印刷ビジネスを創る意識を育てる

掲載日:2018年4月17日

 印刷ビジネスは、お客様が何を考え、どのような課題を持ち、どうすれば解決できるかを考えるところからスタートする。

現在では、デジタルメディアの普及により、生活者のコミュニケーション手段が多様化し、印刷以外のメディアを通じた情報発信やマーケティング活動が日常的となっている。印刷会社にとって、お客様の多様なニーズに応えられる知識とスキルを持った印刷営業の育成が課題だ。新人営業担当者がお客様の要望を聞き、自ら考え、満足いただけるような対応が出来るようになるためには、何が必要だろうか。

印刷営業の基礎をつくる

即戦力となる人材を育てるには、新人のうちから、印刷物の製作知識を着実に押さえた上で、新しい発想で提案を行うための企画力および実践力を、広範囲にわたって、積み上げていく必要がある。メディアが多様化する中で、「印刷」の価値を最大限に訴求するためには、まずは高い印刷品質を実現するためのトータルな知識を持つことが必要になる。
印刷の業務知識は広範囲にわたり、かなりのボリュームになる。先輩社員から業務の合間に指導を受ける場合が多いが、印刷工程全体をイメージしながら体系的に習得した方が、成果も上がりやすい。印刷知識に加え、周辺のメディア知識や営業実務能力、コミュニケーション能力など、習得しなければならない知識は多岐にわたる。土台をしっかり築いてこそ、お客様の課題解決に向けた提案に、それらを活かしていくことが可能になる。
 

ビジネスをつくる意識を育てる

 ビジネスは、お客様が何を考え、どのような課題を持ち、どうすれば解決できるかを考えるところからスタートする。相談を受けても、要望を正確に把握し、理解できるだけの知識がなければビジネスの機会を逸してしまう。販促物であれば、お客様が求めているのは販促効果であって、チラシを印刷すれば終わりということではないのかもしれない。
顧客の真のニーズを見抜き、説得力のある商品やサービスが出来るようになるためには、対応できるだけの知識とスキルを備えるとともに、新人のうちから、お客様の視点に立ち、相手が望むものは何かをつねに考える力を養うことが大切である。 
これからの印刷営業に求められるのは、印刷を軸としつつ、顧客のビジネスを包括的に支援できるようになることである。これまでの「受注型営業」から、自ら「ビジネスを掘り起こす」姿勢が問われている。
                                                                                                   

企画提案力を伸ばす

新たなビジネスの創出を目指すには、企画提案力の強化がカギになってくる。しかし新入社員が、ゼロから「企画提案」を習得しようとしても、ノウハウをひと通り学んだだけでは、なかなか身につかない。何よりも、提案を受け入れてもらうためには、お客様との間に良好な人間関係が築かれていることが前提であり、コミュニケーションを通した信頼関係づくりが先にある。その上で、できるだけ多くの実践機会を経験することによって、徐々に精度が高まってくるのではないだろうか。
「企画提案」の手法には、「顧客の課題を引き出すためのヒアリング」「課題抽出」「自社の強みの洗い出し」「企画プランニング」「シナリオ設計」「提案書作成」「プレゼン」など、さまざまなプロセスがある。顧客だけでなく、エンドユーザーである生活者から見た視点も意識する必要がある。それぞれの手法をひとつひとつ消化しながら、段階ごとに習得していくことが望ましい。

■印刷営業20日間ゼミで取り組む「企画提案フィールドワーク」

JAGATでは、即戦力となる新人印刷営業の育成を目指す「印刷営業20日間集中ゼミ」を毎年開催している。印刷の基礎知識習得と共に、「企画力」と「実践力」の強化に力点がおかれ、今年度から20日間を通して企画提案に取り組むフィールドワークも盛り込まれている。 
実際の案件をもとに、提案のためのヒアリング実践ワークから始まり、企画プランニングから提案書作成、販促ツールへと段階別にじっくり取り組む。                                             
研修自体は、新人営業職の育成を目的としているが、職種を問わず、印刷業界で働く上で必須のカリキュラムを総合的に網羅している。新人営業の他、後継者や中途入社社員の参加も多く、体系的な即戦力強化プログラムとしてぜひ活用していただきたい。

 

■関連情報
「印刷営業20日間集中ゼミ」
                                                                         

                                               (CS部 原淳子)