営業の技術知識が印刷トラブルを防ぐ

掲載日:2018年9月14日

打合せ時に営業があらかじめ顧客に原稿に応じた印刷内容を説明し納得してもらうことで、後の印刷トラブルを防ぐこともある。

印刷し難い絵柄の仕事が入ってくるケースがある。例えば細かい文字の抜き合せや4色総ベタで重なっているデータなどだ。また、印刷物そのものを写真原稿として入稿されることもある。こうしたケースに対応するには、営業が顧客と製造現場に正確な情報を提供し、その橋渡し的な役割を果たすことが大切だ。

●小さい文字とトータルインキ量
文字(特に明朝系)の細かい大きさで抜き合せになっているような場合、見当が少しズレるとその部分が指定色と異なってしまう。営業は細かい抜け合せの個所についてデザイン的な要素も考慮して顧客と打ち合わせたほうがいい。細かい文字を抜き合せで使う場合はプリプレス側で文字のエッジがしっかり出るような処理をすることになる。
4色のトータルインキ量が300%を超えるようなデータを、顧客やデザイナーから渡されることもある。これをこのまま印刷するとトラッピング不良を起こす可能性があるため、プリプレス側であらかじめトータルインキ量を減らすUCRやGCR機能を使ってデータを修正してからCTP出力するのが一般的だ。こういう場合、営業が技術なことを顧客にしっかり説明できることが大切だ。データ原稿を受けっとった時点で内容を確認するのは当然で、それにくわえてUCRやGCRの画像処理のサンプルを用意してその機能がどういうことかを説明すると、顧客との信頼関係を深められることもある。

●印刷物を原稿にする場合
 今では稀かもしれないが、顧客からパンフレットやポスターといった印刷物そのものを写真原稿として渡されることもある。この場合はスキャナーで入力することになる。印刷物をスキャニングすると絵柄の中にモアレが発生するので、入力する際にモアレ除去機能を使うかソフト上で画像処理を使うことになる。ここで大切なことは、通常の写真データやアナログ写真に比べモアレ発生により画質が劣化することを顧客に理解・納得してもらうことだ。この場合、サンプルを説明資料として有効活用することで、相互の信頼関係醸成に役に立つであろう。

営業が顧客の要望を聞きそれを印刷物に反映されるように正確に現場に伝えることは非常に大切なことである。営業が技術知識を身に着けておけば、印刷トラブル防止と生産性アップ、ならびに品質維持にもつながる。制作と製造現場としてはそうした営業からの正確な指示書と原稿が入稿されることを期待している。

(CS部 伊藤禎昭)

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