5)安全性(6)省体力(7)スペースの確保、などの考え方が基本となっている。
  • ユニバーサルデザインで特に重要なのは、視認性や判読性、デザイン性、可読性である。
  • 年齢による視覚感度の低下や色弱者に配慮したカラーユニバーサルデザイン、言語に依存せずに情報や注意を示すピクトグラム(「絵文字」「絵単語」)などの視覚記号、読みやすさやシンプルさを考慮したUDフォント(ユニバーサルデザインフォント)の使用なども有用である。

1-5-2 造本設計

  • 印刷物の仕様全般を計画し設計することを造本設計という。印刷物の意図や目的に基づき、印刷物の判型、色数、製本形式、つきものなどの仕様を設計する。
  • 印刷物の形状仕様とともに、版面やノンブル、柱、頭注、脚注など余白部分に組み込まれる要素とそのスタイルも決める。
  • 判型、組方向、本文文字サイズ、行間、1行の字詰め、1ページの行数は相互に関係しているので、目的に合わせてそれらのバランスを見つけるのが紙面の基本デザインで、エディトリアルデザインの一部である。

1-5-3 紙面設計

  • 紙面設計とは、造本設計を基に各紙面(頁)を構成する要素をどのように配置(レイアウト)するかを定めることである。
  • 造本コンセプトに沿ったレイアウトデザインを決め、各ページが統一されたイメージを与えるように各要素のレイアウトフォーマットを定める。

➢ 版面

  • 読み手は視覚表現物を見るときに、同時にその周囲も目にしている。よってより読みやすく美しく見せるには、対象物とその周囲の比率についても考慮すべきである。紙面に占める版面の比率を版面率といい、版面率は読みやすさや読み手に与える印象に影響を及ぼす。
  • 小口の余白は製本のズレがめだちやすいのであまり小さくできないことに注意する。
  • 書籍の版面とは、1つのページの中で文字や図版などの印刷面が占有する部分のことで、本文部分の各ページの版面は同一である。また、左右両方のページを1つの図版として捉えるため、仕上がり判型に対して版面が中央に位置していることは稀である。
  • マージンと版面の取り方には諸説あるが、判型に対する伝統的な書籍の体裁はノドあきが一番狭く、次に天、小口、地の順となるのが一般的である。

➢ 段組み

  • 複数段を設定して本文を分割することで、書体や文字サイズ、行間や行長、段間などの相関関係により紙面のイメージや読みやすさに効果をもたらす。

➢ 文字組み

  • 版面の内側で基本組体裁に必要な各種要素の値を決める。まず組方向や段数、書体を決め、多段組の場合には段間を設定する。次に行長や字詰めを決める。
  • 行長や字詰めと相互に関連しているのは文字サイズである。可読性という点で横組よりも縦組の方が行長を長くとることができる。
  • 行と行の間は一般に文字サイズの25%~100%程度あける。文字サイズと行間を足したものが行送りである。視線の移動を容易にするために、行長に従い相対的に行間を大きくとる。
  • 情報を伝えるための要素として可読性などに配慮するだけでなく、ビジュアルの要素として書体が持つ表現力による紙面イメージづくりにも配慮する。レイアウトフォーマットを作成するにあたっては、文字組の視覚効果や体裁を踏まえて、情報内容および表現力を考慮した一貫性のある文字スタイル設定が重要となる。

➢ 写真

  • 配置のしかたにより紙面の印象や表現力に影響するので、目的に応じた効果的な配置を考慮する。
  • 紙面構成によっては、写真の構図や印象がデザインを左右する場合もある。写真素材の扱い方に加えて基本 的な撮影の知識まで把握し、配置したい写真の撮影絵柄について指示が出せるとより効果的なデザインが可能となる。

➢ 裁ち落とし

  • 写真を紙面の端いっぱいに配置することにより、裁ち落とされた外側の見えない部分までイメージを広げさせる効果がある。裁ち落とし写真を使用する際には、紙面の外側の塗り足し部分まで写真をのばしておく必要がある。

➢ 全面写真

  • 天地左右すべてを裁ち落とし、紙面全体に1枚の写真を配置することにより、大きなインパクトを与える効果がある。

➢ 図表

  • 情報を図表化することにより、時間の経過や数値をビジュアル化して直感的に伝えることができる。さらに、分類・整理して検索性を高めたり概念やつながりをよりわかりやすく表現することもできる。このような効果的な表現に加えて、紙面にアクセントをつける役割も果たす。

【DTPキーワード】デジタルカメラの撮影

デジタルカメラは、銀塩カメラと基本的には構造が同じで、アナログのフィルムの代わりにCCD またはC-MOS といった撮像素子を使う。
デジタルカメラは使用用途に区分すると、コンシューマ用のレンズ交換が不可能なコンパクトデジタルカメラ、レンズ交換が可能なデジタル一眼レフカメラ、それより大型な撮像素子をデジタルバックとして使う中判デジタルカメラなどがある。最近、ファインダーを除いてその構造上必要であったミラーを排したミラーレス一眼カメラも台頭してきた。ファインダーの代わりに本体背面に付いている液晶ディスプレイで画像の確認をする。
デジタルカメラの撮影は、光源の色温度に注意を払わなくてはならない。光源の色温度の変化に対して、ホワイトバランスを調整して白い被写体が白くなるようにする。
撮影の手法として、メインの被写体にピントをしっかり合わせて、不要な部分はぼかすということも必要である。これにはレンズの被写界深度特性を利用する。
デジタルカメラの被写界深度は、一般に、レンズの焦点距離、絞り、許容錯乱円の大きさに依存する。
コンパクトデジタルカメラの場合、小型で気軽に失敗しない撮影を前提に設計されているのでレンズ焦点距離が短いレンズを使用している。そのため全体にピントが合うため、被写界深度が深く、奥行き感やボケを生かしにくい。撮像素子のサイズによって被写界深度が変わるのではなく、同一画角を得るために使用するレンズの焦点距離が撮像素子のサイズにより変わるため被写界深度に違いが出る。
デジタルカメラでは、一般的に撮像素子の画素数が多いほど、解像度が高いきめ細やかな画像を得ることができる。同じ画素数であれば、大きな撮像素子の方が1 画素当たりの面積(ピクセルサイズ)が大きいのでその表現力は優位である。
撮像素子が小さければ、1 画素当たりの光を取り込める量は少なくなり、感度は低くなる。また、画素数が多くなれば多くなるほど1 画素当たりの光を取り込める量は少なくなり感度は低くなるので、「画素数が多い=高画質」というわけではない。そのため画素数の多さと同様に撮像素子の大きさも画質を決める上で重要になる。
大きな撮像素子のメリットは、ダイナミックレンジが広いので、取り込む情報量の多さから白飛びや黒潰れが抑えられ、表現の豊かな撮影が可能である。
受光面積が広いので感度を上げてもノイズが少なく画質劣化が少ない。また、ぼけを利用した撮影が可能
である。

CCD(シーシーディー)[Charge Coupled Device]

光の情報を電気信号に変換する半導体素子。この変換を光電変換と呼ぶ。デジタルカメラ、スキャナー、ファクシミリなどに使用されており、光を電気に変換する受光素子(画素)を複数個並べ、光の変化を画素ごとに独立して電気信号に変換する。そのため、CCDの画素数が多いほど画像は精密になる。

C-MOS(シーモス)

[Complementary Metal-Oxide Semiconductor]
相補型金属酸化膜半導体。2 種類のMOS FET と呼ばれるトランジスタをペアで使用する。MOS とは、金属と酸化物、半導体という3 種類の物質を重ね合わせた構造を持つ素子。CCD とCMOS では画像データを読み出す方式が異なり、CCD は電気信号を順次送りだし最後に増幅するのに対して、CMOS は1 画素ごとにアンプ(電荷を電気信号に変える変換器)が付いており、画素ごとに信号を増幅して読み取るため、素早い読み出しと省電力化、小型化が可能である。

ミラーレス一眼カメラ[Mirrorless interchangeable-lens camera]

2008 年10 月にパナソニックが世界初のミラーレス一眼「LUMIX DCM-G1」を発売。反射鏡を用いた光学式ファインダーを使わずに、電子ビューファインダーや液晶ディスプレイを通して像を確認する仕組み。反射鏡のタイプは実像を直接見ているためシャッターチャンスの反応性が良い。被写界深度のプレビューはファインダー像が暗くなり実際の撮影画像とボケ具合には差が生じる。ミラーレスタイプは実像を画像処理をしているため多少時間がかかる。一方被写界深度の確認は正確にできる。また、物理的な鏡がないためボディは薄型化が可能である。

被写界深度[depth of field]

ある距離の被写体にピントを合わせた場合、その前後の被写体についても鮮鋭な像を結ぶ範囲。レンズの焦点距離が短いほど、また絞りを絞り込むほど被写界深度は深くなる。

焦点距離[focal length ; distance]

レンズの中心からその焦点までの距離。焦点距離はf(小文字)値で表す。小学校の理科の実験で虫めがねに太陽光を入射させると、光軸の先で光の束が一点に集光する点がある。この光の集まる点に黒い紙を持っていくと紙が焦げてしまい、この” 焦げる点” が文字通り” 焦点” ということになる。焦点はカメラでいうところのCCD 面に当たりレンズからCCD までの距離を焦点距離(focal length)と呼ぶ。つまりレンズのf 値とは焦点距離“focal length” の頭文字「f」をとってf 値○○mm と呼ぶ。

絞り[aperture ; diaphragm]

絞りとはレンズに入ってくる光の穴の大きさを開いたり閉じたり調整すること。絞りには値があり、F(大文字)値やFナンバーと呼ばれる。

絞り値[F-number]

計算しやすいようにF 値を√ 2 の2 乗ずつ増やしていくと(段)F1.4(√ 2)、F2(√ 4)、F2.8(√ 8)、…となり、光量は1/2 倍、1/4 倍、1/8倍、と暗くなっていく。絞りとシャッター速度は相反する絞り込むと暗くなりシャッター速度を遅くすることで光を取り込む時間を長くする。逆に開くと明るくなり、シャッター速度を速めて光を取り込む時間を少なくする。この組み合わせで被写界深度などが異なる。

許容錯乱円[Permissible circle of confusion]

ピントが合っている位置にある「点」は、撮像素子上で「点」に写る。しかしピントの合う前後では撮像素子上ではボケて円になる。この円を錯乱円という。
しかし極小円は人の目には点に見える可能性があるため、ぎりぎり点に見えるときの錯乱円の大きさ(直径)を、許容錯乱円径といい、単位をmmで表す。

有限会社 セネカ
代表取締役
野尻 研一
(Jagat info 2015年月7号より転載)

2016年8月21日実施試験合格発表掲載予定日

第46期DTPエキスパート/第22期クロスメディアエキスパートの合格者の受験番号は、

2016年10月28日(金) 9:00

に掲載予定です。

発表まで今しばらくお待ちください。

JAGAT資格制度事務局

リンク

第46期DTPエキスパート認証試験/第22期クロスメディアエキスパート認証試験は、10月末の合格発表予定です。発表に先立ち、今期試験の傾向をまとめました。
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【DTPキーワード】出版印刷物

出版印刷物とは雑誌、書籍などの多ページの印刷物(ページもの印刷物)を指す。
多量の文字を主体とした印刷物では、文章に図版(説明図/イラスト/写真など)などが付随する場合がある。それらは所定ページの決められた場所にリンクされていなければならない。
伝統的な書籍の構成要素は、前付け、本文、後付けの3つの部分に分けることができる。目次より前に入る「前付け」には、扉、序文、献辞、凡例、口絵がある。本文は、見出し、文章、注などで構成され、奥付以外の「後付け」には、索引、あとがき、付録がある。
出版物は、編集者が企画/設計して、それに基づいて、執筆者/カメラマン/イラストレーターなどの専門家が文章/写真/図版の原稿を作成する。
各種原稿は、文字入力、レイアウト、図版作成などの専門家が加工し、編集者がそれぞれの品質と内容をチェックして、所定位置に貼り込まれる。

前付け[front matter]

書物で本文より前に置かれている付き物の部分を総称していう。

本文[text]

一般的な意味で用いられる本文(ほんぶん)は書籍などの付き物を除く主要部分の文章を指す。一方伝統的書籍では本文ページは見出し、文章、柱などから構成されるが、本文(ほんもん)はページの中で、見出し、リード文、図表、柱、ネームなどを除く主要部分の文章をいう。

後付け[back matter ; end matter]

本文の後ろに付ける付録や文献、索引、奥付、広告等の総称。

改丁

章見出しなどでページを改め、次の奇数ページからまた組み始めること。奇数ページで終わった場合、次の偶数ページは白となる。

改ページ[new page]

章見出しなどでページを改めて組版すること。奇数偶数に関係なくページが変わればよい。

追い込み[run in ; run on]

改行、改段、改ページなどをやめて、前に続けて組むこと。

付き物[annexed matter]

書籍の本文に対して、前付け、後付け、別丁など、本文を除いたものの総称。また、出版物に付属する印刷物(売り上げカード、腰帯び、カバー、ケース、ブックジャケット、愛読者カード、投げ込み広告など)の総称。

束見本[bulking dummy]

印刷前に実際の印刷用紙を使用して製本し、本文ページなど全体の厚みを見る。これにより装丁上の表紙やブックカバーのデザインが可能となる。特に背表紙の幅が重要になる。

装丁(装幀・装釘)[book binding design]

装丁は本文ページ以外の函やカバーなどのデザインが重視される場合があるが、本来はデザインのほかに紙の質、印刷方法、後加工など、保存や強度などの工業設計的要素も含む。
書籍構成

有限会社 セネカ
代表取締役
野尻 研一
(Jagat info 2015年月2号より転載)