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生活者のデジタルシフトに対応するDM

10月26日に実施した印刷総合研究会「実践!デジタル×紙×マーケティング」では、コロナ禍でのDMへの影響やパーソナライズ化や デジタルマーケティングとの連携 が進むDMの現状についてトッパン・フォームズ(株)の今井尋氏にお話しを伺った。

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印刷トラブル!と人間模様 『印刷ボーイズに花束を』発売!

ウェブマガジン「GetNavi」に連載中で印刷業界ネタ満載のマンガ『今日も下版はできません!』の書籍版、シリーズ第3 弾の『印刷ボーイズに花束を』が発売された。

印刷トラブル!と人間模様

専門性の高い職業を舞台にしたお仕事マンガは、以前から人気の高いジャンルの一つである。

印刷ボーイズに花束を(表紙)

『印刷ボーイズ』シリーズは、数少ない印刷業界を描いたマンガの一つである。中堅印刷会社の「ナビ印刷」の営業部に所属する刷本正(すりもと・ただし)を中心に、営業部・製版部・工場のスタッフたちが奮闘し、連日のように襲いかかる難題や客先からの無理な注文に対処していくストーリーが魅力的である。

毎回さまざまなトラブルに見舞われては何とか対処していく姿に、思わず笑いがこぼれてしまう。また、一話ごとに印刷に関する知識がストーリー中で解説されているため、一般の読者にも自然に理解できるようになっている。

今回のストーリー中では、「DTPエキスパート試験」「広色域印刷・シズル感」「活版印刷」など、興味深い内容が盛り込まれている。

新人の営業マンが本格的に印刷知識を習得しようとDTP エキスパート試験を目指し、製版部の女性スタッフと勉強会を行っている。それを知った先輩社員(この女性に気がある)は、最初は「試験なんて」と反発していたが、結局は一緒に勉強し、そろって合格する。

また、RGB にこだわるデザイナーの要請から広色域インキで対応することとなり、さらに得意先担当者が「シズル感」に執着したことから、高精細印刷にまで発展したという話も収録されている。その結果、シズル感あふれる立派な料理本が完成し、発売後は大評判になる。

活版印刷の達人が手掛けた名刺が、各界の大物たちに評判の「幸運の名刺」として有名になるというストーリーもある。

トラブルやクレームだけでなく、印刷を通じた夢のある内容も盛り込まれている。

印刷の実体験をベースに

本誌2020年2月号では、作者である奈良裕己氏へのインタビューを掲載している。奈良氏は大手印刷会社の営業マン出身である。愛すべき印刷会社の日常や個性豊かなキャラクターを描きたい、世の中に印刷の楽しさや奥深さを知ってもらいたいという思いで作品を描いていると、熱く語っていた。

また、作品のキャラクター設定は、少し怖いけれど頼りになるような現場の方たち、印刷が大好きで仕事に一生懸命な営業スタッフなど、実在する人をヒントに設定されているそうだ。印刷会社時代にはDTPエキスパートも取得されており、スキルアップの大切さを実感したそうである。

『印刷ボーイズ』シリーズには、印刷会社の日常や楽しさが存分に描かれており、印刷人必読といえるだろう。未読の方がおられたら、電子版ではなく紙版の書籍を購入して読んでもらいたい。
紙版の良いところは、周囲の人と読書体験を共有できることである。ぜひ『印刷ボーイズ』の楽しさを共有してもらいたい。

(資格制度事務局 千葉 弘幸)

※(JAGAT Info 2021.10月号より抜粋)

印刷ボーイズに花束を 業界あるある「トラブル祭り」3
株式会社ワン・パブリッシング

定着しつつあるオンライン校正

2020年4月に新型コロナウイルスに関わる最初の緊急事態宣言が発出されて、1年4ヶ月以上経過した。現在も、多くの都道府県で爆発的な感染拡大の状況となっており、未だコロナ禍の収束を見通すことができない。

印刷ビジネスにおいても、クライアントおよび印刷会社の双方で、広くテレワークが実施されている。そのため、従来のような校正紙のやりとりから、オンライン校正に移行するケースが急速に拡大している。

PDFを介した校正や、ワークフローRIPのオンライン入稿・校正・検版機能は、以前から実現されていたが、実際にはそれほど浸透していなかった。校正紙のやり取りに慣れた発注関係者や営業担当者に、新しい業務フローを提案することは容易ではなかったためである。

デザイン制作や出版物の編集制作におけるオンライン校正は、オフィスでも自宅でも校正作業がおこなえ、一斉通知やチャット機能により関係者間のコミュニケーションも容易である。プロジェクト全体の進行状況を共有することもできる。

印刷会社では、印刷入稿から赤字校正・プリフライト・デジタル検版などをオンライン化することで、顧客サービスや納期短縮、品質管理の面で大きな効果を上げることができる。つまり、オンライン校正は印刷ワークフローのDXそのものだと言える。

実際にオンライン入稿・校正に移行した印刷会社のほとんどが、社内業務の大幅な効率化と顧客サービスの向上を実現しているという。クライアントからの評価も高いようだ。

印刷物特有の色校正をどうするかは、引き続き課題とされるだろう。しかし、コロナ禍が収束したとしても、オンライン校正が印刷ワークフローのスタンダードとして、このまま定着することは間違いないといえる。

(JAGAT 研究調査部 千葉 弘幸)

印刷機の稼働率と採算性

印刷機の生産性の代表的な評価指標として稼働率がある。稼働率をあらわす指標は正確には3種類ある。機械時間率、運転時間率、実稼働率の3つである。

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進捗管理の強化による「見える化」の推進

印刷業の収益改善における「見える化」の肝は、受注一品別の収支把握である。

実現のボトルネックのひとつが、精度の高い実績データの記録、収集である。手書きの作業日報からシステム入力への移行は進んでいるが、入力の手間が敬遠されたり、入力端末の台数が不足していたりするなどの課題が残っている。

製造設備から直接、実績データを取得する手法としてJDF/JMFの利用がある。作業指示書をJDFのジョブチケットとして電子化し、製造設備にダイレクトに送信し、実績情報はJMFというデータ形式で製造設備からダイレクトに受け取る。JDF/JMFはCIP4が策定した国際的な標準フォーマットでありメーカーを問わずに利用することができる。良い事づくめのようであるが普及は進んでいない。

その理由のひとつがMISの運用にある。もともとMISは販売管理を出発点に発展したものが多く、そうしたシステムは現場レベルの細かい作業指示を行うことが想定されていない。

例えば、印刷の作業指示でいえば「菊全 4/4 通し数 5,000の仕事が4台」、あるいは製本の作業指示でいえば「128頁の無線綴じ 5,000冊」といった単位である。業務に精通した人間が見るのであれば、このレベルで十分であるが、JDFのジョブチケットを発行しようとすると、印刷は4台のジョブ単位(片面機であればさらに表面と裏面)に分けてジョブ定義をする必要がある。製本であれば、「16頁折りの折り工程が8台」、そして、それらの折り丁を丁合して綴じて三方断裁する「無線綴じ」の工程とに分けてジョブ定義をする必要がある。

さらに、受注産業の宿命で予定変更が頻発することから予定組みはMISではなく変更の操作が容易で柔軟な対応ができるExcelを用いている印刷会社が多い。また、工程をまたがった変更は操作が非常に煩雑となるので、予定表の作成は印刷工程までで、製本の現場では、紙の印刷予定表をみて現場判断で対応しているケースも多くみられる。このように予定や進捗状況の情報が社内で分断されていることが多くのロスを生んでいる。特に営業所と工場とが離れている場合などは問い合わせの電話が頻繁に行き交うことになる。

これらの課題に対しては、MISと実績収集ツール、そして印刷会社の運用という三方面からの取組みが求められる。ある中堅印刷会社では、細かな仕様登録、ジョブ定義の作業負荷を軽減するため営業サポート部門を設置、そして間際での予定変更の抑止と変更への迅速な対応を図るために「48時間ルール」というものを運用している

「48時間ルール」とは、印刷予定を2営業日前に作成し、予定表を作成した後に仕様や日程の変更があった場合は、担当営業は営業部長に申請して承認をもらうというルールである。上長の承認がない限り、担当営業は独断で予定を動かすことはできない。設定当初は、ナンセンスなルールで手間を増やすばかりと営業からは大ブーイングであったが、強行した結果、このルールが抑止効果となり、スケジュールの先行管理が定着し、予定の精度が向上した。また、現在では変更の申請にLINEを使うことで外出先からも行うことができ、営業サポートチームとも即時に情報共有できるようになっている。

この会社ではMISはPrintSapiens(J Spirits)、実績収集ツールとしてKP-ConnectPro(小森コーポレーション)を導入している。小森製の印刷機からは作業実績データが自動でMISに送信されるほか他社印刷機やポストプレス機器の実績情報はタブレット端末を用いて入力している。タブレット端末は、設置場所が固定されるパソコンと異なり持ち運びが容易で、オペレータの配置が日々流動的であるポストプレスの現場と親和性が高い。また、各設備の進捗状況はリアルタイムで事務所の大型ディスプレイに表示され、一目で進捗状況が確認できるようになっている。

KP-ConnectProには実績データを詳細に分析するための各種ツールが用意されているが、同社では受注一品別の収支結果と結びつけて改善につなげたいと考えている。

生産性の改善を金額換算して「見せる化」することで、より改善の実感がわき「自分事」として取り組むことができる。従来は分析のための資料作成に多くの時間を費やしていたが、稼働状況のレポートはシステムで自動的に作成されるので、改善活動により多くの時間を割くことができるようになる。

「見える化」を支援するITツールは今後いろいろと登場してくるだろうが、ツールを活かすためには導入側の運用の工夫、改善も求められる。

(研究調査部 花房 賢)

【関連イベント】
 JAGAT研究会 11/26 MIS連携による見える化の推進