印刷業の事業と理念の承継について考える

掲載日:2018年5月22日

迫られる事業承継の現況

国内における印刷業の事業者数は、99%以上が300人未満の中小企業だ。その事業承継については、団塊世代の経営者が70歳代を迎える2020年頃までに事業承継の決断を迫られることがある。経済産業省・中小企業庁の試算によれば、国内企業の3社に1社、127万社が2025年に廃業危機を迎えるという試算で、廃業問題を放置すると、雇用650万人、GDP22兆円が消失してしまうという見方もある。東京商工リサーチによれば、廃業する企業の約半数が経常黒字の状況だ。後継者問題、事業承継問題は、社会問題でもある。

■中小企業の事業承継する人材育成と理念の確立

事業承継は大きく分けると3つに分類できる。
1.親族内承継
2.役員・従業員等による承継
3.第三者による承継(M&A)
2000年以前は、親族継承が殆ど(9割以上)だったが、ここ数年では親族内承継が約半分、次に役員・従業員による承継で、第三者による承継(M&A)が2割を超え増加の傾向にある(中小企業庁サイトより)。心情的には、親族内承継が受け入れ易いと思われるが、変化対応が求められる経営環境の中、企業が生き延びるための戦略や資質を重視する傾向にあると考えられる。

「後継者がいない」のではなく「育てる」

印刷会社の現場では、しばしば、リーダーがいない、後継者がいないという声を耳にすることがある。よく考えてみれば、後継者は育てるものだということは容易に分かる。資質を見抜く力も重要だが育てる努力をするものだ。次世代の経営を担う人材を決めて未来を見据えて育てることだが肝心だ。

事業承継は理念の承継

事業承継にあたって、継承する事柄は何であろうか。変化対応すべきことと、安易に変えてはならないことがありそうだ。変化すべきことは、経営環境に対応したマーケティングや生産技術の革新であろう。安易に変えてならないことは、経営理念だ。理念こそ企業の個性であり存在価値だ。先ず継承すべきことは、経営理念ではないだろうか。経営理念が確立され浸透すれば事業の戦術や戦略が変わっても本来の企業の想いや価値は承継される。経営理念の確立、見える化は、優先事項だ。

■後継者育成に必要な4つの視点「理論」「実践」「対話」「人脈」
事業承継における人材育成のポイントは、理念を理解し、「変化・変革」への対応力をつけることだ。経営においては、様々な場面でのブレースルーが求められる。ブレークスルーに必要なことは、構想を発想し実現する力だ。情熱は不可欠で発想力がカギを握る。経営コンサルタント大前研一氏の言葉を借りれば、未来への経営環境は「答えのない時代」である。先代の経営手法や人脈を受け継ぐだけで会社経営が上手くいくものでもない。後継者自身が主体的に開拓して行かなければならない。そこで、後継者や次世代の経営幹部の成長を支えてくれるのが、「理論」「実践」「対話」「人脈」である。 JAGATの「印刷後継者・経営幹部ゼミナール」は、理論・実践・対話の3つを柱として、自社の事業計画の基盤づくりを学ぶ講座でもあるが、欠かせないのが受講者や講師との交流、人脈づくりである。 「印刷後継者・経営幹部ゼミナール第35期」は、6月22日(金)に開講する。

( CS部 古谷 芸文)

<関連講座>
【第35期 印刷後継者・経営幹部ゼミナール】