【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[DTP]1-8 画像

掲載日:2016年11月1日
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連続的に濃度が変化する画像や線画などの図版のデータ形式や扱い方などについて理解する。

1-8-1 デジタル化

  • 連続的に濃度が変化する画像をデジタル化する場合、画像を一定の間隔で最小の単位(画素=pixel)に分割し、各画素に対する平均の濃度を求める。これをサンプリング(標本化)という。
  • 各画素あたりの濃度の情報は、本来連続的に変化しているものを、一定数の段階に分けて処理する。これを量子化という。10ビットなら1024段階、8ビットなら256段階で量子化が行われる。
  • dpiとはdot(s) per inchの略で、レーザープロッターなどラスターイメージをドット単位で出力する際の露光の密度を表す。
  • ppiとはpixel (pels) per inchの略で、スキャナーでアナログの画像をデジタル化する際の画素のサンプリング密度を表す。
  • lpiとはline(s) per inchの略で、アナログのfaxのようなラスター信号を扱う場合やスクリーン線数を表す。

1-8-2 ビットマップデータ

  • ビットマップデータとは、ピクセルの集まりで構成されたデータのことで、ソフトウェアによりビットマップを生成し、そのビットイメージをディスプレイや出力装置に送り、画面表示や出力を行う。

➢ デジタルカメラ

  • 写真原稿の入稿はデジタルカメラ撮影によるデータ入稿が主流となっている。
  • デジタルカメラによる撮影では、事前に品質保証や要求品質にどのように応えるかなど、画像の要求仕様を整理しておくことが重要である。
  • デジタルカメラの撮影では、ピントさえきちんと合っていれば後工程でPhotoshopなどを使った画像処理で好みの画像に修正する自由度がアナログカメラなどよりは高い。ただし、色作り絵作りなどはアナログにはないデジタルカメラ独特の構造に依存するものもあるので注意が必要である。
  • デジタルカメラのデータ形式は、規格化されたフォーマットのデータと、CCD/C-MOSなどから出力された生のデータであるRAWデータがある。RAWデータとは、未現像の生フィルムのようなものであり、現像処理結果はソフトウェアにより異なるため、印刷原稿としては適していない。色演出一切を任されているカラーコーディネーターやフォトデザイナー(通称レタッチャー)への入稿の場合に、RAWデータが使われることがある。

➢ スキャニングデータ

  • 写真原稿などをDTPで扱う場合、スキャニングしてデジタルデータ化する。
  • スキャナーで入力する原稿は大きく分けて透過原稿と反射原稿がある。透過原稿の多くはカラーリバーサルなどポジ原稿であるが、反射原稿はカラーの印画紙をはじめ各種イラスト原画、印刷物、プリンター出力物など多岐にわたる。

➢ 解像度

  • 画像システムがどれだけ詳細に画像を再生できるかを表すのが解像度である。解像度が高ければ、再生される画像は細密になる。
  • 本来の解像とは、万線がベタにならない状態を指すが、デジタルシステムではピクセルの配置密度と同義に使われる。
  • デジタル画像は必要以上に精細にデータ化すると、作業効率が落ち、逆に出力に対して粗い設定になると、品質が著しくそこなわれる。そのため一般に出力に必要な大きさや解像度から逆算してスキャニングする。カラー画像をスキャニングする際に、仕上がりの画像で、解像度が300~350dpiあることが望まれる。

➢ 画像フォーマット

  • 濃度変化のある画像をデータ化するには、濃度レベルの段階数とその表現方法、記録する方向、画像の大きさその他の形式を決定しておく。
  • 画像データをファイルに書き出す場合には、画像データの形式とファイルフォーマットを選定する。
  • 図形と画像のフォーマットは、パソコンのようなプラットフォーム側が定めたPICTや、アプリケーションソフトが定めたTIFF、出力側が定めたPostScript / EPS、情報規格であるJPEG、そのほかそれぞれの分野での主流のものなどが混在している。

➢ レタッチ

  • 画像の調子や色調、ゴミやキズなど不要物の除去などを部分的に修正することをレタッチという。スキャナーで画像をデータ化するときに失われた情報やデジタルカメラで再現領域の狭い撮影モードで撮影して失われた領域外の情報は、後のレタッチでは回復できない。しかし、豊富に情報をもった画像データに対しては、色変更、シャープネス、ボケ、合成などの加工ができる。写真に対する基本的な調子や色調の修正と、絵柄ごとに常識的な色演出の方法があることを理解しておく。
  • よく見受けられる代表的な絵柄については、それらしい色や調子として認知されている記憶色(あるいはプリーズカラー)を意識してレタッチする。
    ・ガンマ補正:
    ガンマ曲線つまり入出力の関係を変化させて画像の濃淡を修正することにより、明るさ、調子、色のバランスなどを調整する。
    ・トーンカーブ:
    画像のどの濃度域に階調を豊富にもたせるか、どの濃度域を圧縮するかなどの調整をする。
    ・濃度ヒストグラム:
    濃度域の最少から最大を軸として、サンプリングされた画素の数を棒グラフ上に示した濃度ヒストグラムを用い、画像タイプを把握し、レベル補正やハイライトポイント、シャドーポイントなどを調整する。
    ・フィルター処理:
    画像データを構成する個々の画素に、周辺の画素との間で演算を行って、画像にぼかしやシャープネスなどの特殊効果を与える。
    ・合成:
    写真類や色面などを隣り合わせに配置するとき、境目がないようにぴったりくっつけてレイアウトすることを指す。
    色文字と色の図版が重なる場合、色文字を上に乗せる「ノセ」にせず、下の色を文字の形にくり抜いてから乗せる、抜き合わせ(ノックアウト)を髪の毛ほどの隙間もないほど正確に合わせることから「毛抜きあわせ」と呼ぶ。
    対して墨文字などの場合は、下地はそのままにして墨文字を重ねる墨ノセ(オーバープリント)が行われる。

1-8-3 ベクターデータ

  • ベクターデータとは、座標値と直線・曲線を定義する式から構成されるデータである。自由曲線の定義方法にはスプライン、ベジェなどがある。図形データのフォーマットには、WMF、EPS、DXF、SVGなどがある。

➢ スプライン曲線

  • スプライン曲線とは、指定した点をスプライン(自在定規の意味)関数を使って滑らかな曲線で結んで曲線を表現する。作図で用いられるものは、主に二次あるいは三次のスプライン曲線である。二次と三次は制御点を通らず、避けるようにして曲線を作り出すのを特長とする。
  • ベジェ曲線ほど操作の自由度は高くないが、すべての点が曲線上に位置するため、ベジェ曲線よりはコンピューターの演算処理が簡単になる。

➢ ベジェ曲線

  • 三次ベジェ曲線では、始点と終点およびその間に2つの制御点を指定する。制御点は曲線の外側にあり、これを移動させることにより曲線を変化させられる。任意の自由曲線が制御点の移動で描け、また一度描かれた曲線の変更が容易であるのが特徴である。
  • PostScriptでは、文字と図形の基本を直線と三次ベジェ曲線で表している。