これは、ある印刷会社の経営者に人材教育についてヒアリングしたときに、効果の高い外部研修について問われたときの答えである。
その経営者曰く、印刷会社の人材教育に関して潮目が変わったと感じている。つい1年前くらいは、印刷会社なんだからまずは印刷の基礎知識を学ぶのが当然だと思っていた。それが、「印刷ありき」というスタンスに強い違和感を感じるようになった。「印刷」はあくまでお客様の課題を解決する手段のひとつであり前提ではない。特に新人研修はマインドセットという意味合いも大きく「印刷ありき」の弊害を感じてしまう。
背景として事業内容の変化がある。これまではデザインにしてもWeb制作にしても、事業単体で収益を出すというよりは、印刷物を受注するための手段、営業の間口を広げるための方策という位置づけであった。あくまで収益の柱は印刷であった。それが、ここにきて印刷の収益性が下がってくるとともにデザイン・クリエイティブやデジタル関連のビジネスが単独事業としても採算が取れるようになってきた。
それに伴い顧客接点も変わってきている。従来は、営業が担当する顧客の案件すべての窓口になっていたが、印刷物にとどまらない提案が求められることが増えてきたことから、クリエイティブチームやデジタルマーケティングチームが直接担当することが増えてきている。お客様も勉強していて多くの情報や知識を持っていることが多く、対応するには付け焼刃ではない専門性が求められる。
こうした環境変化で求められる人材には、まず顧客のビジネスを深く理解するためのマーケティングの知識が必須である。お客様の課題解決のために印刷物を提案するときもあればデジタルマーケティングを提案するときもあるが、大事なことはなぜその施策が有効なのかロジカルに説明する力である。それができる人材を育てるために積極的に教育投資を行っている。さまざまな外部研修のなかで評価しているのは、異業種のメンバーとチームを組んで、与えられたテーマに対して施策を提案していくマーケティング研修である。ここで耳にしたのがタイトルにつけた「グループワークが多い『しんどい』研修は参加者の成長を促す」という言葉である。
さて、非常に長い前置きとなったが、この話しを聞いて頭に浮かんだのは、マーケティングのセオリーが学べて「グループワークが多い『しんどい』研修」はJAGATにもあるよね、ということだ。私自身も一受講者の立場で研修を受けたときには、かなり脳が汗をかいたし、卒業生と話しをしてもいつまでも記憶に残るとともにその後の実務でも非常に役に立っているという。
以前は、「印刷ビジネス開発実践講座」というタイトルであったが、このたび人材育成の側面をより強調して、「新事業を創る次世代マーケッター養成講座」として11月より開講する。講義を受けグループワークで実践するとともに自社の新しいサービスや商品を考え、企画をブラッシュアップし最終回にプレゼンすることがゴールとなる。最終回はpage2026の開催とあわせ池袋サンシャインシティでリアル開催となる。過去の卒業生も招待し、交流の場を設ける予定である。
興味を持たれたら是非、お問い合わせをいただきたい。
(研究・教育部 花房 賢)