セミナーの教育効果について検証する ② ~自己分析と注意点

掲載日:2015年8月18日

研修を受講させる前に会社(教育担当者)と社員(受講者)が共有すべき3つのポイントについて、具体的な手法を、事例を交えながら紹介すると共に、受動的社員への対策についても検証していく。

前回の本稿では、研修効果を高めるためのベースとして、以下のとおり会社と社員が共有すべき3つのポイントを挙げた。

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今回は、その3つのポイントについて具体的な共有方法を紹介する。

情報を可視化する
JAGATコンサルティングサービスでは、セミナー趣旨と会社がそのセミナーを受講させる狙いを共有するために、以下のアクションプラン策定シート(事前目標設定)を利用していただいているケースがある。

actionplan

教育担当者がこのツール(アクションプラン策定シート)を利用して、セミナーを受講する予定の社員に対し、面談等による趣旨や狙いを説明するとともに、あらためて文章化し可視化することで、互いに共有することが可能となる。文章化の利点は情報として蓄積できることに加え、各自が考えて書くという作業を経ることで、より強く意識させることができることである。

自己分析について
そして受講者に上記2つの情報を意識させた上で会社が求めていることに対して、自分は何ができて、何ができないのかを自己分析させる。研修の趣旨と会社の狙いを把握することにより精度の高い自己分析ができるであろう。基本的には、自由記述でも問題ないが、「能力、性格、知識」等の3つのカテゴリーで分解し長所、短所を記入させることも一つの方法だ。また、生かすべき長所、克服すべき短所に優先順位をつけ、今後取り組むべき課題を記入していく。
こうして社員の自己分析による自己の能力や知識レベルが共有できる。
その他の、実際の印刷会社に行った例としては、定量的に知識レベル、意識レベルを図る以下の方法がある。

ミニテストの実施

minitest

印刷工場の管理者意識調査サーベイシート

ishiki

こうした簡易ではあるが定量的な調査で、社員の現状について推し量る方法も一つである。実際にこれらの施策を導入した教育担当者からは、管理職、一般社員の知識レベルについて把握できてよかったとの声をいただいている。
ただし、こうした施策を導入する前に注意しておくポイントがある。

マイナスの壁を取り壊す
組織には受動的な社員が何人かは存在する。そうした社員にトップダウンで、頭ごなしに何かしらの目標を定め研修を受講させても、以下のような心理に陥りやすい。

(受動的な社員が陥りやすい心理状況)
「何の研修受けに行くのかわからないなぁ~。」
「仕事が忙しいのに研修受けている時間なんてないよ。」
「いつも仕事で実践しているから、研修受けなくたって大丈夫。」
「そもそもこの研修は何のために受けなきゃならないの?」
「とりあえず言われたから受講はするけども、、、。」

こうした心理状況に陥ると、“やらされている感”“ナゼ!?の連発”が脳裏をよぎり、せっかくの研修効果が低くなるのは言うまでもない。まずは、こうしたマイナスの感情を拭う必要がある。そのためには上記の3つのポイントを共有し共感を得ることが重要だ。

個々の社員に思いを伝える
会社として研修を導入した狙いを受講者の方々に一律に説明することは必要だが、取り分け重要になるのは、「なぜ、“あなたに”研修を受けてもらいたいのか」を個々の社員に伝えることである。大企業であれば個々に説明することは難しいが、中小企業はそれができる。研修は全員が受けられる訳ではなく、数ある社員の中から選ばれて受講できるのである。そうした思いを伝えることで、マイナスの壁を取り払い、自発性を醸成することができる。

次回は目的、目標をどう設定するかについて事例を交えながら紹介する。

(JAGAT CS部 塚本直樹)


<関連情報>
「セミナー教育効果を検証する(1)会社と社員が共有すべき3つのポイント」

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