令和元年の印刷市場はどうなる

掲載日:2019年4月18日

平成の時代が終わるまで、あと10日余りとなった。令和元年の印刷市場はどうなるだろうか。景気後退局面に入ったのではないだろうかという危惧があるなか、秋には消費増税が予定される。一方で、改元や参院選、ラグビーワールドカップ日本大会などイベントも多いほか、翌年に迫った東京オリンピックをひかえ、印刷需要の誘発につながることが期待される。

平成の印刷市場を振り返ると、印刷出荷額は昭和末期に近づく昭和60年前後から大きく伸び、平成3(1991)年と平成9(1997)年に2つのピークを迎えた後、右肩下がりになり、平成20(2009)年以降大きく減少している。

印刷市場の縮小は失われた20年と言われる不況の影響も大きいが、インターネットの普及によってデジタル化社会が到来し、人々の意識や生活行動、消費行動が大きく変化してしまったことが影響していると感じる。とすれば、好景気によって印刷市場が刺激されたとしても、かつてのように右肩上がりで成長することはもはや期待できないわけである。

さらに少子高齢・人口減少社会を迎えており、デジタル化社会以前の行動や価値観を持ち続ける人はもはや少数派となってしまったなかで、令和時代は否応なく印刷メディアビジネスも変容が求められているということである。時代が変わり、社会構造が変化し、お客様の意識やニーズも変化しているなかで、これまでのビジネスモデルや成功事例がそのまま通用するのかどうかを絶えず確認していくことが必要になっている。

JAGATでは「デジタル×紙×マーケティング」を打ち出しているが、印刷物に新しい価値を付加しようということだ。従来の低コストで同じものを大量複製できるというメリットから、デジタルを駆使し、マーケティングによって裏付けされた企画によって、個客にも対応できる価値あるメディアにしていく。その価値に対して対価をもらえるようなビジネスにしていくことが重要になる。

JAGAT info 4月号では、さまざま視点から2018年の印刷市場を振り返りながら、印刷周辺業界の動向を交えて2019年の展望しつつ、これから印刷会社が印刷メディアビジネスをどのような方向性で展開していくべきなのかについて探っている。自社のこれからの印刷メディアビジネスの方向性を考える上での参考にしていただければ幸いである。

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