新事業開発の重要性と課題

掲載日:2017年8月1日

これからの企業経営において、成長力を高めるには新事業の開発等が重要となるが、多くの要因が絡み合い開発はなかなか進まない。

これからの経営に新事業開発は重要か

「中小企業白書2017」によると、中小企業が成長力を高めるためには「新事業展開」が必要だと述べている。統計データを見ても、新事業の展開と経常利益率の相関性は高く、実施している企業の方がしていない企業より経常利益率が増加したとの回答が8ポイントも高い。

印刷経営においても例外ではなく新事業の開発が重要だ。好業績な印刷会社の特徴として、情報業的・サービス業的ビジネスを展開している。つまり、印刷を核にしながらも、顧客のニーズに合わせその周辺サービスをも包括的に支援する“仕組み”を構築していることがあげられる。もちろん、印刷会社やその顧客に応じて、個々のビジネスの仕組みは違うが、共通しているのは顧客のニーズに応じた新規事業の開発を手掛けていることである。

新事業開発を推進できる人材の確保が急務

多くの経営者は新事業開発の重要性について理解しつつも、なかなか進まないのが現状である。「中小企業白書2017」によると、新事業展開の課題として、以下の5つをあげている。
 

 1)必要な技術・ノウハウを持つ人材が不足している
 2)販路開拓が難しい
 3)市場ニーズの把握が不十分である
 4)自社の製品・サービスの情報発信が不十分である
 5)自社の強みを活かせる事業の見極めが難しい

そのなかでも、「必要な技術・ノウハウを持つ人材が不足している」を課題としてあげている企業が多い。

投資資金ではなく、リソース(ノウハウ、人材等)が無いことが大きな壁となり、新事業の開発に踏み切れないでいる企業が多い。資金面では、新事業の計画が新規性、実現性等(もちろんこれだけでは無いが)、成長性が見込める内容であれば、融資、あるいは経営革新計画等の各種制度の認定による補助金の活用等が考えられる。しかし、新事業開発成功の鍵となる計画策定、事業の推進をできる人材がいなければ、スタート地点にも立てない。だからと言ってあきらめていては、開発ノウハウも社内で蓄積できず、人材も育たない等の悪循環へ陥る。外部から専門性の高い人材の採用や、社内人材の育成等、新事業開発ができる人材の確保が必要となる。

人材育成のポイント

外部採用による人材の確保も一つの手段だが、新事業開発力を自社の競争優位の源泉にするには、人材育成の仕組みづくりとして以下の2点が重要だ。

1)教育機会の提供
先にあげた、新事業展開の課題(「市場ニーズの把握」「サービスの情報発信」「強みを活かせる事業の見極め」)は、すべてマーケティングの知識がベースとなる。セミナーや書籍で開発手法やマーケティング等の知識やスキルを一定のレベルまで引き上げる必要がある。その際、新事業開発に関わる社員すべてに、同質の教育機会を提供することで、共通言語や共通認識が生まれるため、社内プロジェクトが円滑に進む。

2)実践機会の提供
知識やスキルを学んでも、実践で活用する場が無ければ身につかない。組織や上長としては、ある程度失敗することも許容した上で、挑戦するステージを与えるべきである。 たとえば、社内提案制度の導入が考えられる。ただし、提案の質を求めすぎると社員は委縮してしまう。「日本一“社員”が幸せな楽園企業」として有名な未来工業、創業者の山田昭男氏は、提案の質より量を優先している。小さなことでも提案する癖をつけることで、業務の細部まで目配りができる力が養える。結果として、自然と良い提案が生まれてくるのだという。

人材育成の仕組みを整えることで、新事業のタネが生まれるだけではなく、新しいことへ挑戦する社内風土も醸成できる。そうした風土がある企業には、外部から優秀な人材の獲得ができるなど好循環が生まれる。結果として企業の成長力は高まる。

(JAGAT 塚本直樹)

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