アイデアの芽を摘むプロセスロス

掲載日:2016年5月11日

企業や組織人は、会議や打合せのため時間を費やすことが数多くある。それらは頻度が多かったり、長時間に及ぶこともあるため仕事の中断を余儀なくされるケースもある。
とくに印刷会社は一品一品オーダーメイド、お客さまの要望に応えることが優先されるため、進行会議や打合せの回数も多くなる。だからこそ効率良い会議運営が必要だ。

本来、会議はどうあるべきか

会議とは、関係者が集まり「相談」する、「情報伝達・共有」する、物事を「決定」する貴重な場である。お互いに意見交換をして、最良の施策、結果を出すために意見をまとめ集約するため時間を費やすものだ。ところが、本来の目的を見失った会議、たとえば業務報告のみ、延々と資料を棒読みするだけというケースも多い。今の時代ムダの少ない効果的な会議は企業にとって必修科目だ。

有意義な会議、ムダな会議とは

会議に参加して「有意義だった」と感じたものは、「プロジェクトメンバーによる進捗会議」が最も多く23.6%、次いで「実務担当者の連絡会議」18.9%、「クライアントとの打合せ会議」14.1%、「課やチーム単位の定例会議」13.1%と続く。
一方、「ムダだった」と感じる会議は、「全社会議」が18.7%と最も多く、2位「社内の営業会議」11.8%、3位「課やチーム単位の定例会議」10.7%と続く結果である。
また、適正と考える会議時間は、「30分以上1時間未満」が60.0%と最も多く、次いで「1時間以上2時間未満」30.2%、「30分未満」7.3%と続き、2時間内の会議が適正であるというビジネスマンは全体の97.5%を占める(以上プレジデント・gooリサーチ調査)。

会議中の話し方

会議やミーティング中の話し方は、その分かりやすさは重要だ。良い提案やアイデアでも相手に伝わらなければ意味がない。話す際に伝わりやすくするには、漢字よりひらがなが良い。
例えば以下だ。
 目視 → 目で見る
 追記 → 書き加える
 参画 → 計画に加わる
せっかく良い意見を発言しても分かりづらかったり、情報が多すぎたりすれば記憶に残らない。

地位が低いと意見は通らないのか

地位の高さと意見の通りやすさは悲しいかな関係しているようだ。優秀な意見であっても地位が低いからといって採用されないことを「プロセスロス」という。地位の低い相手の言うことは最初から価値まで低いものと判断してしまうのだ。
チームで仕事をする場合、こんな方程式がある。
 実際の生産性=潜在的な生産性 + グループ・プロセスによるシナジー効果 - プロセスロス
具体例では、あるプロ野球の球団が四番バッターばかりを集めても思ったほどの効果が発揮できないという結果だ。また、おみこしを担ぐときなど、自分一人くらい手を抜いても影響ないと考え発生する現象だ。
役割分担が適切でないケースや目指す方向や目標の違いからプロセスロスが生じてしまう。さらに、仕事へのヤル気や意義の納得感、協働作業の減少、職場における多様性の増大などもその発生原因といわれている。
プロセスロスによって具体的に次のような現象が起きてしまう。
 ・メンバーの参加意識が低く本当に大切な意見やアイデアを出す機会がなくなる
 ・メンバーのモチベーションが低い状態になる
 ・コミュニケーション不足から目標や手順がうまく共有されず、問題が大きくなってから発覚する
優れたチームとは、シナジー効果を上げプロセスロスを最小限に抑えることと言えるだろう。
プロセスロスを抑え、チーム力を高めるものは、「目標」「ビジョン」「役割」である。どれだけ相互に共有、浸透し当事者意識を持っているかが重要だ。
会議の席はもちろん組織のなかにおいても、素晴らしい意見やアイデアの芽を摘むようなプロセスロスが発生しない環境づくりが企業を発展させるのではないだろうか。

 (西部支社長 大沢 昭博)

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