水上り現象と乳化の違い(048)

掲載日:2014年9月11日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

水上り現象と乳化の違い(048)

【概要】
 基本的なことですが,水上り現象と乳化は同じ現象として考えて良いのでしょうか。

 【解決方法】
 水上りとは,印刷刷り始め時,水棒だけを着けたのち版上の光り具合を見て,判断すると判り易いと思います。しかし,絵柄面積の大小により,版面に対する湿し水の供給量を変えなくてはなりません。そして,この水上り量は,モルトン式ならば,モルトンの新・旧,連続給水方式ならば,給水ゴムローラの劣化度等にも影響されます。水上り量は,印刷機の水量コントロールダイヤルで調整します。水上り量が多すぎると,インキ濃度も下がり,インキを多く出さなければならないという事にもなり,トラブルの原因にもなりますので,なるべく水上り量は最小限にセットし印刷する事が重要でしょう。
 乳化とは,油(インキ)の中に,水分が混在しているタイプと水分の中に油(インキ)が混在しているタイプに分けられます。通常,印刷時は,前者の状態が良く,後者ではトラブルとなります。通常インキ中に含有する水分は15~17%が良く,この比率を乳化率といいます。乳化率が低すぎるとトラブルのもとになります。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)